均等割額とは、住民税における固定金額の部分であり、法人・個人のどちらの場合であっても、所得等によって金額が変動することはありません。
個人の場合はそこまでの負担にはならないかもしれませんが、法人を設立したばかりの個人事業主からすれば、均等割の負担は相当なものになります。
特に、事業が軌道に乗っていない企業からすれば、事業が赤字であっても均等割は支払う義務があるため、支払うのがしんどくて苦しい思いをする人も少なくないと思います(^^;
また、課税対象や金額、納付方法についても、法人・個人のそれぞれの場合によって異なるため、しっかりと把握しておくことが重要です。
ここでは、均等割額とは何なのかについて触れつつ、法人・個人の場合の課税対象や金額、納付方法について、詳しく見ていきたいと思います。
目次
均等割額とは、住民税における固定金額の部分になります。
均等割額について触れる前に、住民税の仕組みについて理解しておきましょう。
それでは、法人・個人の場合の住民税の仕組みについて、詳しく見ていきたいと思います。
法人住民税は、「地方税」という性質を持っているため、その法人の事業所がある地方自治体に税金を納めるものです。
法人住民税は、「法人税割」と「均等割」の2つからなります。
ここでいう法人税割とは、当該年度の法人税額を課税標準として課される住民税額のことを指しています。
そのため、法人税割額は企業の所得によって変動するのに対して、均等割は所在地や従業員数などに応じて、固定金額が課せられるのが特徴です。
また、以前は、預金の受取利息などから控除される住民税の「利子割」というものもありましたが、2016年以降は廃止されています。
個人住民税は、自身が居住している地方自治体に税金を納めるものです。
個人住民税は、「所得割」と「均等割」の2つからなります。
ここでいう所得割とは、個人の所得額に応じて課せられる住民税額のことを指しています。
一方、均等割は、「都道府県民税」と「市町村民税」の2つからなります。
原則として、均等割額は、固定金額が課せられているため、個人住民税でいう「基本料金」のような意味合いのものだと解釈するとわかりやすいでしょう。
ここまで、法人・個人の場合の住民税の仕組みについて解説しました。
上述した通り、均等割額は、法人税割額や所得割額とは異なり、固定金額が決まっているため、住民税の基本料金のようなものになります。
それでは、法人・個人の場合の住民税の均等割額について、より詳しく見ていきましょう。
ここでは、法人・個人の場合の均等割額の課税対象や金額、納付方法について、詳しく見ていきたいと思います。
法人の場合、原則として、地方自治体の行政区域に事務所や事業所がある場合は、均等割額の課税対象となります。
そのため、株式会社や一般社団法人などのように法人格がある場合はもちろん、行政区域で収益事業を行っている法人格のない社団や財団も課税対象となります。
事務所や事業所ではなく、寮や保養所だけをその区域に置いている法人の場合にも、住民税のうち、均等割だけは課税対象となります。
また、収益事業を行わない公益法人や特定非営利活動法人(NPO法人)の場合も、均等割の課税対象となります。
ただし、公益法人やNPO法人などについては、自治体によっては均等割額を免除する場合があるため、非営利事業や福祉事業などの企業を設立する際にはチェックしておきたいところですね。
一般社団法人や一般財団法人についても、非営利型法人に該当するかどうかで均等割の取り扱いが分かれることがあるため、一緒に確認しておくのがおすすめです。
個人の場合は、日本に在住しているすべての国民が課税対象となります。
しかし、収入が少ないと均等割額が免除される場合もあります。
特に、所得金額が一定額以下の場合には、免除される対象になる可能性があります。
個人住民税はすべての国民に納付する義務があるため、免除を受けたいと考えている場合は、事前に免除対象を確認して、しっかりと手続きを行うことが重要です。
法人住民税の均等割額は、事務所の所在地や従業員数などによって金額が変わります。
今回は、東京都の場合を例として、均等割額の計算例を解説していきます。
課税条件(事業所1つにつき) | 均等割額 |
資本金等1000万円以下 従業員数50人以下 |
7万円 |
資本金等1000万円以下 従業員数50人超 |
14万円 |
資本金等1000万円超1億円以下 従業員数50人以下 |
18万円 |
資本金等1000万円超1億円以下 従業員数50人超 |
20万円 |
資本金等1億円超10億円以下 従業員数50人以下 |
29万円 |
資本金等1億円超10億円以下 従業員数50人超 |
53万円 |
上記の表は、東京都の特別区内にのみ、事業所が1つ存在する場合の均等割額を指しています。
なお、均等割額の最高金額は、資本金等50億円超かつ従業員数50人超の場合で380万円となります。
特別区内に事業所などが複数ある場合は、事業所数に応じて、均等割の特別区分(最低金額5万円)が追加されます。
一方、特別区と市区町村に事業所がそれぞれ存在する場合には、都民分の均等割額と、事業所などが置かれた特別区の数に応じた特別区分の均等割額を足したものが納付額となります。
この場合の均等割の最低金額は、上記と同様、7万円です。
市町村にのみ事業所がある場合には、都民分の均等割額のみが発生するため、資本金等1000万円以下であれば2万円、資本金等1000万円超1億円以下であれば5万円となります。
この場合、従業員数は関係ありません。
また、ここで挙げたものは、あくまでも東京都の場合の一例です。
均等割額は、各地方自治体の条例によって定められているため、具体的な金額を求める場合には、条例を確認することをおすすめします。
個人住民税の均等割額は、都道府県民税と市町村民税を合計した金額が課せられます。
均等割の標準税率は、都道府県民税だと1500円、市町村民税だと3500円に設定されています。
つまり、住民税全体の標準税率は1500円+3500円=5000円となります。
標準税率を採用している地方自治体では、均等割額は5000円だと判断して良いでしょう。
ただし、実際の均等割額は都道府県や市区町村によって異なる可能性があるため、正しい金額を知りたい場合には確認することをおすすめします。
法人の場合は、原則として、事業年度終了後2ヶ月以内に税務申告をして納付します。
税務申告および納付は、都道府県税金事務所または市町村役所で行います。
個人の場合は、特別徴収と普通徴収の2つの納付方法があります。
サラリーマンなどの給与所得者の場合には、特別徴収となります。
そのため、その年の6月から翌年5月までの納付時期の間、毎月の給与から天引きする形で、個人住民税を納付します。
一方、フリーランスや個人事業主などの給与所得者以外の場合には、普通徴収となります。
原則では、6月、8月、10月、翌年1月の4回分納という形で納付するのが一般的です。
収入に余裕がある場合には、一括で納付することも可能です。
法人を設立したものの、何らかの事情で休業せざるを得なくなった場合には、均等割額を支払うのは相当な負担になりますよね。
こんな時は、休業していることを申し出ることによって、均等割の免除制度が受けられる可能性が高くなります。
均等割の免除制度を受けようとする場合には、均等割免除申請書を税金事務所などに提出する必要があります。
ただし、免除申請についても、各地方自治体によっては申請方法が異なる場合があるため、免除制度を受けたい場合には事前に確認しておくことが重要です。
均等割額は住民税の固定金額の部分となるため、引っ越しをしない限りは、課税金額に変動はありません。
個人の場合は、1月1日時点に住民票のあった市町村に応じた均等割額が課税されます。
個人住民税は、企業に勤めている人であれば給与から天引きされているため、あまり負担には感じないかもしれませんね。
しかし、法人の場合は、法人を設立したてで事業が赤字になっていたとしても、均等割を支払う義務があります。
課税金額は最低7万円であり、事業が軌道に乗っていない場合には負担になることも避けられないので、免除制度などをうまく活用することが重要です。
また、課税対象や納付方法も法人・個人の場合で異なるため、それぞれについて、上記を参考にして正しく納付するようにしましょう(^^♪