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会社がオーナーに貸したお金は早く回収しよう | 「税金経営」の時代

会社とオーナー個人との間で、金銭の貸借を行うことがあります。どちらかというと会社からオーナーに貸しているケースが多いように思います。会社がオーナーに貸した資金については、税務上、必ず金利を取らなければなりません。
オーナー個人以外に、会社がお金を貸している場合のことを考えてみてください。
当然、会社は金利をとり場合によっては、担保を設定するかもしれません。担保まではともかくお金を貸した以上、会社は収益をあげる必要がありますので、たとえオーナー個人であったとしても、金利をとらなければなりません。

貸付金も数千万円から数億円になることもありますが、低金利の時代とはいえ、金利はそれなりの金額になります。会社が外部から資金調達しているようであれば、少なくともその調達金利にいくらか乗せた金利を設定する必要があります。
5000万円の貸付があったとして、金利2%で金利だけで年100万円、100万円は会社の収益になりますので、会社は約42万円の税金負担となります。会社からの貸付金があるだけで、年42万円のキャッシュアウトです。個人の方は100万円の資金負担、ないし未払利息が100万円増えることになります。
会社にとってもオーナー個人にとっても、なに一ついいことはなさそうです。要は会社からオーナー個人への貸付金は、できるだけ早く解消した方がいいということです。

会社からオーナー個人への貸付金は見栄えがよくない!

具体的な解消方法はケースによりさまざまですが、よくあるのはオーナー個人の所有する資産、株式(会社の株式を含む)や不動産(自宅も含む)で会社所有に切り替えるものがあれば、貸付金と相殺することで会社が取得する方法です。

会社所有に切り替える際に、オーナー個人に資産譲渡にともなう税負担が生じることがあります。
不動産、株式の譲渡であれば、売却益に対して原則20%の税負担となりますが、金利に対する法人税等の負担42%と比較すると、半分以下です。また、会社からオーナー個人への貸付金は決算書の見栄えとしても(会社の資金をオーナー個人に回しているような、要は公私混同)よくありませんので、そういった面が解消されるという副次的な効果もあります。
一方、オーナー個人が会社に対して貸付金がある場合です。オーナーからの貸付については、税務上、金利を取らないと課税上問題が生じるということがありませんので、金利をとっているケースと金利をとっていないケースの 通りがあります。
金利をとっているケースですが、会社が負担する金利は支払利息として経費で処理する
ことになります。金利を受け取るオーナー個人の方は、雑所得として通常の所得税・住民
税の対象となります。ときどきあるのは、会社が赤字であるにも関わらず、金利をオーナーに払っているケースです。そもそも会社で税負担がありませんので、金利を受け取るオーナーにかかる税金分だけ損することになります。あえて金利をとらないケースですが、この場合、会社において支払利息の経費も発生しませんし、オーナー個人にとっても受け取る金利がありませんので、所得税等の税負担は発生しません。特に個人として金利を受け取る必要(資金面等から)があるならばともかく、通常は金利をゼロとして追加的な税負担をないようにした方がよろしいと思われます。最後にオーナーから会社に資金を貸す場合、私募債を活用して税務上のメリットを受ける方法があります。これはオーナーが会社発行の社債を引き受けて金利を受け取るものですが、私募債の金利にかかる税負担が %の分離課税(預金等と同じ)ですむのが大きなメリットです。つまり、会社が支払う金利は経費として処理できるため、 100万円の金利であれば、税効果 万円として 万円の実損、一方、個人は100万円の20%、 20万円だけの税負担で80万円の実益となります。 100万円の金利で22万円( 80万円 −58万円)のおトクというわけです。