いろいろな働き方ができるいま、自分で独立起業するのも選択肢のひとつとして注目されているなかで、会社設立を考えている人もいるでしょう。ただし、会社を設立するのは思った以上に大変です。スムーズに準備するためには、しかるべきところに相談したほうがよいかもしれません。この記事では、会社設立を予定している人を対象に、おすすめの相談先や相談する際のポイントを紹介していきます。
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会社を設立する際には、いろいろな準備をしなければなりません。個人事業主として仕事を始める場合も開業届などが必要ですが、会社設立時にはより専門的な知識が求められます。会社設立に必要な情報は、書籍やインターネットなどで収集することが可能です。実際、このような方法は手っ取り早いとも言えるでしょう。しかし、それだけでは十分ではありません。情報源の見分け方を誤ると、自分が欲しい情報を得るのが難しくなってきます。開業資金の準備もそのひとつです。開業には、まとまった資金が必要ですが、融資に関する情報が少ないと資金調達に悩む人もいるでしょう。
このような理由もあり、自分で何とかしようなど、会社設立をあまく見ないことが大切です。経営規模の大小にかかわらず、一人でがんばるのには限界があるからです。会社設立をスムーズにするためにも、専門家への相談を前向きに検討しましょう。登記手続き、税務手続き、公的書類作成、監査など、会社設立に際して準備すべきことは多岐にわたります。そのため、各分野のプロフェッショナルに相談することで適切なアドバイスが受けられるのです。また、自分で勉強するよりも時間や手間がかからないことも、専門家に依頼するメリットと言えるでしょう。
開業するときは、会社設立に必要なアドバイスを受けながら自分で手続きを行う方法があります。ここでは、その際に利用できる相談先を紹介していきます。
会社をつくるためには会社設立登記が必須ですが、それに必要な手続きは法務局窓口で完了します。また、法務局は登記申請を受け付けるところなので、法律に基づいた的確なアドバイスが受けられます。無料で相談できることも大きな強みです。ただし、こちらでの相談が事前審査の代わりにはならないなど、法務局窓口での相談に際して押さえておくことが少なくありません。さらに、予約制のところが多い点にも注意が必要です。開業日が近づくにつれて、いろいろな準備で忙しくなるため、法務局相談窓口の予約は早めにしておきましょう。
なお、法務局窓口で相談ができるとはいえ、書類の作成は自分でしなければなりません。そのため、法務局での相談は、会社設立に関してある程度の知識がある人に向いています。基本を把握したうえで疑問点を質問することによって、時間の有効活用にも役立つでしょう。なお、相談に行く前には、法務局サイトで必要書類などを確認しておくことも大切です。
会社設立に関する疑問点などは、地元の商工会議所で相談する方法もあります。こちらは全国のほぼすべての地域にある大変身近な存在です。無料で相談できるところが多い点にも注目です。また、商工会議所によっては、独自の会社設立相談窓口を設けているところがあります。そのようなところでは、起業に関することだけでなく、経営に関するアドバイスなどを受けることも可能です。
ただし、商工会議所によっては、相談するために事前予約が必要なところもあるので、しっかり確認しましょう。また、商工会議所で相談した場合も、会社設立の関係書類は自分で作成する必要がでてきます。なお、商工会議所には公的組織のイメージがありますが、こちらは民間団体です。そのため、情報が不確かなことや、最新のものではないといった可能性も考えておかなければなりません。
東京都内での開業を検討している人は、東京開業ワンストップセンターを利用する方法があります。こちらは国と東京都が設置しているもので、すべての相談が無料で受けられるほか、会社設立に必要な手続きがまとめてできるなどのメリットも大きいです。各省庁の担当者が常駐しているので、定款認証、登記、税務に関することなど、疑問点のスムーズな解消にも役立ちます。中小企業診断士による経営相談や創業支援が受けられることも大きな強みです。さらに、各種手続きを行ううえで、専門家との相談にテレビ電話の活用が可能になるなど、東京開業ワンストップセンターはこれまで以上に身近な存在になりました。
開業手続きに関して学びたい人は、定期的に開催されている「東京開業支援セミナー」の受講がおすすめです。ただし、開業に必要な書類作成は自分で行わなければなりません。その点は、法務局窓口や商工会議所との共通点と言えます。また、東京以外で起業を考えている人は、東京開業ワンストップセンターの利用ができません。
会社設立に必要な手続きを自分で行うだけでなく、専門家に依頼する方法もあります。ここでは、専門家に会社設立を依頼する場合、具体的な相談先について紹介していきます。
行政書士は行政手続きの専門家です。そのため、官公庁に提出する公的書類の作成が得意なのは言うまでもありません。また、開業に際して許認可を必要とする業種の場合、行政書士に依頼することでスムーズな手続きが可能です。具体的な業種として、運送業、飲食業、建設業などがあります。許認可が下りるのに時間がかかると予定通りの開業が難しくなるかもしれません。そうならないためにも、行政書士への依頼を検討するとよいでしょう。ちなみに、許認可手続きの代行ができるのは行政書士だけです。
行政書士の仕事は多岐にわたり、定款の作成も得意としています。こちらは、会社設立に欠かせない大切な書類です。法的に問題がないだけでなく会社運営をスムーズにする内容にするためにも、行政書士に依頼するメリットは大きいと言えます。一方、行政書士は登記手続きの代行ができないので注意しましょう。そのため、登記手続きを自分でするほか、行政書士と提携する司法書士に依頼する必要がでてきます。もし、行政書士から司法書士を紹介してもらえなければ自分で探さなければなりません。
また、業種によっては先述の許認可手続きが必要な場合でてきます。そのため、依頼予定の行政書士が最新情報を得ているかどうかが鍵を握ります。行政書士への依頼に際しては、このような点を踏まえたうえで会社設立に強いところを選ぶことが重要です。
司法書士は法律事務の専門家です。また、会社設立に必要な登記手続きを代行できるのは司法書士だけという強みを持っています。先ほど、定款作成が行政書士の得意分野と説明しましたが、定款作成と登録申請代行ができるのは司法書士のみです。会社設立手続きのために法務局窓口に出向くには、まとまった時間が必要です。設立準備に忙しくて時間が取れない人などは、司法書士に依頼するメリットが大きいと言えるでしょう。電子定款認証に対応するところが多い点も見逃せません。
ただし、許認可業務の代行は司法書士にはできません。このような理由から、司法書士への依頼は、許認可の取得を必要としない業種での開業したい人におすすめです。また、ワンストップで会社設立だけをお願いしたい人にも、司法書士への依頼が向いています。なお、司法書士に支払う報酬も気になるところです。こちらは行政書士よりも高い傾向にあるので注意しましょう。
税理士は税務関係の専門家です。そのため、税務関係の届出書の作成や提出を代行することができます。ただし、登記手続きは司法書士でないとできないため、税理士に依頼する際には注意が必要です。このような背景もあり、税理士に依頼するメリットは会社設立後のほうが大きいと言えます。会社を設立すると確定申告が必要になります。申告に必要な書類作成のためには、日常の経理事務を確実に行わなければなりません。そのために時間を費やした結果、本来行うべき業務に支障をきたすことも少なくないでしょう。しかし、税理士に頼ることで、このような課題克服にも役立ちます。
税理士への依頼によって、節税のための的確なアドバイスが受けられることもメリットのひとつです。また、金融機関とのつながりが強い税理士に依頼することで、金融機関の担当者を紹介してもらえる可能性もあります。その結果、資金繰りの課題解決につながるかもしれません。さらに、税理士と顧客契約を結ぶことも可能で、それにともなうメリットにも注目されています。会社設立後の顧問契約を条件にすることで、会社設立のサポートが格安になったり無料になったりするケースもあるからです。
会社設立時には、登記手続きや書類作成などを欠かすことができません。しかし、会社設立に必要な準備はほかにもいろいろあるため、諸手続きに時間を掛けられないのが現状です。このような課題を抱える人にとって、会社設立代行会社の存在は大きいと言えるでしょう。こちらに依頼することで、登記手続きや書類作成など複雑な手続きを代行してもらえます。また、司法書士などに依頼する場合と比べ、費用が安く済むケースが多い点も見逃せません。
代行会社への依頼によって、書類集めや作成などがスムーズに行えます。申請した書類に不備があると修正を求められますが、代行会社は書類作成に慣れていることが大きな強みです。必要な諸手続きがスムーズに行えるため、会社設立までの時間短縮にもつながります。開業手続きに費やす時間をほかの準備に回せるメリットが大きいと言えるでしょう。
代行会社によっては、会社設立に関する悩みについて総合的なアドバイスをしてくれるところもあります。これから会社をつくる人にとって、資本金の決め方、融資の審査を通るコツなど、越えるべき課題は山ほどでてくるからです。これらは会社経営を左右しかねないものなので、専門家からのアドバイスは大きな強みになるでしょう。また、代行会社のサービスやプランによっては、税理士との顧問契約が可能なこともあります。会社の安定経営に税理士の存在は大きいだけに、このような点も確認しておくとよいでしょう。
会社の設立に際しては、将来の方向性を明確にしていく必要があります。そのために専門家のアドバイスを受けるのも一案です。ただし、会社をつくりたいという勢いだけで相談するのはよくありません。ここでは、専門家に相談するときに知っておきたいポイントについて紹介していきます。
会社をつくるときは、事業計画をしっかり立てておく必要があります。そのためには、起業目的を明確にすることが大切です。進むべき道をはっきりさせることで、共感した人の協力を得ることにもつながります。事業計画を自分で立てるのはもちろんですが、そのうえで家族や友人など身近な人に見てもらうことも大切です。もし、事業計画に無理があるとの指摘を受けたときは、素直に耳を傾けましょう。しっかりした事業計画を立てることで、無理がないかどうかなど、専門家からの的確なアドバイスが受けやすくなります。
具体的な計画内容として、売上や利益のシミュレーションは必要です。しかし、予想通りにいかないほうが多いことを覚悟しておきましょう。また、会社を設立する場所、従業員数、資本金額なども決めなければなりませんが、妥協についても検討する必要もあります。むしろ、すべてに完璧を求めるのではなく、大まかに決めておくことが大切です。
会社をつくるためには、まとまった資金準備が欠かせません。また、開業してから事業が軌道に乗るまでには時間が掛かることも少なくないでしょう。このような可能性があるので、開業の際には半年~1年程度の運転資金があると安心です。そのためには、会社設立の時期について慎重に検討する必要があります。会社勤めをしている人が独立するときは、退職するタイミングも考えなければなりません。そのうえで、会社設立や経営に詳しい専門家に相談して、資金面での不安解消に役立てましょう。
専門家に相談することで、資金が十分にあるかだけでなく、資金繰りの見通しが明るいかどうかなどのアドバイスが受けられます。そのうえで、補助金や助成金、融資など、会社の設立や経営に必要な資金について教えてもらうことも可能です。会社設立に必要な資金を自己資金だけで賄うのは困難かもしれません。資金面での不安を軽減するためにも、複数の資金調達方法を押さえておくことが大切です。
会社をつくるためには、さまざまな手続きが必要です。それらをすべて自分で行うのではなく、専門家に依頼することでスムーズにできます。また、必要な情報が得られる、アドバイスを受けられるなど、専門家に頼るメリットも少なくありません。起業に際しては会社設立の手続きを代行している「会サポ」のサポートを利用する方法があります。「会サポ」に依頼することで、提携の税理士や司法書士に相談することも可能です。