書籍 同族会社のための「新会社法」活用術(セミナー録・2006年4月発刊)

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24「基準日後になった株主」の議決権はどうなるか

 それから、point24(資料編25ページ)のところ、基準日後になった株主も議決権を行 使できますよというお話です。  これはどういうことかというと、多くの会社は3月決算で、通常、株主総会を6月に開
きます。株主総会に招集する株主を特定できないと困りますので、大体は基準日というの を設けまして、3月末時点で株主である人を株主とみなして招集通知を発送し、株主総会
で議決権を行使してもらう。そういう規定を設けている会社は、結構多いですね。特に上 場会社の場合は、そうだと思います。  そうすると、たとえば、3月末の後、4月1日から株主総会までの間に増資をしました、
あるいは合併をしましたとなると、株主が増えますよね。新たに株主になった人か、当然 出てくるわけです。この規定でいきますと、その新たに株主になった人というのは、目前
の株主総会で議決権を行使できないことになるわけです。なぜならば、3月末時点では株 主ではないから。それでは不都合な場合もあるので、会社の判断で、そういう人たちにも
議決権を与えてもよいということになっているのですね。そういう規定です。  ここで私が言っておきたいことは、たとえば、4月1日から株主総会までの間に株式の 譲渡が行われました、株の売買が行われましたという場合です。買主は新たに株主になっ
たわけで、その人に議決権を与えることができるのかどうかという問題です。  勘違いされると困るので、あえてここでコメントをしておきますが、これについては資 料のpoint24を見ていただきたいと思います。但し書き以下のところの4行の部分です。
法律では、基準日において株主であった者の議決権を害することはできない、ということ になっています。これは、基準日で株主であった人の議決権を剥奪するということはでき
ない、というふうにとっていただければよいと思います。もし、株式の譲渡で株式を取得 した人が議決権を得るということになると、基準日に株主であった売主には議決権がなく
なる形になりますね。だから、だめだということです。結局、売買により株式を取得した 人については、議決権を行使できないということになるのです。 ただし、基準日後に、自己株式の処分により発行会社から株式を譲り受けた人については
別です。もともと、発行会社が所有している自己株式には、議決権がないわけですから。
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