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東日本大震災から更に注目を浴びている「新しいエネルギー」太陽光発電を、税務上・会計上の事項を中心としたそのメリットやデメリット、導入に関する費用及び固定価格買取制度などの疑問・質問にお答えしました!プロの税理士の手によるわかり易い解説もぜひ参考にしてください!
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Q 太陽光発電のしくみ
太陽光発電しくみについて教えてください。
太陽光発電はソーラーパネルに太陽光があたることで光工ネルギーを電気エネルギーに変換することにより電気を発電します。
太陽光発電システム単独で、は発電した電力を貯めておくことはできませんが、蓄電池を別途設けることにより、昼間発電した電力を夜間に使用することが可能になります。
英語でPhotovoltaic(PV)と呼ばれております。
太陽光発電システムは一般的に下記の内容により構成されています。
『太陽電池モジュール』
太陽光発電の中心となる、太陽光を電力に変換するための装置
『接続箱』
太陽電池パネルからの複数配線を一つにまとめるための装置
パワーコンディショナーと一体の場合もある。
『パワーコンディショナー』
太陽光発電で発電した直流電力を家庭で使用する交流電力に変換するための装置
『分電盤』
電力を各所に分配するための装置
『電力量計』
電力会社に太陽光発電で発電した電力を売却するのに必要な装置
『蓄電池』
発電した電力を蓄えておくための装置
Q 太陽光発電設備の税制上のメリット
太陽光発電設備を取得した場合、税制上のメリットはありますか?
一定の要件を満たす太陽光発電設備を取得した場合には、国税については環境関連投資促進税制、地方税については固定資産税の減税が受けられるという税務上のメリットがあります。
具体的には、以下のような税務上のメリットがあります。
[環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)]
(制度の内容)
青色申告書を提出する個人及び法人が、適用期間内に対象設備を取得し、かつ1年以内に事業の用に供した場合に、その事業の用に供した事業年度において取得価額の30%の特別償却(一定の要件を満たす太陽光発電設備については即時償却)が認められます。
なお、中小企業者等については、取得価額の7%の税額控除(ただし、登記の法人税額の20%を限度)も認められますので、特別償却との選択適用が可能です。
(適用期間)
平成23年6月30日~平成28年3月31日
即時償却は平成24年5月29日~平成27年3月31日
(租税特別措置法42の5、租税特別措置法施行令27の5、租税特別措置法施行規則20の2)
[固定資産税の減税]
(制度の内容)
適用期間内に対象設備を取得し、当たらに固定資産税が課せられることとなった年度から3年度分の固定資産税に限り、当該設備に係る固定資産税の課税標準は課税標準となるべき価格の2/3に軽減されます。
※固定資産税の免税制度がある自治体もあります。
(適用期間)
平成24年5月29日~平成26年3月31日
(地方税法附則15条37項、地方税法施行規則附則第6条第60項))
Q 太陽光発電が多く選ばれている理由
再生可能エネルギーの中で太陽光発電が多く選ばれている理由は何ですか?メリット・デメリットがあれば教えてください。
風力・中小水力・地熱・バイオマス・波カ等さまざまな再生可能エネルギーがある中で太陽光発電に多くの注目が集まる理由については主に次のものが挙げられます。
[設置可能場所の多さ]
風力や地熱は発電ができる地域が全国的にも限られていますが、太陽光発電は太陽光があれば発電が可能なことから設置可能場所が多くあります。
[設置規模の柔軟性]
設置する場所や地域によって導入するシステムの規模を調整することが容易です。
[メリット]
-太陽が出ていれば発電が行われるため、長期に渡って安定的な発電を行うことが可能です。また発電時に二酸化炭素や窒素酸化物等の大気汚染物質を排出しません。
-設備の規模に関わらず発電効率が一定のため、設置場所や予算に合わせてシステムを導入できます。
-目立運転が可能なシステムの場合には、停電時にも昼間の太陽が出ている時間帯においては発電が行われるため、災害時の非常用電源としても役立ちます。また、蓄電池と組み合わせることにより、夜間でも昼間に発電して、貯めておいた電気を使用することが可能になります。
-企業のブランドイメージの向上や広告宣伝効果が、見込まれます。
[デメリット]
-太陽が出ていない夜間については全く発電ができません。
-昼間においても天気や日射量、地域によっても発電量が大きく変動します。
-再生可能エネルギーの中では、設備設置コストが高く、工ネルギーの変換効率も悪くなります。
Q 特別償却等の基礎となる取得価額
特別償却等の基礎となる取得価額にはどのような費用が含まれますか?
取得価額には、以下のような費用が含まれます。
・設備等の購入代金(購入手数料を含みます。)
・制作費(原材料、設備費、制作に従事した従業員の賃金、手当、福利厚生費を含む)
・取得価額に算入した借入金の利子(減価償却資産の購入又は建設、制作、製造等のための借入資金の利子で当該資産の使用開始前の期間に係るもの)
・引取運賃、荷役費、運送保険料
・関税(付帯税を除く)
・据付費
・その他の直接費用
Q 太陽光発電の補助金制度
太陽光発電の設置に関して補助金制度はありますか?
補助金は大きく分けて国による補助金と地方公共団体による補助金とがあります。ただし国による補助金制度は、現状は全量買取を対象としておらず、余剰買取のみを対象としております。
また、地方公共団体による補助金制度はすでに締め切られている地域、制度自体がない地域等ありますので、設置を予定している地域の地方公共団体に確認する必要があります。
<国による補助金制度の場合>
申し込み資格 |
以下の4点を満たすこと
①住居(事務所・店舗等との兼用可)として使用する建物に、新たに太陽光発電システムを設置する個人又は法人
②対象の太陽光発電システムの購入者
③電灯契約をしている契約者本人
④事業を営まない個人はC02排出削減事業に参加すること |
対象の太陽光発電システム |
以下の3点を満たすもの
①余剰買取のもの
②太陽電池モジュールの公称最大出力合計値、またはパワーコンディショナーの定格出力合計値のいずれかが、10kW未満であること
③価格が50万円/kW以下のもの(平成25年実施の場合)
※太陽光発電普及拡大センターのホームページで確認できます |
補助金の金額 |
システム単価が41万円/kW以下の場合 20,000円/kW
41万円超50万円/kWの場合 15,000円/kW |
申請手続き |
大別して2つの手続きが必要となります。
①太陽光発電システム設置後に交付申請に必要な書類を太陽光発電普及拡大センターに郵送
②太陽光発電システムの設置前に申し込みに必要な書類を用意し、太陽光発電普及拡大センターに郵送
※必要書類は複雑なため設置業者等の代理人に依頼することをお勧めします。 |
Q 税額控除の対象となる中小企業者
税額控除の対象となる中小企業者とはどのような会社をいいますか?
中小企業者とは、以下の法人をいいます。
○資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
ただし、同一の大規模法人(資本金の額若しくは出資金の額が1億円を超える法人又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。以下同じ。)に発行済み株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を所有されている法人及び2以上の大規模法人に発行済み株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を所有されている法人を除きます。
○資本金又は出資金を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人
○常時使用する従業員の数が1,000人以下の個人事業者
※なお、中小企業者であるかどうかは、対象減価償却資産を事業の用に供した日の現況によって判定します。
(租税特別措置法42条の4、租税特別措置法施行令27条の4)
Q 環境関連投資促進税制を適用する場合
環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)を適用する場合のその他の注意事項はありますか?
以下の点については、注意が必要となります。
・1つの資産について、この制度による特別償却と税額控除との重複適用は認められません。ただし、同一時事業年度内に環境関連投資促進税制の適用対象資産を2つ以上取得した場合(太陽光発電装置と風力発電設備等)には、個々の設備ごとに特別償却又は税額控除のいずれかを選択適用がみとめられています。
・この制度による特別償却または税額控除の適用を受ける資産は、租税特別措置法上の圧縮記帳、他の制度による特別償却又は他の税額控除の規定の重複適用は認められません。
Q 太陽光発電設備の売電収入に関する消費税
太陽光発電設備から生じる売電収入に関する消費税の取扱いはどのようになりますか?
国内において事業者が行った太陽光発電による売電収入については、課税売上として消費税が課されることとなります。
また、事業者による太陽光発電設備に係る購入費用については、課税仕入れに該当することとなります。
個人事業者が店舗兼住宅のような建物に太陽光発電を設置するケースの場合、購入した太陽光発電設備については、事業として使用する部分は課税仕入れに該当しますが、家事使用部分については、課税仕入れに該当しません。
課税仕入れに該当する部分については、建物の使用状況・面積割合等の合理的な基準により按分計算することになります。
給与所得者である会社員が自宅に設置した太陽光発電設備による売電収入については、その売電収入が剰余電力の売電にかかる場合には、事業としての資産の譲渡に該当しないため消費税の課税の対象にはなりません。
ただし全量売電によるものである場合には課税の対象になります。
Q 余剰電力の売電収入に係る個人事業者の課税関係
太陽光発電設備を設置した状況に応じて、以下のように取り扱われます。
[給与所得者が設備を自宅に設置した場合]
給与所得者が太陽光発電設備を家事用資産として使用し、その余剰電力を売却しているような場合には、「雑所得」に該当します。
[自宅兼店舗に設置した場合]
太陽光発電設備が自宅と店舗との兼用であるとしても、その設備から発電される電力が現に事業所得を生ずべき業務の用に供されている限り、その設備は事業用資産に該当するため、余剰電力による売却収入は全て「事業所得の付随収入」に該当します。
[賃貸アパートに設置した場合]
不動産賃貸業を営む個人が賃貸アパー卜の屋上に太陽光発電設備を設置し、これにより発電した電力をその賃貸アパートの共用部分で使用し、余剰電力を売却した場合、太陽光発電設備による発電が不動産所得の金額を増減させるものであるため、余剰電力の売却収入は「不動産所得」に該当します。
なお、全量売電を行っている場合には、不動産所得との関連性が認められないことから、それが事業として行われている場合を除き、「雑所得」に該当します。
(耐用年数省令別表第二、所得税法第2条1の19、租税特別措置法第10条2の2)