勤続年数に応じて、有給休暇の付与日数は増えていきます。
労働基準法の規定では、6年6ヶ月以上勤務すれば、1年間に付与される有給休暇は、20日となります。
20日の有給休暇があれば、1ヶ月につき、1~2回ずつ消化しないと年度内に使い切ることができません。
しかし、毎月2日ほど有給休暇を取ったり、年間で10日以上有給休暇を取ったりすると、取りすぎていると感じる人もいるようです。
そのため、会社では、有給休暇を取りすぎる社員がいて困っているなどという意見も多く見られるようです。
そこで、ここでは、有給休暇を取りすぎる社員への対応について、くわしく見ていきたいと思います。
目次
有給休暇を取りすぎる社員がいることで、頭を悩ませる経営者や上司も多いようです。
業務に支障が出たり、周りとの不公平の声が出たりすることもあるでしょう。
このような場合には、どのように対応するのが良いのでしょうか。
また、そもそも、有給休暇は自由に取得しても問題ないのでしょうか。
有給休暇は、正社員など通常の労働者の場合、入社から6ヶ月後に10日付与されます。
そして、それ以降は、勤続年数に応じて、20日まで有給の付与日数は増えていきます。
この与えられた範囲内であれば、有給休暇は労働者の請求に応じて、取得させるように定められています。
それでは、有給休暇は取得の何日前までに申請すれば良いのでしょうか。
申請期限については、労働基準法に定めはありません。
就業規則によって、各会社ごとに定められていることになりますが、一般的には、前日までというのが多いようです。
会社によっては、有給休暇の申請を書面で行い、その際に、理由を記載されるようになっていることもあります。
しかし、本来、有給休暇の取得の理由は何でも構いませんし、答える必要もありません。
そのため、そもそも、会社が労働者に対して、有給休暇の取得理由を聞くことは、原則、許されることではありません。
また、その理由がいかなるものであったとしても、理由を根拠に有給休暇の取得を拒否することもできません。
理由によって、有給休暇の取得を拒否するということは、労働基準法違反に該当する可能性があります。
与えられた日数分であれば、就業規則で定められた期日までに申請することで、どのような理由でも有給休暇は取得できることになります。
そうすると、労働者は自由に有給休暇を取得できるということになります。
そのことによって、会社や業務への支障が出て困ってしまうということもあるでしょう。
このような場合には、会社側としては、どう対応するのが良いでしょうか。
有給休暇を取りすぎる社員がいて、困っているという人が多いようです。
しかし、上記で見てきたように、有給休暇の取得は、原則、労働者の自由となっています。
有給休暇とは、労働者が法律上の要件を満たすことによって、発生するものとなります。
勘違いしている人が多いようなのですが、会社や上司が、労働者に与えているわけではありません。
労働者は、有給休暇を取得するかどうかを会社に申請しているわけではなく、有給休暇をいつ取得するのかを申請しているのです。
有給休暇は、会社や上司の許可によって発生するわけではありません。
まずは、ここの考え方を正しく理解しておく必要があります。
このように、有給休暇とは、会社が与えるものではなく、法律上、労働者に与えられる権利となります。
有給休暇を取りすぎる社員に対して、何らかのペナルティや制裁を与えたいと考える経営者や上司もいるかもしれません。
具体的には、ボーナスを減額したり、年次昇給の際に昇給させなかったり、対象の労働者の評価を低するなどといった行為です。
しかし、有給休暇を取得したことによって、待遇や労働条件の面などにおいて、労働者に不利益を与えることは、労働基準法に違反することになります。
これまで見てきたのは、あくまでも法律上の解釈です。
法律上問題ないので、自由にすべて使いきるというのは、間違ってはいないかもしれません。
しかし、現実の会社というのは、法律だけでなく、周りの人やモラルなどで成り立っています。
そのため、権利を主張して取得するのは間違ってはいませんが、状況に配慮して取得するのが望ましいでしょう。
もし、他の人が、自分と同じような有給の取り方をした場合に、自分がどのような気持ちになるのかを考える必要があります。
そのため、以下のような点には注意が必要です。
などといった、当たり前の配慮は必要ですよね。
有給休暇については、本来は、労働者の権利です。
しかし、いまだに、正しい知識を持っていない人が多いようです。
今回は、有給休暇を取りすぎる社員がいて困っているということについてでしたが、実際に、そのような悩みを持っている人はかなり多いようです。
しかし、周りの社員が有給休暇を取りすぎていても、それについては、誰も何も言う権利がないはずなのです。
また、そのような場合にも、会社や上司が不利益な扱いはできないと決まっているので、注意が必要ですね。