書籍 同族会社のための「新会社法」活用術(セミナー録・2006年4月発刊)

どこがどう変わり、何をどう活かせるのか?
「ポイントがまとまっていてわかりやすい」と評判の西村昌彦税理士が、会社法について行ったセミナーの口語録。
これまでの旧法を参照しながら、現状を振り返らせ、改めて会社法を確認するのにピッタリな一冊。急速な変化に対応するためにはぜひ!

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18「定款」は経営権確保のためにどう変えられるか

それから、それと並んでもう一つ重要なのは次の7です。  先ほどは、種類株式を使って、経営権の確保や事業承継を済ませるという話でしたけれ ども、次の7番目のところ、これは種類株式ではありませんが、定款に規定することによ
って似たようなことができますよという話です。剰余金の配当や議決権等に関し、株主ご とに、定款で別段の定めを置くことができますということです。  どういうことかというと、配当や議決権について、株主平等の原則を無視して属人的な
決め方ができるという話です。そうすると、うちの会社の株式については、一族以外の株 主は議決権を有しない、というような規定を設けることができるのではないか。その会社
の株式を持っている人が一族でなければ議決権はない、だから、その株式が一族以外の人 に渡ったとしても、その人は株主であるけれども議決権はない、議決権のない株主という
ような形になります。そういう決め方ができるかもしれないのです。  まあ、配当で差をつけるということはあまりないと思いますけれども、議決権でそうい うふうな差をつけることができる。いわゆる属人的な規定を設けることができるというこ
とです。  もう少し穏やかな話をすれば、議決権の数というのは株数に応じてあるわけでしょう。 2株を持っている人は1株を持っている人の倍、議決権の数があるわけです。だから、た
くさん株式を持っていれば持っているほど、議決権の数も多いわけですね。株主総会での 発言力が強いわけです。ところが、たとえば、株主―人につき1議決権ですよというふう
に規定することもできる。だから、たくさん株を持っている人も、少ししか持っていない 人も、みんな1票ずつ議決権を持っている。そういう決め方をすることもできるという規
定です。  配当だってそうですね。1株につき幾らじゃなくて、1人につき幾ら配当しますよと、 そのようなこともできるという話です。自由にそのような設計ができるという話になって
くるわけです。よく定款自治といいますけれども、定款に規定を設けることによって、か なり自由なことができるという話です。この制度は非常に使い勝手がいいと思います。か
なりの利用価値があるのではないかと思います。  ところで、定款にそういう規定を設ける場合ですけれども、まず、定款の変更をしなけ ればいけませんね。その場合には、通常の定款変更の要件よりも厳しくなっています。つ
まり、特別決議よりも厳しくなっていまして、総株主の半数以上、かつ総株主の議決権の 4分の3以上となっています。株主の人数でいけば半数以上、議決権の数でいけば4分の
3以上の賛成かないと定款変更かできないという話になります。でも、いったん、定款変 更してしまえばこちらのものです。だから株主か分散しないうちに、さっさと定款変更し
てしまったほうか勝ちという話になります。  私としては、6番の議決権制限株式よりも、むしろ7番のほうが使えるのではないかと 思っております。7番の規定については、ちょっと頭に入れておいていただきたいと思い
ます。種類株式を利用する場合、新たに種類株式を発行するのは簡単ですが、既存の株式 を種類株式に換えるというのは非常に難しい。少々、テクニ″クを要するのですね。先ほ
どご説明した取得条項付株式を使うことになるでしょう。紙面の制約上、ここでは詳細を お話できませんけれども、おそらくこれを使うのです。そして、全部、種類株式に換えて
 ところが、こちらの7番目の定款変更なら、もっと簡単にできる。そうすると、この7 番目の規定というのは、非常に大きな重要性を持っていることになります。

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