【解説】
1、概要
一般の土地戸建取引において、売買の目的物に通常の取引上の注意では発見できないような隠れた物質的欠陥があったときには、売主は※瑕疵担保責任を負います。この責任を追及することができるのは、善意(瑕疵の存在を知らなかった)の買主だけとなります。この善意の買主は、損害賠償を請求することも出来ます。ただし、買主は、瑕疵を知ったときから1年以内に権利を行使しなければなりません。また代金減額の請求は、特約がない限り認められませんと規定されていますが、実際の取引では特約条項を設け、物件引渡し後の負担期間を、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会の契約書では、売主買主間で取り決めを行うようになっており、一般社団法人不動産流通経営協会の契約書では、土地と建物の基本性能に限定し、引渡し完了日から3 ヶ月以内という期間が設けられています。
※瑕疵(かし)とは、欠陥を言います。その物が備えていなければならない一定の性質、性能を有していないことを指します。
民法では売買契約の瑕疵担保責任をこのように定めています。
<1>目的物に「隠れたる瑕疵」があること。
「隠れたる」というのは普通の注意を払っても発見できないことを言う。
<2>責任の内容は、損害賠償。重大な瑕疵で契約の目的が達せられない場合は契約解除。
<3>瑕疵の発見期間は、引渡し後何年という制限はなし。ただし責任追及は、瑕疵発見後1年以内。
<4>売主の故意、過失は不要。無過失責任。
2、その他気をつけること
(1)売主が宅地建物取引業者の場合
目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除いて、同条に規定するものより買主に不利となる特約は無効となります。この2年以上という期間は、不動産取引において実際に買主が買受けた不動産について、2年程度を要すれば隠れた瑕疵を発見できるという考え方があります。
(2)物件状況確認(報告)書、付帯設備表への記載
この書類は重要です。不動産業者に売却の依頼をする際に、媒介契約の締結と同時に物件状況確認書、付帯設備表への記載依頼があります。これらの書類は、現在お住まいの不動産(所有不動産)について、所有者でないと分からない物件の状況を記載する書面となります。例えば雨漏り、シロアリの害、主要な部位の木部の腐食、給排水管の故障、周囲に嫌悪施設があるのか?…等。また、設備の操作癖…等。売主と買主が、内見から売買契約を結ぶまでの期間は短いことが多いため、その短時間に細部の(実は重要な)諸設備については、打ち合わせが出来ないことが現状です。したがって、これらの書類を事前に、詳しく、正確に、偽り無く、記載しておけば、内見、交渉段階で検討者に告知できますし、遅くとも買主との売買契約時には告知できます。この告知により後々のトラブルの防止に役立つと同時に、買主との売買契約もスムーズに取り交わせることとなります。