育休手当とは、育児休業中に、国からお金が支給される制度です。
正確には、育児休業給付金と呼ばれるものとなります。
この育児休業給付金という制度は、労働者が育児休業を取得しやすく、休業後の職場復帰を支援・促進することを目的として、雇用保険において設けられたものとなります。
このような、子育てをする世帯には、ありがたい制度ですが、雇用保険などの制度は、仕組みがややこしくわかりやすくないですよね。
この育児休業給付金において、よく疑問や不安に思われるのが、支給条件です。
パートの場合、入社1年未満の場合、2人目の子どもの場合、男性の場合などは、どうなるのでしょうか。
そこで、ここでは、育休手当の支給条件など育休制度について、くわしく見ていきたいと思います。
上記のような疑問についても、わかりやすく説明しますので、解決していきたいと思います。
目次
育児休業制度とは、子どもが1歳になるまで、子育てのために、労働者が取得することのできる休業のことです。
子どもを妊娠し、出産・育児をする期間に取得できる休業には、産前産後休業と育児休業があります。
産前産後休業は、出産する女性の身体を守るために定められた休業であることに対し、育児休業は出産後の子どもを育てるために設けられた休業です。
そのため、育児休暇は女性の労働者だけではなく、男性の労働者も取得することができます。
そして、この育児休業中には、雇用保険から育休手当(育児休業給付金)というものが支給されます。
それでは、この育休手当(育児休業給付金)はいくらもらえるのでしょうか。
育休手当の支給金額の計算方法としては、まず、賃金日額を算出します。
賃金日額は、休業前の6ヶ月の給料から算出されます。
育休手当の支給額は、育休開始後半年までと、6ヶ月を経過したのちとで計算方法が異なります。
ただし、育休手当には、上限と下限があります。
賃金日額×30日の金額が42万6300円が上限とされるため、この金額を超えた場合には、育休手当は42万6300円で計算されます。
そのため、育休開始6ヶ月間は67%の28万5621円、半年経過後は50%の21万3150円が支給されることになります。
また、賃金日額×30日が6万9000円が下限となり、それ以下の場合も6万9000円で計算されます。
育休開始6ヶ月は67%の4万6230円、半年経過後は50%の3万4500円が支給されます。
産後8週間は、産後休業期間になりますので、育休はその後から取得することになります。
つまり、育休が開始するのは、出産の8週間後となります。
育休手当は、1年間支給されるのではなく、子どもが1歳になるまでが給付期間となります。
育休は、産後8週間の産後休業が終わってからの取得になるため、育休が開始した時点で、お子さんは生後約2ヶ月ということになります。
そのため、育休手当の支給期間は、10ヶ月程度となります。
男性の場合は、子どもの出生直後から育休を取得することが可能となりますので、1年間育休手当が支給されることになります。
それでは、この育休手当が支給されるための条件とはどのようなものなのでしょうか。
パートの場合、入社1年未満の場合、2人目の子どもの場合、男性の場合などは、どうなるのか、気になる人も多いのではないでしょうか。
くわしく見ていきたいと思います。
育休手当が支給されるためには、以下の条件を満たしている必要があります。
これらの条件を満たしていることが前提となります。
以下のような場合には、どうなるのかを見ていきたいと思います。
正社員、パート・アルバイト、派遣社員などといった雇用形態は、育休手当の支給条件には関係ありません。
そのため、雇用保険に加入しており、雇用保険料を払っていて、その期間が過去2年間で12ヶ月以上あれば、パートでも条件を満たしていることになります。
上記の条件の2つ目に、「育休開始前の2年間に、賃金支払い基礎日数11日以上働いた月が12ヶ月以上ある」とあります。
これは、同一の事業主のもとで12ヶ月ではなく、転職した場合などに、2年間の間に、合算して雇用保険の加入が12ヶ月あれば問題ありません。
ただし、勤務1年未満の場合には、労働者の代表と事業主が労使協定を締結することによって、育休の対象から「入社1年未満の者」を除外することができます。
この労使協定を締結していない場合においては、入社1年未満の者でも育児休業を取ることができます。
それでは、この入社1年未満というのは、どの時点で判断するのでしょうか。
これは、子どもが生まれた日でも、育児休業開始日でもありません。
1年未満かどうかを判断するのは、育児休業申出の時点であることとされています。
育児休業の申出は、育児休業開始日(希望日)の1ヶ月前までにしなければならないと定められています。
そのため、もし、入社1年未満のうちに子が生まれた場合でも、1年以上となった時点で育児休業の申出ができ、その1ヶ月後から育児休業を開始することができます。
2人目の子どもでも、1人目同様に育休手当を受給することが可能です。
1人目が1歳になって育児休業が終わり、職場復帰した後、第二子を妊娠・出産すれば、産後8週間後から育児休業給付金を受給できます。
ただし、育休と産休を同時に取ることはできません。
そのため、1人目の育休中に2人目を妊娠した場合には、2人目の産休を取得することになり、1人目の育休は終了となります。
この場合は、2人目の産休が終了してから、2人目の育休が開始することになります。
女性の場合は、出産後、8週間の産後休業が終了してから、育休を取得することになります。
それに対して、男性の場合は出産予定日から育児休業を取得することができます。
出産予定日よりも子が早く生まれた場合は実際に生まれた日から、出産予定日よりも遅く生まれた場合は出産予定日から育児休業開始とすることが可能です。
そして、育児休業は、子どもが1歳になる前日までが基本的な支給期間でとなります。
一度職場復帰をした後に、同じ子どもに関して育児休業を再取得した場合には、配偶者の疾病等の特別な理由がなければ、育休手当の支給対象にはなりません。
配偶者が出産後8週間以内に育児休業を取得し、一度復職した後に、再び育児休業を取得する父親については、特例により育児休業給付金の支給が認められています。
産休に関しては、出産手当金というものがありますが、こちらは、社会保険に加入していれば、受給対象となります。
これに対して、育休手当は、上記で見てきたように、雇用保険の加入期間などの条件があります。
また、そもそも、子どもが2人欲しいと思っているのであれば、制度をうまく活用し、1人目と2人目の産休と育休が重ならないようなタイミングを考えられると良いですね。
もちろん、意図した通りになることではありませんが、制度を知った上で、計画的に考えるだけで、経済的な部分は大きく変わるのではないでしょうか。
このように、社会保障というのは、制度を正しく理解して上手く活用できれば、我々の生活にとって、非常にメリットがあるということになりますよね(^^)