エアハラとは、エアコンハラスメントのことです。
寒がっている社員がいるのにエアコンの設定温度を極端に下げたり、猛暑日または真冬日にもかかわらず、エアコンを使わせないなどの、エアコンに関する嫌がらせ行為のことをいいます。
これらの嫌がらせ行為が要因となって、体調不良を引き起こすことがエアコンハラスメントの被害として報告されており、社会問題となっています。
このような会社に勤務しておりエアハラの被害にあっている人は、どのように対処するのが良いのでしょうか。
そこで、ここでは、エアハラとはどのようなものなのか、また、対処方法はどうするのが良いのか、ということについて、くわしく見ていきたいと思います。
目次
エアコンハラスメントの正式名称は、エアーハラスメントになるのですが、エアーハラスメントには「場の雰囲気(空気)を悪くするなどの嫌がらせ行為」のことを指すものが存在します。
そのため、両者を区別するために、エアコンハラスメントと呼ばれることもあるようです。
では、エアコンハラスメントとは具体的にどのようなものなのかについて、見ていきたいと思います。
周囲の人が寒がっている、または、暑がっているのに対して、設定温度を極端に下げたり上げたりすることはエアコンハラスメントに該当します。
寒さや暑さを感じる程度は人それぞれです。
特に、男性に比べて女性の方が冷え性の人が多いため、エアコンが苦手な人も多く、冷房の設定温度で快適に感じる温度は、男女間で差があります。
それを理解した上で、エアコンの設定温度を調節することが重要です。
猛暑日または真冬日であるのに、「経費削減だ!」「節電だ!」といってエアコンを使用しないということもエアコンハラスメントに該当します。
エアコンを使用しない背景としては、東日本大震災の時に節電ブームと謳われていたことがきっかけとなり、それを現在でも警戒して節電をしている場合が要因として考えられます。
上記のような行為は、パワハラにも該当します
エアコンの設定温度に対して、上司が「この設定温度じゃないと暑い!(または寒い!)」「設定温度を変えたらさらに業務量を増やすぞ!」と圧力をかけたり、そもそも会社でエアコンの使用を禁ずるような明確な提示があるのであれば、それはパワハラに該当します。
ただし、個人で勝手に設定温度を変えていて、それを変えないように強制されているわけではなく、相手に気を遣ってなかなか言い出せない場合には、パワハラで訴えるのは難しいといえるでしょう。
上記のようなエアコンハラスメントによって、どのような健康被害が考えられるのでしょうか。
エアコンハラスメントの健康被害の内容
上記のように、身体の冷えが原因となって生じる健康被害を訴える人は少なくありません。
身体の冷えは、内臓の冷えにもつながり、便秘や下痢を引き起こすほか、血管が収縮することにより、肩こりや頭痛を引き起こす要因となります。
また、冷え性の場合には老廃物や水分が体内に溜まりやすくなり、むくみの原因となる場合もあります。
エアコンの使用を禁止すると会社で明確に提示されている場合は、法律違反となります。
労働安全衛生法の第七十一条では、下記のように記載されています。
(事業者の講ずる措置)
第七十一条の二 事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、次の措置を継続的かつ計画的に講ずることにより、快適な職場環境を形成するように努めなければならない。
一 作業環境を快適な状態に維持管理するための措置
二 労働者の従事する作業について、その方法を改善するための措置
三 作業に従事することによる労働者の疲労を回復するための施設又は設備の設置又は整備
四 前三号に掲げるもののほか、快適な職場環境を形成するため必要な措置
また、事務所衛生基準規則の第五条の三項では、下記のようにも記載されています。
(空気調和設備等による調整)
第五条
三 事業者は、空気調和設備を設けている場合は、室の気温が十七度以上二十八度以下及び相対湿度が四十パーセント以上七十パーセント以下になるように努めなければならない。
上記の法律を違反することによって健康被害が生じた場合には、労災認定がおりるため、お金を請求することができます。
しかし、上司から設定温度の強要をされていて、被害者が我慢して言えない場合には、労災認定を得ることは難しいといえます。
労災認定されるかどうかのポイントは、「業務遂行性」と「業務的起因性」によるため、全ての原因が会社側にないと判断された場合には、難しいと考えられます。
それでは、エアコンハラスメントの被害に遭わないための、個人でできる対処法についてご紹介します。
エアコンが効いているオフィス内と、エアコンが効いていないオフィス外とでは、気温の差が激しくなるものです。
そのため、エアコンが効いているオフィス内で寒さを感じる場合には、寒さの程度に合わせた厚さの上着を持参することがおすすめです。
上着を一枚羽織るようにするだけでも、体温調節をすることが容易になります。
エアコンなどの冷気によって、内臓まで冷えてしまう場合もあります。
身体の冷えを感じる前か、感じた後からでも良いのですが、温かい飲み物を飲むように意識することで、身体の内から冷えを緩和することができます。
ひざ掛けやネックウォーマー、ブランケットやスカーフなどの防寒できるグッズを自分の冷えの状態に合ったものを持参することで、冷えを防ぐことができます。
しかし、防寒グッズを活用しすぎると、むしろ暑さを感じて汗をかいてしまうため、それが原因でさらに冷えてしまうことも考えられます。
それを防ぐためには、自身の身体の冷えの状態に合わせた防寒グッズを身に付けるようにすることが重要です。
最近では、暑さ対策のために、携帯用(電池式または充電式)の扇風機や、オフィス用に使えるパソコン接続型のUSB対応扇風機も発売されています。
また、仕事をしながら首に巻ける型の扇風機も発売されていますので、自身の用途に合わせたものを使用することで、暑さ対策を行うことができます。
冷却スプレーや汗拭きシートなどの清涼グッズを必要に応じてこまめに使用することも、エアコンハラスメントを防止することに繋がります。
また、汗をたくさんかくことによって生じる悪臭などによるスメルハラスメントも防ぐことができるので、持参しておくことが無難といえます。
会社内で、エアコンハラスメントが起こらないようにするためには、どのようにすれば良いでしょうか。
まずは、会社内のエアコンの設定温度を見直すことが重要です。
エアコンハラスメントが起こる背景として、エアコンの設定温度を何度にすれば良いのかが明確でない場合も要因として挙げられます。
エアコンの設定温度は、明確に法律で規定されているわけではありませんが、政府はクールビズ期間は室温28℃を提唱しています。
しかし、ここでの解釈として、空調設定温度が28℃と誤解している人が多いことも要因として挙げられます。
あくまでも、室温を28℃に保つことを提唱しているだけであり、空調設定温度を28℃に設定しなければいけないというきまりではないので、注意しましょう。
オフィスの立地状況によっても気温は変化するため、オフィスに合ったエアコンの設定温度を考えて規定すると、エアコンハラスメントを防ぐことにも繋がります。
また、社内で、暑がりな人と寒がりな人に分けて、エリアごとに空調温度を変えることや座席を変えることも対策として考えられます。
寒がりな人にエアコンの風が直接当たらないように、風向や風量を調節するだけでも、不満の原因を回避することにつながります。
エアコンの温度設定については、個人の体感温度によるものが要因となっているため、すべての人に最適な温度設定にするのは難しいと思います。
しかし、全員にとって良い労働環境にするために会社が真剣に考えて対策に移すことによって、エアコンハラスメントの被害は防げると思います。
また、設定温度に対して「寒いです。設定温度を変えてください。」と主張できないなどのコミュニケーションにも起因していると考えられます。
ですので、普段から、人間関係を良好に保ち、言いたいことを言い合える関係性を築くことも重要かもしれませんね(^^)