書籍 同族会社のための「新会社法」活用術(セミナー録・2006年4月発刊)

どこがどう変わり、何をどう活かせるのか?
「ポイントがまとまっていてわかりやすい」と評判の西村昌彦税理士が、会社法について行ったセミナーの口語録。
これまでの旧法を参照しながら、現状を振り返らせ、改めて会社法を確認するのにピッタリな一冊。急速な変化に対応するためにはぜひ!

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07「新会社法」へ移行時に何をすべきか

そういうことで廃止されるのですけれども、一つだけ縛りを残しました。  皆様方の会社の場合には、こんなケースに該当するわけはないと思いますけれども、お 話をしておきましょう。このpoint4(資料編6ページ)の真中より下のあたり、最低資
本金は廃止されましたけれども、純資産額が300万円以上なければ配当をすることがで きない、ということです。  たとえば資本金1万円の会社があります。純資産額は201万円です。つまり、留保利
益が200万円あります、と。それでは、200万円のうちの100万円配当しよう、と 思ってもできないわけです。201万円しかない。200万円プラスー万円しかないわけ
ですからね。もし配当したければ、少なくとも純資産額、いわゆる純資産の部の合計額を 300万円以上にしなさい、という話です。だから、300万円以上になったら、そのオ
ーバーした分については配当することは可能ですよ、ということですね。そういう縛りが 設けられました。  それから、先ほどの確認会社のことですが、こうした会社が今後どうなるかということ
ですけれども、当然、最低資本金制度はなくなりますので、5年以内に1000万円、あ るいは300万円に増資をする必要はなくなるわけです。ところが、こういう確認会社は、
5年以内に10100万円、もしくは300万円以上に資本金をしなかった場合には解散し ますよ、という旨の規定を定款に設け、なおかつ登記する、それが一つの設立の条件にな
っています。  したがって、その規定を削除しておかないと、やはり現状のまま5年たったら解散にな ってしまいます。もし該当する会社があれば、その定款の規定を削除し、なおかつ登記を
抹消してもらうということが必要になってきます。その定款変更というのは、取締役会の 決議、あるいは取締役の決定で変更することができることになっています。  ご参考までに、確認会社というのは、特別に最低資本金未満でつくった会社のことです。
経済産業省の認可を受けて最低資本金未満でつくった会社ということになります。それら の会社については、取締役会の決議、有限会社の場合には取締役会というものがありませ
んから、取締役の過半数の決定で、解散事由についての定款変更、つまり削除をするわけ です。それから、解散事由の登記を抹消する。こういう手続きをとらないと、やっぱり解
散になってしまいますから、何もしなくてもいいというわけではありません。必ず、こう いう手続きはとっていただきたいと思います。 それから、ついでに、既存の有限会社についてはほとんどやるべき登記手続きはありま
せんが、株式会社に移行する場合には、商号変更のための定款変更等の手続が必要になり ます。現状のまま残る限り、特殊な定款の規定を設けている有限会社以外は、何も登記す
る必要はないということになっています。

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