書籍 同族会社のための「新会社法」活用術(セミナー録・2006年4月発刊)

どこがどう変わり、何をどう活かせるのか?
「ポイントがまとまっていてわかりやすい」と評判の西村昌彦税理士が、会社法について行ったセミナーの口語録。
これまでの旧法を参照しながら、現状を振り返らせ、改めて会社法を確認するのにピッタリな一冊。急速な変化に対応するためにはぜひ!

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30新たな決算書「株主資本等変動計算書」とは

それから、もう一つ大きな問題として、こういう形で、期中に好きなように配当金を出 し、好きなように利益処分をすることができます。そうすると、前期末の貸借対照表と当
期末の貸借対照表の純資産の部の中身は、もう全然一致しなくなるわけです。その間にど んな動きがあったのか、さっぱりわからない。今までだったら、大半は、期末の利益処分
でしか動かせなかったわけですから、とくに問題はなかった。  ところが、これからは、期中に自由に動かしてよいという話になりますから、前期末の 貸借対照表の資本の内容と、期末の貸借対照表の資本の内容が、大きく様変わりしてしま
うわけです。その間に、どのように動いたのか、まったくわからない状態になるのです。  そこで、新たに「株主資本等変動計算書」という計算書類を設けなさいという話になり
ます。資料の52ページのpoint45、それから58ページです。  まず、52ページのほうからいきましょう。  現行の商法で決算書類とは何を指すかということになりますが、これは皆さんもおなじ
みで、貸借対照表、損益計算書、営業報告書、利益処分案または損失処理案、それに附属 明細書、こういう種類があるわけです。これが新会社法ではどうなるかというと、まず、
営業報告書が事業報告という名前に変わります。それから、利益処分案または損失処理案 がなくなって、株主資本等変動計算書という新しい計算書類を作成することになります。
 また、それぞれの計算書類に掲載されている注記についても、新会社法では、「注記表」 として、一つの計算書類として位置付けられることになります。  あとは、用語の説明ですけれども、貸惜対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、
注記表をまとめて計算書類と呼びます。それから、附属明細書については計算書類の附属 明細書と事業報告の附属明細書の二つに分かれますよということです。ところで、株主資
本等変動計算書とは、期中における資本金・準備金・剰余金などの変動を記載した計算書 類です。新会社法では、期中いつでも、剰余金の配当や剰余金の処分、いわゆる利益処分
や損失処理などができるため、このような計算書類が必要になるのです。  この計算書のひな形を、資料の58ページに掲載しておきました。この他にも縦型があり ますけれども、横型のほうが一覧性があってわかりやすいので、こちらのほうをお勧めい
たします。  一番上の行に前期末残高を記載する。その下に、期中の変動をその事由ごとに記載して、 一番下の行に当期末残高を記載するという形です。当期末処分利益という記載はどこにも
ないでしょう。上から7行目に、「当期純利益」というのが出てきます。損益計算書の当 期純利益はここにくる。だから、当期末処分利益という表示は、もう不要になるのです。
 それから、上から4行目のところに「剰余金の配当」とありますが、ここには、当期に 支払った配当金が記載されます。あと任意積立金の増減等についても、すべてこのように
記載します。

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