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退職金は分割支給することができる? | 「税金経営」の時代 | 

多大な退職金を一括で会計処理すると、決算書の当期利益が赤字になったり、大きく利益が減少することもあります。分割支給すると、それが避けられるメリットがあります。ただし、税務上の利益調整とみなされないように、5年程度で分割支給するのがいいでしょう。

役員の退職にともなう退職金額や支給方法については、会社の株主総会等の決議を経て決定され、通常は一括で支給されます。会計上も決議されたときに「役員退職金」として一括して処理されることになります。
ところが、多額な退職金を一括で会計処理をすると、決算書の当期利益が赤字になったり、また大きく利益が減少したりするため、当期だけの「損」ではなく数年かけて「損」を出したい、たとえば毎年1000万円ずつ 年かけて退職金を計上できれば、ということがあります。
また、資金面でも一括支給ではなく、会社の資金負担を考えて毎年1000万円ずつ支給するようにしたい、ということもあります。
税務上、会社の経理処理及び分割支給については、次のような取り扱いになっています。
1.原則、株主総会等で決議されたときに会計上、会社の費用として一括計上します。
支給が遅れた場合も、会計上一括で未払金として計上した後、後日払っていきます。この場合は、資金上は後日の支払いになりますが、会計上一括計上しているため、分割計上ということではありません。
2.上記以外に、決議したときではなく、実際に退職金を支給した都度、会計上の処理を
行うことができます。

5000万円の退職金を毎年 1000万円支払い経費として処理をする

2の方法は総額5000万円で決議された退職金を毎年1000万円ずつ支払うような場合で、支払った都度、会計上の経費として処理する方法です。
この場合、一括で退職金が計上されず毎年1000万円ずつ分割計上されることになりますので、会計上も資金上も平準化することができます。
ただし、支払い年数が長期におよんだり、支払い金額がその都度決められるようなことになれば、税務上利益調整としてうけとられかねないため、せめて 年以内程度の年数でかつ支払い金額を予定するなど、利益調整ではないようにしておく必要があります。
この場合、年金として扱われると一時金ではなく、毎年の所得として税負担が生じるリスクがありますので、あくまで一時金としての退職金である旨を議事録等で明確にしておくことが必要です。
3これらの1、2に加えて、現在は会社の会計処理に関係なく税務上「損」として処理することができるようになっています。
これは、退職金の決議等が行われた時点で会計上の「損」は計上することなく、法人税
の申告書において退職金相当額を利益から減額するというものです。
この場合、会計上の「損」がでないため、決算書上は退職金に関する表示はなにもありませんが、申告書においてのみ「損」が計上されることになります。本来の会計処理ではありませんが、税務上はこのような方法も認められています。

退職金を現物(不動産や役員保険)で支給しても大丈夫? | 「税金経営」の時代 |