勤めていた会社を退職することになると、これまでに会社を通じて加入していた社会保険の資格を喪失することになります。
そうすると、健康保険の資格も喪失することになり、健康保険証を返却することになりますよね。
この場合、国民健康保険に加入することになるのですが、この社会保険の健康保険から、国民健康保険への切り替え中に、病院で診察を受ける場合にはどうすれば良いのでしょうか。
また、逆に、国民健康保険に加入していたが、会社の社会保険に加入することになった場合にも同様で、健康保険証が発行されるまでに病院へ行く場合はどうすれば良いのでしょうか。
一時的に、切り替え手続きを行っている最中であれば、健康保険、国民健康保険、いずれの保険証も持っていない状態になってしまいますよね(^^;
そこで、ここでは、健康保険証の切り替え中に、病院で診察を受ける場合はどうすればよいのか、医療費の負担はどうなるのかについて見ていきたいと思います。
目次
それでは、まずは、健康保険証を切り替えることになるのがどのような場合なのかについて見ていきたいと思います。
大きく分けると、上記のようなパターンとなるのではないでしょうか。
では、それぞれについて見ていきたいと思います。
会社などでは、社会保険の健康保険に加入していることになります。
退職に伴い、社会保険の健康保険の資格を喪失することになりますが、次の会社への転職が決まっている場合は、そちらで、再度、社会保険に加入することになります。
しかし、転職せずに、自営業など個人事業を始める場合や、一時的に無職になる場合などには、国民健康保険に加入することになります。
国民健康保険への加入手続きは、社会保険の資格を喪失してから、14日以内に行う必要があります。
国民健康保険に加入した際の、健康保険証の発行ですが、即日の場合もあれば、数日後に郵送される場合もあります。
自治体によって異なるようなので、場合によっては、数日間は、切り替え中で健康保険証が手元にない状態になることもあります。
同一市区町村への引っ越しの場合は、簡単に手続きが行えます。
本人確認書類(免許証)などと印鑑を持って、市区町村役場の窓口へ行き、住所変更届を提出すると、即日に新しい健康保険証が発行されます。
これに対して、他の市区町村に引っ越す場合には、転居前と転居後の市区町村役場のそれぞれにおいて、手続きを行う必要があります。
免許証などの身分証明書と印鑑を持って、転居前の市区町村役場で、転出届と国民健康保険資格喪失手続きを行います。
そして、転居後の市区町村役場で、身分確認書類と印鑑を持って、新たに国民健康保険に入り直す手続きを行います。
このように、他の市区町村に転居する場合は、一度、国民健康保険を脱退し、再度、新たな市区町村で加入することになります。
そのため、脱退した後は、新たな市区町村において、14日以内に健康保険加入の手続きを行う必要があります。
ですので、新たに加入し直し、健康保険証が発行されるまでは、手元に健康保険証がなく、切り替え中と同様の状態となります。
会社を辞めると、会社で加入していた社会保険の資格を喪失することになります。
その後、家族の扶養となり、扶養者の加入している社会保険に加入する場合も、手続きに時間がかかることがあります。
この場合も、切り替えの手続き中には、健康保険証が手元にない状態となります。
社会保険に加入せず、自分で国民健康保険に加入していた人が、就職に伴い、会社の社会保険に加入する場合です。
パートやアルバイトなどで社会保険の加入条件に該当しなかった場合や、自営業を辞めて就職した場合などがこれに該当します。
この場合にも、会社での社会保険加入手続きと健康保険証の発行までに、多少の時間が必要となりますので、その間は、健康保険証が手元にないということになります。
会社を退職した後も、同じ条件で健康保険に加入し続けることができる、任意継続という制度があります。
しかし、この場合も、一度、会社の社会保険の資格喪失を行った上で、再度、任意継続の手続きを行うため、健康保険証が発行されるまでは、手元にない状態となります。
健康保険の切り替えについては、上記でみてきたようなパターンがあります。
では、切り替え中で健康保険証が手元にない場合に、病院で診察を受ける場合にはどうなるのでしょうか。
病院では、毎月、健康保険証の提示を求められます。
健康保険の切り替え中で、健康保険証を提示できない場合には、通常3割負担の医療費を、全額の10割負担しなければいけないことになってしまいます。
そのため、手持ちが厳しい場合には、この間の通院は、少し難しいかもしれませんね。
健康保険証がない期間に、実費で診察を受けた分ですが、後日、医療費は還付してもらうことが可能です。
診察の際に、受付で言われることもありますが、当月内に保険証を持っていけば、病院で医療費を還付してもらうことが可能な場合があります。
ですので、できれば、すぐに還付してもらいたい場合には、受付で確認しておいた方が良いでしょう。
病院では、基本的に、患者から受け取らなかった分の医療費というのを、1ヶ月ごとにまとめて、協会けんぽや組合健保に請求しています。
そのため、当月内であれば、病院で還付してもらえる可能性があります。
当月内での提示が難しい場合や、遠方の病院などで診察を受けた場合には、後日、領収書や診療明細書と一緒に、療養費支給申請書という書類を協会けんぽや組合健保に提出すると、自己負担分を除いた医療費が還付されます。
また、健康保険証の代わりに、健康保険被保険者資格証明書というものを提出した場合には、保険証と同じ効力がありますので、自己負担分のみでの診察を受けることが可能です。
国民健康保険証、健康保険証のいずれにおいても、資格喪失の手続きがされているにも関わらず、手元にあるからといって、使用してはいけません。
病院では、無効になっていることが、すぐにわからない場合があり、自己負担額のみで受診できてしまう可能性があります。
「まだ使えるしラッキー♪」などと思わないでください。
このようなことをしても、国民健康保険の場合は、市区町村から、健康保険の場合は、協会けんぽや組合健保から、後日、自己負担分を除いた金額が請求されます。
ただし、請求された後に還付請求を行えば、還付はされますが、無駄な労力と時間がかかるだけですよね。
このように、健康保険の切り替え時には、病院での診察は、健康保険証がないので、一旦、自己負担をするなどといった対応が必要です。
切り替えは短い期間なので、病院に行かなければ良いかもしれませんが、急病や急か怪我というのも起こり得ますよね。
そのようなときに、我慢するわけにはいきませんので、正しい知識を身に着けておきましょう。