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有給を勝手に消化されるのは違法なのか?例外の計画的付与制度とは

皆さんの会社は、有給休暇を取得しやすい環境でしょうか。

まだまだ取得しにくいという会社も多いようですね。

しかし、有給休暇を取得しづらいどころか、有給休暇が勝手に消化されているという会社もあるようです。

「知らない間に、有給が消化されていた」「有給込みでシフトを組まれてしまっている」といったように、知らない間に有給の日数が減らされているという人もいるようです。

そこで、ここでは、有給休暇を勝手に消化されるのは、法律的にどうなのか、違法なのか、という点について、くわしく見ていきたいと思います。

有給休暇を勝手に消化するのは違法?

有給休暇というのは、どのように取得することができるのでしょうか。

労働者の希望通りに取得できるのか、会社はタイミングを指定できるのでしょうか。

有給休暇は労働者が請求する時季に与えること

労働基準法では、「有給休暇は労働者が請求する時季に与えること」と定められています。

そのため、有給休暇は、好きなときに自由に取得できるというのが原則となります。

有給を取得するためには、理由も必要ありません。

有給を勝手に消化するのは違法?

有給休暇は、労働者が自由に取得できるものです。

そのため、会社が勝手に消化するのは違法となります。

会社が勝手に消化する例としては以下のような場合です。

  • お盆休みの前後に有給をくっつけて消化させる
  • お客さんの予約のキャンセルで人が余るため、有給消化させられる
  • シフト制の場合に、シフトと一緒に有給を指定される

感染症拡大の影響で、サービス業では休業や営業の時短、お客さんのキャンセルなどが多いところもあるかもしれません。

そのような場合でも、その分の休業を有給消化にしてしまうのは、違法となります。

ただし、労働基準法の改正により、会社が、労働者に対して、時季を指定して取得させる必要がある場合もあります。

有給休暇を取得させるのが義務化?

また、2019年4月から、働き方改革関連法施行にともなって、有給休暇に関する労働基準法が一部改正されました。

年10日以上の有給休暇が与えられる労働者に対して、付与された有給休暇のうち5日は、使用者が時季を指定して取得させることを義務化したものとなります。

10日以上付与される労働者であっても、自分の意志で5日以上の有給休暇を取得している場合には、使用者にこの義務は発生しません。

ですので、基本的には、労働者は、自分の意志で希望通りに有給休暇を取得することができます。

有給休暇の時季変更権とは?

有給休暇は、労働者が希望する時季に取得させる必要がありますが、会社には、これを断る権利というのもあります。

これを時季変更権と言いますが、事業の正常な運営を妨げる場合には、会社側は、有給休暇を取得する時季を変更してもらうことが認められています。

しかし、法的には労働者の持つ有給休暇取得の権利の方が強いので、使用者が有給休暇の時季変更権を行使できるのは、限られた場合のみであると認識していただく必要があります。

例外となる有給休暇の計画的付与制度とは何?

基本的に、有給休暇は、労働者が自分の希望通りに取得するためのものです。

ただし、上記で述べたように、年間10日以上付与される労働者のうち、自分の意志での取得が年間で5日より少ない場合には、会社側には取得させる義務があります。

それ以外にも、会社が時季を指定して、労働者に有給を取得させることが出来る場合があります。

これを有給休暇の計画的付与制度と言います。

有給休暇の計画的付与とは何?

有給休暇の計画的付与とは、有給の取得率が低く、有給休暇を取りづらいという状況を改善するために取り入れられた制度となります。

職場によっては、周りが有給休暇を取得しないので、自分も有給を取らないという悪循環が発生する可能性があります。

そのため、計画的付与制度を利用すると、全労働者を同一の日に休みにしたり、グループや部署ごとに休みにしたりすることが可能となります。

計画的付与制度を活用することは、労働者が、確実に、かつ、気を使わずに、有給休暇を取得できるというメリットがあります。

では、この制度を利用すると、会社は勝手に労働者の有給を消化することができてしまうのでしょうか。

計画的付与制度の導入方法は?

会社が、この計画的付与制度を無制限に使えてしまうと、結局、有給が勝手に消化されることになってしまいますよね(^^;

それでは、この制度は、どのようにして導入するのでしょうか。

計画的付与を行うには、有給休暇の計画的付与を実施することを、労使協定の合意で可能とすることを就業規則等に明記します。

そして、労働者の過半数で組織する労働組合、または、労働者の過半数を代表する者との間で書面での労使協定を行います。

計画的付与制度の対象となる労働者は?

計画的付与の対象となるのは、有給休暇のうち、5日を超える部分となります。

そのため、パートやアルバイトなどで有給休暇が年間5日付与されていない場合には、対象となりません。

また、入社から6ヶ月経過していない場合なども同様です。

このような場合には、対象から除外するように定めるか、特別に有給休暇を与えるなどといった対応が必要となります。

労使協定は労働者に周知させるべき

計画的付与制度は、労使協定に定める必要があります。

そして、労使協定を定めた場合には、労働者に周知させる必要があります。

そのため、知らない間に、計画的付与制度によって、有給休暇が消化されていたという場合にも、違法である可能性があります。

勝手に有給休暇が消化されている場合には

基本的に、有給休暇は、労働者が自分の意志で、好きなときに取得するものとなります。

しかし、ここで見てきたように、例外となる場合もあります。

勝手に有給が消化されており、おかしいなと感じたら会社に相談するのが良いでしょう。

会社から与えられるのではなく、労働者の権利として付与される、大切な有給休暇です。

自分の好きなように好きな理由で、権利を行使することは当たり前のことです。

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