価格の査定は、どのような方法で行われますか?
机上査定(必要最低限の情報のみで査定しますので、短時間で試算できますが、概算の数字となります)と訪問査定 (お客様より出来る限りの資料をいただき、各所轄の役所へ の調査を行い、対象不動産の現地調査も行うため、時間を いただきますが、査定価格は、精度の良いものとなります) があります。遠隔地は机上査定となります。

【解説】
1、実際の実勢価格(時価)の出し方
 不動産の価格査定については、
①それと同等のものを新築した際に、どの位の費用がかかるか?(原価方式)
②それと同様の不動産がいくら位で市場に出されているか?(比較方式)
③その不動産を利用しどの位の収益をあげられるか?(収益方式)

これらを総合判断し、導き出します。
(1) 現地調査でのポイント
①建物については、
 日照、通風、外壁・基礎のひび、隣地との空間、天井クロスのしみ(雨漏り)、建てつけ、床鳴り、水周り設備の状況、排水、建
具建材(アスベスト)、ひさしの越境
②土地については、
 周辺環境(騒音、近隣嫌悪施設、工場・店舗による土壌汚染)、隣地の高低差(擁壁)、塀の越境、井戸、ゴミ置場
③マンションについては、
 建物に加えて、お部屋の位置、天井高、スラブの厚さ(パンフレット確認)、剛性感、上下音、管理状態(エレベータ内、掲示板、エントランス、集合ポスト)、駐車場・駐輪場の空状況、インターネット環境
2、不動産の時価は?
 不動産(土地)には、4つの価格(一物四価)があると言われており、実勢価格(時価)、公示価格、路線価、固定資産税評価額がこれにあたります。実勢価格は現在の市況価格となり、宅地建物取引業法第34条の2第2項において、宅地建物取引業者が媒介価格または評価額について意見を述べるときには、その根拠を明示することを義務づけされており、その根拠として作成する査定書がこれになります。また、宅地建物取引業者が行う価格査定は、あくまでも媒介業務を遂行するに当たって行うものであり、不動産の鑑定価格に関する法律に基づく鑑定評価とは異なります。
 公示価格は国土交通省が発表する1月1日現在の標準地の価格で、公共用地取得や、一般的な土地売買の1つの指標のための算定の基準とされます。路線価は、相続税、贈与税の算定する際を土地価格となり、公示価格の8割程度となります。固定資産税評価額は、固定資産税、都市計画税、登録免許税を算定する際の価格で、公示価格の7割程度となります。
3、その他査定時の調査項目
(1)アスベストについて
 アスベスト(石綿)は、耐熱性、耐薬性、絶縁性等の工業上の特性に優れているため、昭和30年代から鉄骨建築物などの軽量耐火被覆材、住宅の断熱材、電化製品など多方面に利用されていました。しかしその危険性が指摘され、昭和50年には吹付けアスベストが原則禁止となり、その後はスレート、ブレーキパット、保温材等の含有材料として使用されていましたが、現在では製造・使用が全面禁止されています。不動産について特に問題になっているのは、飛散する恐れのある吹付けアスベストが使用されているかどうかです。一般住宅の場合、吹付けアスベストが使用されている可能性は低いですが、地下室や倉庫、駐車場などの鉄骨部分がある場
合には、使用されている可能性があります。また、屋根材、外壁材、天井に防音・耐火ボード、床材等にも使用されている可能性があります。実際の売買の際には、含有されているようであれば、その除去費用(解体費用)を売主負担として、売買金額からあらかじめ控除することが多いです。
(2)土壌汚染について
 平成15年2月の「土壌汚染対策法」の施行により、土壌汚染が見つかり、土壌の飛散や地下水の飲用等により有害物質が人の体の中に入る可能性がある場合には、健康への影響を防ぐため、その経路を遮断する対策を行う必要があります。
 不動産を売却する場合、必ず土壌汚染の有無を調べる必要はなく、以下の場合に限られます。

土壌汚染の有無を調査する場合
1 有害物質を使用している工場や施設等を廃止するとき。
2 一定規模以上(敷地面積が3 ,000㎡以上の場合や改変面積が3 ,000㎡以上の場合)の土地の改変(土砂の掘削や宅地の造成)をするとき。
3 人の健康被害の恐れがあり、調査命令が出されたとき。
4 土地取引等に際して土地取引先から調査を求められる場合。

ただし、以下のような調査の猶予があります。
① 引き続き工事・事業場の敷地として利用される場合。
②職住同居型の小規模な工場・事業場の敷地において、引き続き当該
設置者の住居用として利用される場合。
③ 操業中や鉱業権の消滅後、5年以内の鉱山の敷地(鉱山保安法に基
づく措置が的確に行われている場合)。
 この調査は、環境大臣の指定を受けた調査機関(指定調査機関)に委託する必要があります。
 土壌汚染の有害物質の濃度の基準には、「土壌含有量基準」と「土壌溶出量基準」が定められています。この基準に適合しない土壌を「基準不適合土壌」といいます。調査により基準不適合土壌が見つかった場合には、まず対策が必要な状況であるかを判断します。法や条例では、有害物質が人の体へ取り込まれ、健康影響が生じる可能性がある場合には、健康影響を防止する対策を求めています。
対策と費用は…
 土壌含有量基準に適合しない土壌が存在し、人が土壌に触れる可能性がある。
→ 対策:舗装・盛土、掘削除去 費用:舗装・盛土(数千円以上/㎡)、掘削除去(5 〜10万円以上/㎥)
 土壌溶出量基準に適合しない土壌が存在し、周辺に地下水を飲用するための井戸等がある場合、人が有害物質を含んだ地下水等を飲む可能性がある。
→ 対策:封じ込め(原位置封じ込め)、掘削除去、原位置浄化(生物的分解) 費用:封じ込め(3 〜5万円以上/㎥)、掘削除去(5 〜10万円以上/㎥)、原位置浄化(生物的分解)(1 〜3万円以上/㎥)
 各対策の費用は目安となります。実際の対策費用は、汚染状況や施工条件によって異なります。
 これら対策費用も、事前に調査を行い、売主負担として、売買金額からあらかじめ控除されることが多いです。
(3)ハザードマップ(浸水被害等)
 「行政機関情報公開法」の施行により、各行政官庁はホームページに多くの情報を公開するようになりました。国土交通省のホームページには、水害などの自然災害に対しての備えのため「ハザードマップ」が公開されています。このハザードマップは、概ね200年に1回起こる程度の大雨を想定し、浸水の予想される区域や浸水の程度、避難所等が記載されています。
 また、地震防災マップとして、直下型地震(想定:マグニチュード6 .9、震源の深さおよそ10 km)が発生した場合の震度分布を作成し、揺れやすさと危険度を視認化したものも提供されています。
 査定・取引の際には、このようなことも考慮し進めていきます。

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