就業規則は、労使協定や労働協約、労働契約など、会社と労働者の間で結ばれる協定や規則の一つです。
10人以上の労働者を雇用している場合には、就業規則を作成する義務が発生します。
就業規則を新しく制定または変更した場合には、会社または事業所の所轄の労働基準監督署に就業規則変更届を提出する必要があります。
しかし、就業規則変更届には公式のフォーマットがあるのか、自作したものでも問題はないのか、意外と知らないのではないでしょうか。
また、就業規則変更届を提出するためには、変更届以外にも必要な書類を揃える必要があります。
ここでは、就業規則変更届の記入例について、詳しく見ていきたいと思います。
記入例の他にも、変更届の書き方や提出方法などについても、一緒に見ていきましょう。
目次
常時、10人以上の労働者を雇用している会社や事業所には、就業規則を作成する義務があります。
就業規則については、会社単位ではなく、事業所単位で定めることも可能です。
そのため、地域ごとの業務環境や態度、業績などに応じた、就業規則を作成・変更することも可能になります。
就業規則を作成・変更するためには、就業規則変更届を提出する必要があります。
就業規則変更届を提出する際には、以下のことが必要になります。
まずは、総務部などの担当部署で就業規則の変更案の草案を作成します。
雇用者が正社員だけでなく、パートやアルバイトなどの非正規社員がいる場合には、就業規則を適用する従業員の範囲も決定します。
草案がまとまったら、法律に抵触する文面がないかどうか、法務担当者などに内容を確認してもらいましょう。
問題がない場合には、取締役会で承認を受け、経営陣からの合意を得ます。
また、草案の他に提出する必要のあるものが、意見書になります。
意見書を作成するためには、労働者の過半数の代表者の意見を書面にまとめる必要があります。
代表者については、労働者の過半数が労働組合に加入している場合は労働組合の代表者、労働組合がない場合は労働者の過半数が支持する代表者となっています。
代表者を選出する際には、管理・監督の立場にある人は除きますので注意しましょう。
ちなみに、就業規則の変更に関して、代表者に特段意見がない場合にも、意見書に「意見なし」と記載する必要があるので、その点にも注意しましょう。
ここでは、就業規則変更届の記入例・書き方・提出方法について、詳しく見ていきたいと思います。
就業規則変更届には、公式のフォーマットなどはありません。
そのため、就業規則変更届に必要な項目を記載することができていれば、パソコンなどで自作した書面であってもOKです。
就業規則変更届に記載するべき内容は、以下の通りです。
就業規則変更届の書き方について、それぞれの項目は以下の通りです。
それでは、それぞれの項目について、詳しく見ていきましょう。
「新規で届け出をする場合」には、就業規則(変更)届の(変更)を二重線で消しましょう。
「変更で届け出をする場合」には、そのままで構いません。
就業規則(変更)届を提出する日付を記入します。
宛名は、会社または事業所の所轄の労働基準監督署長殿になります。
提出の目的を記入します。
「新規で届け出をする場合」には、上記の文面の「制定」に〇をつけます。
「変更で届け出をする場合」には、上記の文面の「変更」に〇をつけます。
主な変更事項を記入します。
「新規で届け出をする場合」には、変更事項はないので、斜線を引きます。
「変更で届け出をする場合」には、就業規則を変更した部分の内容を記入します。
この時、就業規則の全文ではなく、変更した部分の記入のみでOKです。
労働保険番号、事業場名、所在地、電話番号、使用者職氏名、業種・労働者数を記入します。
就業規則変更届に必要な書類は、以下の通りです。
それでは、それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
就業規則を変更した旨を届け出る際に、表紙にあたる書面になります。
上記にご紹介した項目に抜けがないように、正しく作成したものを提出します。
変更した旨がわかるように、就業規則の本体を提出します。
また、就業規則の一部とみなされる別規定がある場合には、それも一緒に提出します。
変更後の就業規則について、労働者側の代表者からの意見を記載した書面になります。
就業規則変更届について、所轄の労働基準監督署への提出方法には、以下のものがあります。
それでは、それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
就業規則を作成・変更した後は、その旨を労働基準監督署に届け出る必要があります。
必要書類を持参して、所轄の労働基準監督署の窓口で提出します。
所轄の労働基準監督署の窓口に提出するのが厳しい場合には、郵送することも可能です。
郵送する場合には、所轄の労働基準監督署に問い合わせをして、担当窓口や担当者名を確認してから郵送すると安心です。
また、就業規則変更届が受理された場合には、事業所控えとして、書類一式の1部を受け取ることになります。
労働基準監督署から返送してもらうための返信用封筒を、必ず同封するようにしましょう。
申請用プログラムをインストールすれば、会社のパソコンからでも就業規則変更届を提出することができます。
申請用プログラムに掲載されたフォーマットに必要事項を入力するだけで良いほか、24時間365日、時間を気にせずに提出できる点がメリットといえます。
ただし、システムのメンテナンスなどによって届け出ができなくなる場合もあるので、電子申請で提出する際には注意しましょう。
就業規則変更届は、会社または事業所の所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。
より詳しくいうと、複数の事業所がある会社のうち、一つの事業所のみの就業規則を変更する場合には、その事業所の所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。
また、会社がすべての事業所の就業規則変更届をまとめて提出する場合には、本社所在地を管轄する労働基準監督署を経由することで、一括で提出する事ができます。
ただし、一括で提出することができるのは、すべての事業所が同一内容の就業規則を適用しており、変更があった場合に限られます。
就業規則を変更する際の注意点とは、以下の通りです。
それでは、それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
就業規則の作成・変更の書類は上述しましたが、就業規則変更届・就業規則・意見書を揃えて、2部作成する必要があります。
2部作成する理由は、1部は労働基準監督署に提出する分、もう1部は会社の控えとして受付印を押されたものが返却されるからです。
就業規則変更届の提出には、「遅滞なく、所轄の労働基準監督署長に届け出なくてはならない」と定められているだけで、明確な期限はありません。
ただし、就業規則を変更してから、半年後や1年後に提出するというタイミングは論外です。
忘れないうちに、早めに提出するに越したことはありませんが、遅くても1ヶ月以内には提出するようにしましょう。
就業規則を変更した場合には、従業員に対して周知を図ることが法律で義務付けられています。
変更した内容について、事業所の見えやすい場所に掲示したり、各従業員に書面で交付するなどの方法があります。
また、書面による形だけではなく、電子データとして保存し、社内のパソコンなどで閲覧できる形をとる方法もあります。
就業規則を変更する場合には、就業規則変更届を提出する必要があります。
就業規則変更届は、公式のフォーマットが用意されているわけではないので、必要な項目を満たしていれば、自作のもので問題はありません。
そのため、項目に抜けがないかどうかをしっかりと確認することが重要です。
また、就業規則変更届を提出するためには、変更届の他にも、変更後の就業規則や意見書の提出も必要になります。
必要書類を揃えた後にも、提出方法はいくつかあるので、上記を参考に、就業規則を変更したら速やかに提出するようにしましょう。