【解説】
代物弁済とは、債務者が債権者の承諾を得て、金銭による弁済に代えて他の資産を引渡して、その債務を消滅させることをいいます。
代物弁済も所有する資産を相手に移転させる行為ですので、資産の譲渡があったものとして、譲渡所得に対する税金がかかります。なお、譲渡所得の収入金額は、原則として、消滅する債務の額となります。
ご質問の場合、あなたの譲渡所得の収入金額は、消滅する債務の額800万円になります。
また、友人は、債権の額(800万円)を上回る土地(時価1 ,000万円)を取得することになりますので、取得する土地の価額と消滅する債権の額との差額200万円に対して、贈与税が課税されます。
なお、上記差額について、友人があなたに清算金200万円を支払う場合は、贈与税は課税されません。この場合、あなたの譲渡所得の収入金額は、消滅する債務の額800万円と清算金200万円の合計額となります。
あなたの譲渡所得に対する税金と友人の贈与税は、次のように計算します。
債務者(私):譲渡所得に対する税金
収入金額800万円−取得費40万円(800万円×5 %:概算取得費) =長期譲渡所得760万円
長期譲渡所得760万円×税率(15 %+5 %)= 152万円
※清算金200万円を取得する場合
収入金額1 ,000万円(800万円+200万円)−取得費50万円(1 ,000万円×5 %:概算取得費)=長期譲渡所得950万円
長期譲渡所得950万円×税率(15 %+5 %) = 190万円
債権者(友人):贈与税
(課税価格1 ,000万円−消滅する債権の額800万円−基礎控除110万円)×税率10 % = 9万円
※清算金200万円を支払う場合
代物弁済による経済的利益が発生しませんので、友人に贈与税は課税されません。
(注)平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間は、復興財源確保法により、所得税に加えて、復興特別所得税がかかります。
本問の場合は
・債務者(私)の税率が、(15% +0 .315% +5%)
となります。