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オーナー会社は資本金を1億円以下に抑えよう | 「税金経営」の時代

マリオ教授
マリオ教授

今回は資本金の話だ。
みんなは会社の資本金というのはいくらくらいあると理想的だと思う?

うーん・・・僕は学生だからいまいちピンとこないけど・・
1億円以上あると「大企業」って感じがしていいっすよね!

さとし君
さとし君

ただ、あまり資本金が多いと税制の面とか、かえって不利になることもあるんじゃないかしら?

アンナ先輩
アンナ先輩
マリオ教授
マリオ教授

そうだね、昔は信用力含め一億円以上あると色々いいこともあったんだけど、今はもう違うようだ。
一緒に資本金1億円以下の場合のメリットについてみていこうか。

はじめに

オーナー会社の資本金額は、比較的、少額な場合が多いように思われます。会社規模が大きくなっても、資本金は会社設立時の資本金のまま「放置」されることも少なくありません。これはオーナー会社の場合、増資(資本金を増やす)といっても、所詮オーナーが資金を提供することになるために、上場を目指す会社のように外部資本を入れないといけない事情が特段ない限り、あえて増資する必要がないことが原因となっています。
したがって、オーナー会社が、資本金を1億円超にするケースは、たとえば会社分割や合併や土地などを現物出資するようなやむを得ない場合に、限定されると思われます。

今はその制度はなくなっているのですが、かつては資本金を1億円以上にした方が有利なことがありました。法人税のことではないのですが、相続税・贈与税の関連で会社の株式評価を行う際の株価算定上、資本金が 1億円以上の会社については、税法上「大会社」として有利な方法が採用できたということがありました。ここではこれ以上の説明は省略しますが、そのために資本金を1億円以上にしたケースがありました。一度、資本金を大きくすると、その後、減資の手続きをとらない限り資本金額を減らすことができませんので、そのまま資本金額が1億円以上になっていることがあります。

「資本金1億円以下」の会社は、交際費 600万円の90%を経費にできる

税務上、資本金が1億円超で有利になることはないといっていいと思いますが、資本金額が1億円以下の場合に、次のような点が有利になります。

1.交際費の経費処理

資本金1億円以下の会社の場合、交際費として年600万円までは支出額の90%を経費として処理することができます。経費として処理できるかどうかは、会社にとってとても重要ですので、この交際費の経費枠を使えるのは大きなメリットです。
しかも交際費の枠は会社ごとにありますので、資本金1億円以下の会社が2社あれば合わせて、1200万円の90%までの経費枠を持つことができます。

おお!これはいいですね!
取引先とかとの交際費って結構かかりますもんね。
でも仕事のつながりだから外せないし。

さとし君
さとし君

2.留保金課税の対象外

従来から留保金課税については悪名高い制度でしたが、改正により現在は資本金1億円以下の会社については、適用されないことになりました。留保金課税は、一定以上の利益を会社に留保した場合に、通常の税金に加えてさらに追加として課税される税金ですが、会社の内部留保のさまたげにもなります。

3.外形標準課税の対象外

外形標準課税は法人税ではなく、地方税(事業税)の話です。資本金1億円以下の会社については外形標準課税という制度ではなく、会社の利益(所得)に対して一定の税率が適用され、事業税が計算されています。
外形標準課税は、会社の利益(所得)だけではなく、人件費や家賃及び支払金利などを対象にして税金が計算されるものです。いちがいにどちらが有利と即断はできませんが、一般的には外形標準課税が不利になるケースが多いようですので、どのくらいの違いがあるのか、有利不利を一度、試算してみてはいかがでしょうか。

4.欠損金の繰戻還付

損失が生じた場合に、従来はその損を将来に繰り越すことしかできなかったのですがそれに加えて、資本金1億円以下の会社については、前期に戻って前期の税金を戻すことができるようになりました。将来、払うであろう税金ではなく、すでに払い済みの税金から還付を受けられるというもので、早めの資金回収ができます。

これは

「欠損があれば前期にすでに支払った税金も戻ってくるのか?」

でも書いているけど、かなり便利な制度よ!

アンナ先輩
アンナ先輩

5.各種税額控除が適用

資本金 億円以下の会社については、各種の税額控除制度の適用ができます。

物件の床面積が132平米以下

●教育訓練費の税額控除
●試験研究費の税額控除

これがあると社員の教育制度も充実させられるし、ベンチャー企業とかは特に恩恵にあずかれると思います!

さとし君
さとし君

また、税務調査の面からみると、資本金 1億円以上になると、税務調査の担当が原則、税務署から国税局になります。どちらの税務調査が有利不利というわけではありませんが、税務調査の頻度の点からいうと、国税局の管轄になった方が比較的少ない傾向があります。
国税局の場合、どうしても上場会社等の大規模法人が調査の中心になるため、資本金が1億円以上の会社というだけでは、なかなか調査対象になりにくい面はあるように思われます。
したがって、資本金1億円以上の会社の方が、税務調査の頻度が少ない傾向はありますが、税務調査自体、税務面からの会社の定期診断と考えれば、なにもそのために資本金を1億円以上という選択は必要ないと思われます。

なお、現在資本金が1億円超の会社を資本金1億円以下の会社にするためには、減資の手続きをとる必要があります。減資には、有償減資と無償減資がありますが、資本金額を1億円以下に抑えるという形式基準を満たすためであれば、後者の無償減資によるのが一般的です。
対外的なイメージ(減資するのは会社業績が悪いから等)を気にされるオーナーの方もいますが、最近は資本金 1億円以下のメリットの活用を目的に、減資するケースも多く、対外的なイメージを気にするまでもないと思います。

マリオ教授
マリオ教授

今は資本金が一億円以下でも事業を拡大させているところも多いし、対外的なイメージは気にしすぎる必要はないよ。
それよりかまずは、会社にとってのメリットをよく考えようね。