書籍 同族会社のための「新会社法」活用術(セミナー録・2006年4月発刊)

どこがどう変わり、何をどう活かせるのか?
「ポイントがまとまっていてわかりやすい」と評判の西村昌彦税理士が、会社法について行ったセミナーの口語録。
これまでの旧法を参照しながら、現状を振り返らせ、改めて会社法を確認するのにピッタリな一冊。急速な変化に対応するためにはぜひ!

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25「株券不発行会社」になるためには

 次は、2大商法違反のもう一つです。株券を発行しないのが原則になる、という話です。 巻末の資料でいけば、26ページになります。  先ほど、商法違反の1つとして株券の発行があります、というお話をしました。現行で
は、株式会社は株券を発行するのが原則になっております。もっとも、04年の9月以前に おいては、全ての株式会社について、株券の発行が強制されていました。04年の10月から
商法が改正になりまして、原則は発行、例外的に不発行も認めるということになりました。  例外的にということは、定款に規定をして、もちろん登記もしなければだめですが、う
ちは株券不発行会社ですよという定款の規定を設け、なおかつその旨を登記した場合に限 り、株券を発行しなくてもよい、と。そういうふうに、商法が変わったのですね。だから
現行では、原則発行、例外的に不発行という形になっています。  ところが、新会社法におきましては、これが逆になります。原則は不発行、例外的に発 行。うちはどうしても株券を発行したいのだという会社は、定款に、うちは株券発行会社
ですよという規定を設けて、登記をするわけです。だから、今までと、全く逆のことをす る。それが新会社法施行後の話です。  そうすると、商法違反が解消されてよかったと、皆さんは胸をなでおろされるかと思い
ますが、それは大きな間違いです。なぜかというと、先ほどの話は、新しく作った株式会 社の話です。既存の株式会社については経過措置というものがありまして、現在株券不発
行会社でない会社が新会社法に突入した場合、つまり、新会社法の施行前に株券発行会社 であった会社は、施行後も株券発行会社とみなすという形になるのです。定款に、うちの
会社は株券を発行しますよという規定がある会社とみなします、と。定款には何も書かれ ていないにもかかわらず、法律上は書いてあるものとみなしますよ、という話になってく
るわけです。だから、皆様方の商法違反は、いつまでたっても解消されないという話なの です。  では、何をしなければいけないかというと、方法は二つです。  今のうちに株券不発行会社になる手続きをとってしまう。つまり、今のうちに定款の規
定を設けて、登記をして、株券不発行会社になってしまう。こうすれば、あとは何もしな くてもよいわけです。新会社法になったとしても、自動的に株券不発行会社になるわけで
すから。  もしくは新会社法になった段階で、定款を変更して、実際には定款には書かれていない 規定を抹消するという形です。目に見えない定款の規定を抹消する、定款の変更手続きを
とる。当然、登記も変更しなければいけないですよね。登記も抹消手続きをとる。  どちらかを選ばなくてはいけないという話です。そうでないと、いつまでたっても商法
違反のままになります。その辺のところを忘れないでいただきたいですね。何もしなけれ ば、商法違反のままずっと行ってしまうということです。  

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