書籍 同族会社のための「新会社法」活用術(セミナー録・2006年4月発刊)

どこがどう変わり、何をどう活かせるのか?
「ポイントがまとまっていてわかりやすい」と評判の西村昌彦税理士が、会社法について行ったセミナーの口語録。
これまでの旧法を参照しながら、現状を振り返らせ、改めて会社法を確認するのにピッタリな一冊。急速な変化に対応するためにはぜひ!

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15「株式譲渡制限会社」の種々の特典とは何か

資料のpointH(14ページ~)、株式譲渡制限会社にはいろいろな特典があるというこ と、ここが一つの大きなヤマ場ですね。株式譲渡制限会社というのは今までお話したよう
に、ちょっと特殊な取り扱いというか、いろいろな利点がありますよということになりま す。改めてまとめてみたわけですけれども、これですべて網羅しているわけではありませ
ん。重立ったものだけをまとめてみました。  非常に重要なポイントになりますので、これまでにお話ししたことと重複する部分もあ るかと思いますが、順番に説明させていただきます。まず、株式譲渡制限会社については、
取締役会の設置は任意であり、設置しない場合には取締役1人でもよいということです。 また、取締役会を設置しない場合には、監査役の設置も任意になるということになります。
これは先ほどお話ししたとおりです。  ところで、平成18年度の税制改正で、いわゆる「1人会社」に対する課税強化規定か設 けられることになりました。対象となるのは、同族グループの株式シェアか90%以上で、
かつ、同族グループで「常務に従事する役員」の過半数を占めている一定の会社です。  したがいまして、バリバリの同族会社が取締役1人の会社になってしまいますと、もの
の見事に、この規定に引っかかってしまう可能性があります。この点にも十分留意して、 取締役の機関設計を考えて行かなければなりません。  それから2番目として、定款で規定しないといけないのですか、取締役の資格を株主に
限定することかできるということです。ですから、株主でなければ役員になれない。ある いは、株主にならないと役員になれない、というような話になってくるわけです。
 それから、先ほど役員の任期の話をしました。現行では、取締役の任期は原則2年、監 査役は任期か4年という形になっております。これについては、新会社法においても原則
的には変わりません。任期のスタートやエンドの数え方等について、若干変わってきます けれども、2年とか4年という数字自体は変わってこないのです。細かいところはともか
く、株式譲渡制限会社の場合には、この2年を10年に延長することができる。当然、監査 役についてもそうですね、4年を10年まで延長できることになります。有限会社のように
無期限にはできないけれども、10年までは延ばすことができます。だから、今までは、取 締役が2年、監査役が4年ですから、頻繁にほとんど年中行事のように役員改選をしてい
たわけですけれども、今後は10年に1回だけで済むようになるという話です。  でも、逆に10年に1回だけですから、意外に忘れたりするのですね。えっ、もう10年目
かというようなことで、その辺は十分ご注意いただきまして、10年まで延長することがで きるということ。それから、10年までですから、8年でも7年でもよいのですけれども、
最大10年まで伸張することができます、ということです。  それから4番目として、これも先ほどお話ししましたけれども、監査役の権限を会計監 査に限定することができます。これは定款で規定しなければいけないですね。定款で規定
することによって、監査役の権限を会計監査に限定することができるということです。だ から、先ほどお話ししたように、現存の小会社についても、株式譲渡制限会社であれば、
現状のままでいけるということです。

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