【解説】
1、概要
収用交換等の5 ,000万円特別控除には、「同一の収用交換等に係る事業について2以上の譲渡があり、その譲渡が、年をまたがって2回以上にわけて行われた場合には、最初の年の譲渡に限られること」という要件があります。これは、一度に譲渡すべき土地をわざと2年以上に分割して譲渡して、5 ,000万円特別控除を2回以上にわたって受けようと考える人がでてきて、用地買収が円滑に進まなくなることを想定して設けられました。
今回の事例の場合、平成23年の譲渡が最初の年の譲渡ということになりますので、平成23年しかこの特例の適用を受けることができません。
しかし、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例については、最初の年に限定されておりません。もしも代替資産の取得をして、要件を満たすのであれば、平成24年の買取りについては、代替資産の特例を選択することができます。
2、翌年以後に5 ,000 万円特別控除が適用できる場合
原則として、5 ,000万円特別控除は、最初に譲渡があった年に限定されていますが、その事業の施行につき、合理的と認められるときは、次に掲げる地域ごとにそれぞれ別個の事業として取扱い、5 ,000万円特別控除の適用を受けることができます。
(1) 事業の施行地について計画変更があり、その変更に伴い拡張された部分の地域について事業を施行する場合
→その変更前の地域と、変更に伴い拡張された部分の地域
(2) 事業を施行する営業所、事務所その他の事業場が2以上あり、その事業場ごとに地域を区分して事業を施行する場合
→その区分された地域
(3) 事業が1期工事、2期工事等と地域を区分して計画されており、その計画に従ってその地域ごとに時期を異にして事業を施行する場合
→その区分された地域
上記の場合において、何が合理的であるかどうかは、事業の内容により判断することとなりますが、単に予算上の都合で2年以上の譲渡となったときはこれに該当しません。