書籍 同族会社のための「事業承継」

今年の税金改正では、「非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度が創設されました。この制度を選べば、事業承継の相続税の負担が猶予される可能性も出てきました。セミナーの人気講師でもある西村昌彦税理士が、今回事業承継を検討する経営者の立場で法活用を伝授する一冊。会社法や税法の解説から綴られた「法解釈本」とは一線を画す、実用的ノウハウ本です。

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1-02株価は毎年、定期的に算定せよ

それでは、この株主名簿に目を通して、どの辺りをチェックするのでしょうか。
 先ほど、事業承継プランニングは、まず株主名簿に始まると言いました。
 それでは、株主名簿で始まりまして、2番目にやることは何かと言いますと、皆様方の会社
の株価算定、皆様方の会社の株価を算定することが、2番目にすべきことになります。
 ところで、皆様方は、皆様方の会社の株価を、毎年、きちんと算定されていますか。
 もし、毎年々々、きちんと算定されているということであれば、それはたいへんに優秀です。
 私は、常々、皆様方におすすめしているのですが、法人税の申告書は、必ず、年1回は提出
するわけですよね。決算期が、年に1
回、必ず到来するわけですから。
 それと同時に、ワンセットという形で、必ず株価も算定してもらう。
 決して、皆様方に、株価を算定しろ、と言っているわけではないのです。
 次で簡単に触れますけれども、非上場会社の株価の算定方法は、どんどん複雑になっていま
して、昔でしたら、ちょっとした聞きかじり程度で、ある程度の株価は算定できたのですけれ
ども、段々と特例事項が増え、いろいろと条件が細かくなったりして、専門家でないと正確に
算定できないケースが増えてきました。
 ですから、皆様方の会社の顧問の税理士の先生に、算定をお願いなさればよいと思います。
 そこで、その依頼をするタイミングです。
 どういうタイミングでお願いをするのか。毎年、必ず算定をお願いする。そのタイミングと
して一番よいのが、決算書ができ上がった時点、法人税の申告が終わった時点が、一番区切り
がよいのではないかと思います。
 毎年、新しい決算書と法人税の申告書に基づいて、きちんと株価を算定していただく。申告
書の提出期限と多少ずれることはあると思うのですが、多少のずれがあったとしても、その決
算が終わったら、その新しい決算書と法人税の申告書に基づいて、皆様方の会社の株価の算定
報告を、必ず、きちっとしてもらう。こういう習慣をつけておかれたらよいと思います。
 このように習慣づけておくと、将来的に、大いに助かることになると思います。
 非上場会社の株価というのは、毎年の業績によって変動します。
 また、たくさんの土地をお持ちの会社ですと、路線価が毎年7月1日頃に公表されるのです
が、その路線価によって株価が影響を受けます。
 ですから、株価算定のタイミングとしては二つあると思います。
 土地を非常にたくさんお持ちの会社については、新しい路線価が出た時点でお願いをする。
そうでない会社については、決算が終わった時点で、新しい決算書と法人税の申告書に基づい
て株価を算定していただく。いずれかのタイミングを、それぞれの会社なりに決めていただい
て、少なくとも毎年1回は、株価の計算をしていただくということになります。
 このようにして算定された株価に基づきまして、オーナーの皆様方が持っていらっしゃる株
数については先はどの「別表二」でわかりますから、掛け算をしていただきますと、皆様方が
ご所有の自社株の評価額がわかります。
 もっとも、この評価額は、あくまでも税務署が決めた価額ですから、本来の価値とは違うの
ですが、税務署が、皆様方がご所有の自社株についての相続税を計算する上で、あるいは贈与
税を計算する上で、どれくらいの評価をするのかがわかります。
 この計算を、毎年、必ずやっていただくというのが、「別表二」をご覧になられたときの最
初のチェックポイントです。

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