商品が同じでも確認を1 「保険料・解約返戻金」は保険会社で違う
同じ定期保険に加入する場合でも、保険会社により保険料や解約返戻率は異なります。 また、年齢や性別、保険期間によっても有利な保険会社は異なります。たとえば、60歳男 性で保険期間30年の定期保険の場合、A社の保険料が一番安い。しかし、50歳の女性で保 険期間20年になると、B社の保険料が安いということがよくあります。 また、60歳男性で保険期間30年の定期保険の場合、保険料が一番安いのはA社だが、解 約返戻率が一番高いのはB社というケースも。この場合、会社の借入金リスク対策のため 保障優先で加入する場合、保険料が安いA社が有利になりますが、役員退職金原資の確保 対策のため解約返戻金優先で加入する場合、解約返戻金が高いB社が有利になります。つまり、有利な保険会社を1社選ぶよりも、保険商品の種類、年齢や性別、保険期間、 加入目的により、ふさわしい保険商品を選ぶイメージになります。 保険会社の営業マンに相談することは、決して悪いことではありません。保険のプロで すから信頼して相談できるでしょう。しかし、車のディーラーが他社の車を売れないよう に、保険会社の営業マンもあくまで自分が所属する会社の商品の中でベストな提案をしま す。また、企業税務や相続のプロではありません。 もちろん税務にも精通したすばらしい保険の営業マンを私も何人か知っていますが、残 念ながらごく一部の方にとどまります。
「実情にあった保険提案書」でなければ絵に描いた餅になる!
企業の財務内容や経営状況、個人の資産内容や家族構成をよく知らずに、保険の提案書 を持ってくる営業マンがいますが、私に言わせれば問診や精密検査をしないで薬を処方する医者のようなものです。 各企業により財務内容や経営状況が異なるのは当然として、経営者や後継者の年齢、事 業承継の時期などを理解してから保険に加入するのは基本です。目先の対策となる法人税の「節税」だけでは、生命保険を有効に活用することはできません。個人の資産について も資産の種類や相続人の年齢、被相続人の意向を踏まえて対策を立てないと、相続税評価 額は下がったものの、遺産分割で家族がもめてしまう。また、相続税の納税資金が不足してしまうことにもなりかねません。
税理士の腕次第で大きく変わる法人税や相続税
一方で、税理士の側にも問題があるケースもあります。私は保険会社や金融機関の税務 顧問を担当している関係で金融機関の方からご相談を受けることも多いのですが、その中 で「顧問税理士がうんと言ってくれない」というケースがあります。 よくよくお話を伺うと「何やら新しい商品のようだが内容が:::、良いも悪いも:::」。 結局、最終的には商品の内容と税務メリットを理解していただくのですが、これでは頼り ありません。 会社やご子息の命運を左右する法人税や相続税の対策ですから、おつきあいや義理で加 入すると失敗します。まずは、生命保険の商品や税務対策に詳しい税理士に相談すること をオススメします。