どこがどう変わり、何をどう活かせるのか? 「ポイントがまとまっていてわかりやすい」と評判の西村昌彦税理士が、会社法について行ったセミナーの口語録。 これまでの旧法を参照しながら、現状を振り返らせ、改めて会社法を確認するのにピッタリな一冊。急速な変化に対応するためにはぜひ! |
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そうすると、じゃどちらを選んだらよいのというご質問等も、当然出てくると思います。 株式会社になりますと、いろいろと手続面で面倒になってきます。どういう点が面倒にな
ってくるかといいますと、役員には任期があるということです。役員の任期が何年かというのは後でお話ししますけれども、現状、有限会社の役員さんには、任期がないのです。
一度選任されたら、解任にならない限りはずっと役員でいられる。取締役、監査役もしか りですけれども、ずっといられるような形になっています。 ところが株式会社になりますと、任期という制限が出てきます。原則2年なのですけれ
ども、新会社法では10年まで延長することができるという規定はありますが、ともかく任 期がありますので、必ず改選をしなければいけない。改選をしたら当然、登記もしなけれ
ばいけない。登記を忘れますと、登記繁怠ということで罰金を取られてしまいます。登記 をすると、登記料がかかってくるという話で、いろいろと面倒になる。 それからもう一つ、株式会社は、決算書は公告しなければいけない。これについては後
でお話しいたしますけれども、恐らく多くの株式会社が商法違反を起こしております。で も、法律上は、決算書は公告をしなければいけないという話になってきます。こういう二
つの縛りが出てきます。 それがどうしても嫌だと言われる方は、じゃ有限会社で残りますと。じゃ、有限会社で残った場合のデメリットとしてはどういうものがあ るのかということですけれども、これ
については、特に難しいことをしなければ大丈夫なのですね。取締役会とか、会計参与と いう新しい制度ができたのですが、そういうものが設置できないということです。それか
ら、合併とか会社分割を行う場合、また株式交換とか株式移転を行う場合、そういった場 合には、いろいろな制限がついてきたり、できないケースも出てきます。たとえば、株式
交換や株式移転はできませんし、合併をする場合には存続会社にはなれないとか、そうい うような縛りが出てきます。 そこで、これらを見比べていただく、あとは外見というんですか、見てくれの問題です
ね。これらを総合的に考えていただいて、どちらを選択されるのかということになってく ると思います。