65歳から受給が開始される年金制度ですが、年金だけで老後を過ごすのは厳しいと考える人や、どうせもらえないだろうと考える人は少なくないですよね(^^;
そういった考えを持っていると、老後のために貯蓄をする方が大事だといって、年金の保険料を滞納する人もいます。
確かに、年金制度は自分で積み立てたものを受給される仕組みではないため、自分で老後準備をするのであれば払わなくても良いと考えるのも無理はないのかもしれません。
しかし、国民年金の保険料を支払うのは国民の義務であるため、未納や滞納をすると、現在の年金受給者に迷惑がかかるほか、自分自身の首も締めることになります。
もし、国民年金を支払わなければどうなるのでしょうか。
そこで、ここでは、国民年金の未納と滞納の違いに触れつつ、未払いや滞納をすると将来どうなるのか、詳しく見ていきたいと思います。
目次
そもそも、国民年金の保険料の未納と滞納の違いは何なのでしょうか?
未納とは、経済的な理由による免除または猶予制度を利用している期間に保険料を納めていないことをいいます。
つまり、払いたくても払えない状況で、保険料を納められていない状態のことを指しています。
それに対して、滞納とは、支払う能力があるにも関わらず、その義務を無視して保険料を支払っていない未払い状態のことを指しています。
そのため、未納者の割合が多くなってしまうものの、日本国民のほとんどは、制度を利用しつつ、しっかりと保険料を納めています。
ただ、その中でも、滞納者が多数いることも事実です。
公的年金のネガティブなニュースが流れる度に、「どうせ年金なんかもらえない」「自分で老後資金を貯める方が効率的」と保険料の納付を拒否する人が後を絶ちません。
しかし、国民年金の保険料の納付は日本国民の義務ですから、しっかりと納めるようにしないと、最悪の場合には財産を差し押さえられることもあるため、注意が必要です。
では、国民年金の未払いや滞納をすると将来どうなってしまうのか、もう少し詳しく見ていきましょう。
もし、国民年金を支払わなかったり、滞納したりするとどうなるのかについて見ていきたいと思います。
国民年金の保険料の納付期限は、納付対象月の翌月末日となっています。
納付期日までに支払いが確認できない場合には、年金事務所から「国民年金未納保険料納付推奨通知書(催告書)」が送られてきます。
催告書には、年金の加入状況や直近の保険料の納付情報、いつの分の保険料が未納であるか、未納金額が記載されています。
この段階では、納付忘れや振替口座の残高不足による未納が多いため、「保険料が未納になっております」というお知らせの意味が強いといえます。
上記の催告書を経ても、滞納が続く場合には、保険料の早急な支払いを通知する「特別催告書」が送られてきます。
特別催告書には、経済的な理由で払えない場合の手続き方法や、通知を無視し続けた場合に強制執行(差し押さえ)もあり得る旨が記載されています。
特別催告書は、青(水色)→黄色→赤(ピンク)の順に送られてきます。
最終的に赤(ピンク)の特別催告書が送られてくると、支払いのための緊急度が高くなるため、悪質な滞納者だと判断される恐れがあるので注意しましょう。
特別催告書を送付した後にも通知を無視し続けると、「最終催告書」が送られてきます。
最終催告書とは、納付書とともに送付される催告文書であり、このまま支払わないと滞納処分を開始すると記載されています。
ペナルティなしで済むのはここまでなので、この時点で収入がある場合には、未納分をしっかりと支払うようにしましょう。
最終催告書を送付しても納付が確認できない場合には、「督促状」が送られてきます。
督促状には、財産の差し押さえをする手続きを開始する旨が記載されています。
財産の差し押さえは、本人だけではなく、世帯主や配偶者も対象となります。
また、督促の段階に入ると、保険料を徴収するための時効がなくなるため債務がずっと残るほか、保険料に延滞金が上乗せされます。
督促状を経ても期日に納付がない場合には、年金事務所は滞納者の財産調査を行います。
取引先の金融機関に預金残高の確認を行うほか、取引先の企業に売掛金などの債権がないかなど、生活の維持や事業の継続に必要な情報を調査します。
財産調査の結果から、年金事務所は所有が明らかになった預貯金、不動産、家財、売掛均等債権の差し押さえを行います。
預貯金は速やかに収納されますが、不動産や家財、売掛均等債権は公売などにかけて金銭化した後に未払い保険料にあてられます。
対象者があまりにも納付に従わず、悪質だと判断された場合には、保険料を徴収するために国税庁に委任されることもあるので、注意しましょう。
未納または滞納していた期間の受給額はゼロになるため、その期間が長くなればなるほど、老後に受け取れる受給額は少なくなります。
免除制度を利用していたとしても、受給額に反映はされるものの本来の受給額から減額されるため、極力、保険料は納めるようにしましょう。
また、未払いや滞納期間があった場合には過去に遡って納付することができるため、後からでも老後の受給額を蓄えることが可能です。
国民年金の納付期間にも注意が必要です。
国民年金の保険料を支払っていた時期があったとしても、納付期間と受給資格期間(免除期間)の合計が10年に満たない場合には、老後に受給できる年金額は発生しません。
つまり、65歳になるまでに、10年間は国民年金の保険料を納付していなければ、年金をもらうことはできないということです。
そのため、10年に満たない場合には、後からでもしっかりと保険料を納めることが重要です。
年金制度は、現在、国民年金の保険料を支払っている現役の納付者によって、受給者の年金の支払いを支えるという仕組みで成り立っています。
国民年金の保険料を未納または滞納した場合には、現在の年金受給者に支給することが苦しくなるため、納付できる収入がある場合にはしっかりと納めることが重要です。
国民年金の保険料を納めない場合には、老後の年金以外でもデメリットがあります。
自分が怪我や病気などが原因で障害認定を受けた時に受け取れる「障害年金」と、自分が死亡した時に遺族が受け取れる「遺族年金」は、国民年金の保険料を納めることで受け取れる年金です。
つまり、国民年金の保険料を納めていないと支給の対象にはなりません。
保険料を納めていないことによって、将来の年金受給額が少なくなってしまうだけではなく、障害年金や遺族年金などの公的な保障を受けられないため、注意しましょう。
国民年金の保険料を払わなくても、自分自身の年金受給額が減るだけだから大丈夫、というわけではありません。
保険料を支払わないことによって、現在の年金受給者の支給が苦しくなるため、最悪の場合には財産を差し押さえられる可能性もあります。
また、障害年金や遺族年金などの公的な保障も受けられなくなるため、注意が必要です。
このように、国民年金の保険料を支払わない場合は老後に大きく影響するため、経済的な理由から保険料を支払えない場合には、免除申請を行うようにしましょう。