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ランニングが趣味です。3ヵ月後にフルマラソンを控えています。軽い腰痛があるのですが、どうしても出場してみたい大会です。そこで月に2~3回ほど腰の治療を兼ねて接骨院に通うことにしました。この場合にかかる費用は、医療費控除の対象になりますか。
鼻の横に小さなホクロがあり、昔から気になっていたので、皮膚科の先生に相談したところ「スーパーパルスレーザー治療」を勧められました。費用は手術代が9940円で、検査費用が3080円かかりました。こちらは医療費控除の対象になりますか?
鼻の横のホクロは大小を問わず、目につきやすいため、特に女性の場合は「なんとかしたい」と思われるようです。たしかに、コンプレックスだったホクロがなくなり、気持ちも明るくなったという方もいらっしゃるようです。
レーザー治療は、手術時間も5分程度で、それほどむずかしい手術ではないこともあり、受ける方が増えています。
今回のご質問は単に気になるホクロをとってもらうときの費用が、医療費控除の対象になるかどうかということですが、まず、医療費控除の対象となるのか、ならないのかを考えるにあたり、「そもそも医療費控除の対象となる医療費とは何か」という原点に戻る必要があるでしょう。
つまり、実際にこのホクロの治療が身体の健康上必要だったのかが、論点になってくると考えられます。
今回のケースでも、ホクロ除去手術があなたの身体のことを考えたときに、必要だったのかが求められますが、実際には、容姿を美化することや容ぼうを変えることを目的としている手術です。そのため、医療費控除の対象にはなりません。
ただし、ホクロにもがんのもとになるものもあります。新たな病気を誘発するものであれば、治療する必然性があるため、医療費控除として認められることになります。
たとえば、足の裏に悪性のがんだと認められたホクロがある場合のその除去にかかる費用は、あくまでも治療の一環として行われるものです。ですから、医療費控除の対象となるものと思われます。
極度の近視のため、コンタクトレンズを8年近く使ってきましたが、目が乾き、夕方になると目が充血するように。裸眼では0.03という強度な近視のため、コンタクトなしでは不便です。そこでレーシック手術を受けました。 35万円の費用は医療費控除になりますか?
レーシック手術は、医療用レーザー「エキシマレーザー」を使って視力矯正をする技術です。アメリカで生まれた技術ですが、日本でも急激に普及しています。
手術は、角膜をきってレーザーをあてることで視力矯正をするのですが、所要時間は10分ほど。野球やサッカーなどのスポーツ選手がこの手術を行なっていることもあり、とてもメジャーになってきています。
さて、私どもに医療費控除のことで相談される方が心配されるのが、「費用が高額なのですが、税務署から問題視されませんか」ということでしょう。心配することはありません。この手術は医学的な方法により目の機能を正常な状態に回復させるものであり、医師が治療のために手術を行なったものと認められるからです。
ただし、もし、手術にかかる費用の相場が7万円程度なのに、手術した病院だけが、35万円であれば、税務署からその理由を尋ねられるかもしれません。
しかし、最近はレーシック手術のCMが流れたり、手術を受けている人も増えてきているため、比較的高額な費用を要する手術ですが、視力を回復できるという事実が一般に認知されてきています。そういう意味で、「一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とする」という規定に、抵触しないと思われます。
なお、生命保険などの保険に入っている方は、レーシック手術を受けたことにより、保険会社から保険金が支給されることがあります。この場合は医療費の集計を行う際に注意が必要です。
レーシック手術を受けて病院に35万円を支払った場合に、保険会社から保険金として5万円の支給を受けた場合を想定します。
この保険金として支給を受けた5万円は「医療費を補てんする保険金など」に当たるため医療費控除の対象額を計算するときに控除しなければなりません。すなわち、35万円から5万円をマイナスした30万円が医療費控除の対象となりますので、注意してください。
骨折して、3週間入院しました。病院から出された食事の代金は医療費控除の対象になると聞いたのですが、本当でしょうか。病院食が控除対象になるのであれば、病院内の売店で購入したパンやおにぎり代なども認められると思い、領収書は大切にとってありますが、こちらはいかがでしょうか。?
入院を経験したことがある方はおわかりのように、入院費用には治療に直接要した費用だけでなく、食事代なども含まれます。通常、病院からこれを分けて請求されることはないでしょう。この場合の食事代は入院費用の一部であり、入院のための対価として支払われるものですから、医療費控除の対象となります。入院するということは、当然その間に食事を摂る必要がありますから、「その食事代についても治療などをするために必要な費用として、医療費に合まれるものとして考えていいですよ」ということです。
ただし、病院の近くの定食屋から出前をとったり、外食をした場合の食事代や、売店でパンやおにぎり、お菓子などを買った場合の購入代金は、医療費控除の対象とはなりません。これらの費用は病院が治療のために必要だと認めた費用ではなく、入院の対価にはあたらないためです。
あくまでも、病院側から食事を給付され、入院の対価として支払った場合に限り、食事代についても医療費控除が認められるわけです。
それでは、入院患者に付添う家族の食事代についてはどうでしょうか。
これは、医療費控除の対象とはなりません。これも同様の理由により、付添う家族の食事代は入院患者の治療などのために直接必要な費用とは認められないことから、医療費には合まれないと考えられています。
足の機能障害を回復させるために、1ヵ月ほどリハビリテーションができる病院に入院しました。後日、病院からシーツと枕カバーのクリーニング代金を請求されました。こちらが「シーツを替えてください」と希望したものでなく、病院の都合で行なったものです。そう考えれば、医療費控除の対象になるように思われますが、この解釈でいいですか。
クリーニングはその内容によって、取り扱いが変わってきます。医療費控除の対象になるものは病院が用意したシーツや枕カバーなどをクリーングした場合です。
病院が用意したもののクリーニング代は、入院の対価として認められますが、同じクリーニングでもご自身が着用したパジャマなどは入院の対価とはならないため、医療費控除の対象にはなりません。
一般的に入院中にかかった費用は全部医療費になるものと考えがちですが、医療費控除の対象となるのは、治療費、部屋代、食事代などの入院費、そのほか治療上の必要から医師の指示によって購入する松葉杖などの器具です。
入院に際して、下着やパジャマその他の身の回り品を購入することがありますが、この対価は治療とは直接関係する費用ではないので、その購入代金は医療費控除とはなりません。
そのほか、入院中には病室に備え付けのテレビの賃借料を支払うことがあります。このテレビの賃借料は入院しているからこそかかる費用ですが、単に入院生活を快適に過ごすためのもので治療とはかかわりのないものです。
そのためこのような費用は、医療費控除の対象にはなりません。また、入院が長期におよぶ場合には病院内の理髪店などで散髪をすることがあるかもしれません。
この場合の散髪代もテレビの賃借料が対象にならないのと同様に、入院生活を快適に過ごすためのものと考えられることから、医療費控除の対象にはなりません。