会社などで働いている女性の労働者が、出産することになった場合には、産前産後休業(産休)を取得することになります。
産休中には、労働者は、社会保険料免除の適用を受けることができます。
社会保険料は、労使折半となっているので、会社側の社会保険料の支払いも免除されます。
そして、この社会保険料の免除のためには、産前産後休業取得届申出書の提出が必要となります。
あまり耳なじみのない書類なので、書き方がわからないということも多いかもしれませんので、記入例があれば、手続きをスムーズに行えますよね。
そこで、ここでは、産前産後休業取得届申出書の書き方を記入例とともに見ていきたいと思います。
目次
産前産後休業を取得した際には、社会保険料の納付が免除されます。
まずは、この産前産後休業保険料免除制度の内容、対象者、書類の届け先について、くわしく見ていきたいと思います。
産前産後休業保険料免除制度とは、産前産後休業期間中の社会保険料(健康保険・厚生年金保険)が免除される制度です。
産前産後休業保険料免除制度が適用されるのは、産前の6週間(多胎妊娠は14日)、産後の8週間ののうち、妊娠や出産を理由として労務に従事しなかった期間となります。
この間には、労働者負担分だけでなく、事業主負担分の社会保険料も免除されます。
また、労働者は、社会保険料の支払いが免除されても、将来受け取れる年金の減額や被保険者資格の変更・喪失はされません。
産前産後休業保険料免除制度の対象者は、社会保険の被保険者となります。
また、出産を行うのは、女性であるため、対象となるのは、女性のみです。
出産とは、妊娠85日(4ヶ月)以降の出産(早産や死産、人工妊娠中絶)を意味します。
社会保険の被保険者である女性が、産前産後休業を取得した場合に対象となります。
社会保険料の免除は月単位で計算され、産前産後休業開始月から終了予定日の翌日の月の前月までが対象期間となります。
そのため、産休期間の終了予定日が月末かどうかによって、免除期間は大きく変わります。
以下に例として見ていきたいと思います。
【例1】産休終了予定日が9月29日の場合
終了予定日の翌日が9月30日となり、その前月の8月までが社会保険料の免除期間となります。
【例2】産休終了予定日が9月30日の場合
終了予定日の翌日が10月1日となり、その前月の9月までが社会保険料の免除期間となります。
このように、産休期間の終了予定日が月末かどうかによって、免除期間が1ヶ月異なります。
産前産後休業保険料免除制度の申請手続きは、事業主が事業所の管轄の年金事務所に、産前産後休業取得者申出書を提出することになります。
提出方法は、電子申請、郵送、窓口持参のいずれかとなります。
健康保険・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届は、日本年金機構のホームページからダウンロードすることも可能です。
また、申請書以外に添付書類は必要ありません。
それでは、産前産後休業取得者申出書の書き方を記入例とともに見ていきたいと思います。
提出者記入欄には、事業所整理記号・事業所所在地・事業所名称・事業主氏名・電話番号を記入します。
事業主届出印を押印しますが、事業主が自署した場合には、押印を省略することができます。
①~⑪までは、共通記載欄となります。初回の提出時には、共通記載欄のみを記入します。
社会保険の被保険者に割り振られている番号です。
健康保険・厚生年金保険 資格取得確認及び標準報酬決定通知書や、健康保険証の「番号」の箇所に書かれている数字が被保険者番号となります。
休業取得者の個人番号、または、基礎年金番号を記入します。マイナンバーを記入する場合は、休業取得者に本人確認を行う必要があります。
被保険者の氏名を記入します。
被保険者の生年月日を記入します。
出産予定年月日を記載します。
出産後に提出する場合にも、出産予定年月日を記入します。
※出産予定の子の人数が2人(双子)以上の場合に「1.多胎」を〇で囲みます。
単胎妊娠の場合には、出産予定日の6週間(42日)以前、多胎妊娠の場合には、出産予定日の14週間(98日)以前の日付を記入します。
出産予定年月日の翌日から起算して8週間(56日)後の日付を記入します。
ただし、42日以降であれば、医師が就業させても問題ないと認めた業務に限り働くことは、差し支えないとされています。
出生児の氏名を記入します。2人以上の場合は同じ欄に列記します。
※この申出書を出産後に提出する場合のみ記⼊します。
出産年月日を記入します。
※この申出書を出産後に提出する場合のみ記⼊します。
死産、流産の場合は、「⑨出生児の氏名」欄はを空欄にし、備考にその旨を記入します。
届出書を提出した後、出産予定日が変更された場合や、実際の出産日が出産予定日と異なった場合には、「A.変更」欄を記載した届出書を再度、提出する必要があります。
その際には、共通記載事項(取得申出)には、最初に提出した申出書と全く同じ内容を記入しなければいけません。
実際の出産日又は変更後の出産予定日を記入します。
変更のあるなしに関わらず記入します。
出産年月日が予定より前だった場合には、変更後の出産(予定)年月日を基準として、単胎妊娠の場合には、出産予定日の6週間(42日)以前、多胎妊娠の場合には、出産予定日の14週間(98日)以前の日付を記入します。
変更後の休業終了予定日を記入します。
届出書を提出した後、産前産後休業終了予定年月日と、実際の当該休業を終了した年月日が異なる場合には、「B.終了」欄を記載した届出書を再度、提出する必要があります。
その際には、共通記載事項(取得申出)には、最初に提出した申出書と全く同じ内容を記入しなければいけません。
実際に休業を終了した年月日を記入します。
予定年月日と終了年月日が同じ日である場合には、提出不要です。
事業者は労働者からの申し出があった場合には、会社の所在地を管轄する年金事務所に、産前産後休業保険料免除制度の申請手続きを行う必要があります。
また、産前産後休業期間の変更や出産予定日が変更になる場合には、変更届の提出が必要となります。
この産前産後休業保険料免除制度は、労働者にとっては、給料が支払われない期間に社会保険料が免除される非常にメリットの大きいものとなります。
同様に、その間については、事業主負担分も免除されるので、会社にとってもメリットのあるものとなります。