会社では、経費を使用した場合など、領収書を受け取ることがありますよね。
この領収書ですが、決算の際などに、使用しますが、その後は、いつまで保管しておけば良いのでしょうか。
毎年、毎年、たくさんの領収書を受け取っていると、年々、保管する領収書がたまっていく一方となります。
不必要なのであれば、できれば処分してしまいたいですよね。
そこで、ここでは、領収書の保管期間は、法人と個人事業主では違うのかどうか、そして、その期間はどの程度であるのかについて、くわしく見ていきたいと思います。
目次
領収書の保管期間が、法人と個人によって異なります。
また、法改正によって、保管期間も変わることがあり、間違えたまま、覚えてしまっている方もいらっしゃるかもしれません。
そのため、最新の情報をもとに、保管するように注意が必要です。
それでは、法人と個人の領収書の保管期間について見ていきたいと思います。
領収書は法人税法において、帳簿書類と定められています。
帳簿書類とは、現金出納帳や売上帳などの帳簿と領収書、注文書、契約書などの書類をあわせたものとなります。
そして、この帳簿書類は、法律で7年間の保管が義務付けられています。
この保管期間の7年間とは、領収書が発行されてから7年ではなく、法人税申告期限日からとなっています。
法人税の申告期限日は、法人の決算日の2ヶ月後となります。
2004年までは、中小法人の場合、領収書は5年間保管するように定められていましたが、2004年の税制の改正により、すべての法人が7年間の保存を義務づけられるように変更されました。
税金の時効は7年間であり、7年を過ぎると税務調査ができなくなるため、領収書は7年間保管するように定められています。
個人事業主の場合、保管期間は所得税法で定められていますが、青色申告と白色申告で異なります。
青色申告の場合は、領収書の保管期間は7年間となります。
帳簿や決算関係書類も同じく7年間の保管が義務付けられています。
ただし前々年の所得が300万円以下の場合、保管期間は5年間となります。
白色申告の場合は、領収書保管期間は5年間となります。
ただし、収入や経費を記載した帳簿は7年間の保管が必要です。
領収書の保管期間は確定申告の期限日から、白色申告の場合は5年間、青色申告の場合は7年間となります。
2019年の確定申告であれば、2019年3月15日から7年間、または5年間になります。
法人と個人事業主の場合では、領収書の保管期間が上記で見たように異なります。
また、これ以外にも特殊なケースなど、領収書の保管に注意すべき点があります。
領収書の保管期間は、基本的に法人では7年間、個人では、白色申告の場合は5年間、青色申告の場合は7年間となります。
しかし、それ以外にも特殊な場合など、注意すべき点があります。
法人の場合、領収書の保管期間は、原則、7年間となりますが、赤字で決算の申告を行った場合には、領収書の保管期間が異なります。
赤字で決算申告を行った場合には、2019年4月1以前までの分は、9年間保管しなければいけません。
そして、税制改革に伴い、2019年4月1日以降の分は、10年間保管することとなりました。
これは、法人の場合に、赤字を繰り越せる期間にあわせて保管することになっているためです。
仕入れ税額控除とは、納付する消費税額を計算する際に、売り上げの消費税額から、仕入れにかかった消費税額を控除して計算する制度のことです。
仕入れや流通などの段階において、消費税が何回も課税されることを防ぐための制度です。
仕入れ税額控除を適用して申告した場合には、消費税法で定める領収書の保管期間である7年間が適用されます。
そのため、この仕入れ税額控除の制度を利用すると、本来は、白色申告の場合には、領収書は、5年間の保管義務となっていますが、7年間の保管が必要となります。
領収書に関しては、白色申告の場合には5年間、青色申告と法人の場合には7年間の保管期間が定められています。
保管期間 | 例外 | |
法人 | 7年間 | 赤字申告の場合は10年間 |
白色申告 | 5年間 | 仕入れ税額控除を受けた場合は7年間 |
青色申告 | 7年間 |
しかし、経理に関する書類は、領収書だけではありません。
会社法だけでなく所得税法など、いろいろな法律で、異なる期間が定められているため、
会計監査報告書などは、保管期間が5年間、決算に関する書類は、保管期間は10年と定められています。
そのため、間違って破棄してしまわないように、経理に関する書類は、個人事業主の場合は7年間、法人の場合は10年間と覚えておけば、間違えないでしょう。
このように、領収書は少なくとも5年間、最長では10年間保管しておかなければいけない書類となります。
そのため、10年分となると、業種や会社の規模などによっては、かなりの量となり、保管場所に困ることもあるかしれません。
10年間も保管しておくとなると、紙が劣化することも考えられますよね。
このような場合に、領収書は電子化して保存することが可能です。
しかし、2015年に規制緩和されるまでは、領収書を電子化できるのは3万円以下であり、電子データと併せて原本を原則7年の保管する必要がありました。
2015年の改正では3万円以下という条件がなくなり、すべての領収書を電子化できるようになりました。
また、2017年には、スマホやデジカメで撮影した領収書の電子保存が可能になり、原本の7年間保管の条件もなくなりました。
領収書を電子化して保存するためには、以下の条件があります。
領収書の電子化保存を考える場合には、上記の点に注意が必要となります。
領収書の保管期間は、個人事業主の場合には、5年間か7年間なので、基本的に7年間保管すると覚えておけば確実です。
法人の場合には、原則7年間ですが、赤字の場合は10年間であり、決算書類は10年間保存することになっているので、基本的に10年間保存すると覚えておけば確実でしょう。
このように、保管期間は、条件や法律の改正などで異なる部分もありますが、間違えないように覚えておくことが重要です。
また、領収書については、宛名・但し書き・収入印紙など、正しく作成されていることも重要となります。
領収書がかさばってしまい、保管スペースに困る場合や、紙の劣化を心配するのであれば、電子化して保存するという選択肢も検討してはいかがでしょうか。