毎月の給料から天引き徴収される社会保険料ですが、この社会保険料には、日割りという概念がありません。
そうすると、月末などに入社した場合でも、1ヶ月分満額支払うことになるのでしょうか。
このような場合には、社会保険料が給与額を上回る可能性もありますよね。
また、もし、入社した月に退職してしまった場合、1ヶ月分だけ、その会社で社会保険に加入することになるのでしょうか。
そこで、ここでは、入社月の社会保険料の控除はどうなるのか、月途中の場合には満額支払うのか、同月退職の場合にはどうなるのか、ということについて、くわしく見ていきたいと思います。
目次
まずは、入社した月の社会保険料は、いつ支払うことになるのかについて、見ていきたいと思います。
これは、会社が、社会保険料を当月控除しているのか、翌月控除しているのかで異なってきます。
給与から控除される社会保険料がいつの分なのかを、まず考えます。
当月控除されている場合には、入社月の分として支給される給与から天引きされるのは、入社月の分の社会保険料となります。
ですので、初回の給与から、社会保険料を天引き徴収することになります。
翌月控除の場合には、入社月の分の社会保険料は、2回目の給与の支給の際に天引きされることになります。
初回の給料は、入社よりも前の月の分の社会保険料となるので、初回の給与からは社会保険料は控除されません。
給与の締め日と支給日には、会社ごとに色々なパターンがあるかもしれません。
しかし、以下の2パターンを活用させれば、いずれの場合にも対応できるのではないかと思います。
当月分給与を当月末に支給している場合は、入社月が8月だと仮定すると、以下のようになります。
当月控除の場合
⇒入社月の8月分の給与から8月分の社会保険料が控除される
翌月控除の場合
⇒入社月の8月分の給与からは控除されず、9月末日支給の給与から8月分の社会保険料が控除される
給与が月末締め、翌25日払いの場合は、入社月が8月だと仮定すると、以下のようになります。
当月控除の場合
⇒8月分の給与は8月末締めで9月支給、9月支給分から入社月分の社会保険料が控除される。
翌月控除の場合
⇒8月分の社会保険料は9月分の給与から控除するので、9月分の給与は10月支給。10月支給分から入社月分の社会保険料が控除される。
社会保険料の入社月の控除は、会社が当月控除か翌月控除、給与の締めと支給がいつなのかで、上記のように変わってきます。
それでは、入社月の社会保険料の控除について、よくある疑問や質問について、見ていきたいと思います。
社会保険料には、日割りという概念がありません。
しかし、月途中で入社した場合、給与については、日割りで支払われることになります。
もし、給与の支給対象となる勤務日数が3日しかない場合などは、給与は3日分の支給ですが、社会保険料は1ヶ月分となります。
そうすると、社会保険料が給与額を上回ってしまうことになりますが、この場合の給与の支給はどうなるのでしょうか。
このような場合には、従業員側が、会社側に、マイナスの分の社会保険料を支払う必要があります。
ですので、途中入社をさせる会社側も、転職する労働者側も、社会保険料の支払いを考慮し、入社日を設定するのが良いでしょう。
社会保険の加入というのは、原則、月末時点での在職の有無により判断されます。
ですので、退職の場合には、月途中か月末1日前かで、社会保険料の支払いが1ヶ月分変わります。
ただし、同じ月に入社と退社があった場合には、月末時点で在職していなくても、1ヶ月分の社会保険料が発生します。
これを同月得喪と言います。
同月得喪の場合には、本人負担、会社負担のいずれもも1ヶ月分の社会保険料が必要となります。
この場合に注意が必要なのは、上記で述べたように、社会保険料が日割りの給与を上回る可能性があることです。
また、この場合には、厚生年金保険料については、還付される可能性があります。
その条件は、退職したのと同じ月に、国民年金か、新たな会社の厚生年金保険に加入することであり、基本的には該当することになるはずです。
退職した月に、新たに年金に加入して、年金保険料を支払うと、同じ月の分を2回支払ったことになります。
この場合には、退職した会社に、会社負担分と退職者負担分の厚生年金保険料が合わせて還付されます。
会社は、退職者の負担分を退職者に返還することになります。
会社を退職する際に、最後の月を有給消化にしていて、その月のうちに新たな会社で転職して、働き始めるという人もいるかもしれません。
そうすると、それぞれの会社で、社会保険料を二重に支払ってしまうことになります。
このような場合には、二以上事業所勤務届というものを年金事務所等に届け出することによって、二か所の給与を合算した金額で、標準報酬月額を算出してくれることになります。
このことによって、それぞれの会社で控除された金額ではなく、合算した給与額に対する社会保険料を負担することになります。
二以上事業所勤務届は、会社ではなく、被保険者自身が手続きをする必要があります。
大前提として、社会保険料は、日割りにはなりません。
そのため、会社側も労働者側も、新たな会社に入社して働き始めるにあたっては、その月から社会保険料が発生することを理解しておく必要があります。
転職する場合、転職者を受け入れる場合には、このあたりをきちんと話し合った上で、お互いに納得のいく結論を導き出すのが良いのではないでしょうか。