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健康保険任意継続のメリット・デメリットは?国保や扶養などとの比較

会社を退職した場合には、会社を通じて加入していた社会保険から外れることになります。

そうすると、これまで会社の健康保険証を使えるというメリットがあったのですが、健康保険証は返却しなければいけなくなります。

転職先の会社がすでに決まっている場合には、新しい会社で社会保険に入ることになるので問題ありませんが、そうではない場合にも、健康保険には、必ず加入する必要があります。

このときに、健康保険に入る方法として、いくつか選択肢がありますが、これまでの健康保険を任意継続するという方法があるのをご存じでしょうか?

健康保険の任意継続というのは、あまり耳なじみのない言葉かもしれませんが、ここでは、健康保険の任意継続とはどのようなものなのか、メリットやデメリットについて見ていきたいと思います。

退職後の健康保険の選択肢にはどのようなものがある?

会社を退職して、次の会社が決まっていない場合には、以下のいずれかの方法で、健康保険に加入しなければいけません。
  • 国民健康保険に加入する
  • 家族の健康保険に扶養で加入する
  • 健康保険に任意継続する

それぞれについてくわしく見ていきたいと思います。

国民健康保険に加入する

退職後に、個人事業主としての独立開業を考えられている場合には、この形をとられる方が多いのではないでしょうか。

加入手続きは、居住地の市区町村役場の国民健康保険の窓口で行います。

退職した日の翌日から14日以内に、申請書や健康保険被保険者資格喪失証明書などの必要書類を提出します。

国民健康保険は都道府県が運営しており、保険料率は各自治体によって異なります。

家族の健康保険に扶養で加入する

家族が加入している健康保険に扶養で入るという方法があります。

被扶養者になると、保険料の負担がありませんが、扶養家族になるには、年収が130万円未満などの条件があります。

そのため、家族のメインとして働かれていた方の場合には、この方法は難しいのではないでしょうか。

健康保険に任意継続する

国民健康保険に入ると、保険料が大きく変わる可能性があります。

また、これからも年収130万以上で働くのであれば、家族の扶養に入ることもできません。

そこで、これら以外の方法として、これまで加入していた会社の健康保険に入り続けることで、保険料や収入制限などなく、生活をできるだけ変えずに済むという任意継続という制度があるのです。

それでは、健康保険の任意継続には、どのようなメリットとデメリットがあるのか見ていきたいと思います。

健康保険任意継続のメリット・手続き方法は?

3つの方法がありますが、国民健康保険は、前年度の年収によって保険料が決まり、扶養家族がいると、その分の保険料も負担しなければいけません。

また、家族の扶養に入る場合には、年収130万円未満などの条件があります。

これらと比較した場合に、任意継続にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

また、メリットだけでなく、デメリットも気になるところですよね^^;

任意継続のメリットは?

任意継続には以下の3つのメリットがあります。

  • 国民健康保険よりも安くなる可能性がある
  • 扶養という制度がある
  • 保険内容はこれまでと同じ

国民健康保険よりも安くなる可能性がある

国民健康保険は、前年度の年収で保険料を計算するので、給与が高かった方は、保険料が高額となってしまいます。

これに対して、任意継続の場合は、退職時の給与が月額27万円以上であれば、標準報酬月額28万円で固定して計算されるので、給与が高い人ほど国民健康保険よりも保険料が割安になる可能性があります。

扶養という制度がある

国民健康保険には、扶養という概念がありません。

そのため、扶養家族が増えればその分、保険料も上がってしまいます。

これに対して、任意継続の場合は、扶養家族が何人いても、保険料は変わりません。

そのため、家族のメインの収入源として働かれていて、今後も家族を扶養に入れることになる場合には、任意継続には、大きなメリットがあると言えるでしょう。

保険内容はこれまでと同じ

同じ保険に継続して加入し続けることになるので、保険内容はこれまでと同じとなります。

そのため、安心して加入し続けることができます。

任意継続のデメリットは?

このように見ていくと、国民健康保険よりも任意継続のほうがメリットがあるように思えますが、デメリットはないのでしょうか。

  • 条件が限られている
  • 2年目以降は国民健康保険のほうが安い場合も
  • 受付窓口が遠くなってしまう可能性が

上記のように3つのデメリットが考えられます。

それぞれについて見ていきましょう。

条件が限られている

任意継続に加入できる期間は2年間のみと決まっています。

2年を過ぎると自動的に脱退するというシステムになっています。

また、一度任意継続を選択すると、途中で、国民健康保険に変えたり、家族の扶養に入ったりすることはできません。

そのため、必ず、2年間は任意継続することが確実でないと、任意継続はオススメできません。

さらに、万が一、保険料を滞納した場合には、資格が喪失されてしまうなどと厳しい条件もあるので注意が必要です。

2年目以降は国民健康保険のほうが安い場合も

1年目は国民健康保険のほうが高かったとしても、2年目は1年目の年収をもとに、計算されるため、年収が低くなる場合には、トータルでは、国民健康保険のほうが保険料が安くなる場合も考えられます。

例えば、退職後に、個人事業主として、開業した場合などです。

このような場合に、国民健康保険に切り替えると、1年目は、会社員時代の最後の年収をもとに、保険料が決まります。

しかし、2年目は、個人事業主としての、1年目の年収をもとに、国民健康保険の保険料が決まります。

開業初年度は、それほど、利益がでない可能性が高いですよね。

健康保険料の観点でいうと、この辺りを踏まえて、いずれのほうが良いのかを考える必要があります。

受付窓口が遠くなってしまう可能性が

退職後に、実家や田舎に帰るという人もいらっしゃるかもしれません。

そのような場合、任意継続する先が、遠方になってしまうので、書類のやりとりなどの手続きに日数がかかってしまう可能性があります。

そうすると、手続きがスムーズに進まないために、期日までに、任意継続できないといったことにもなりかねないので注意が必要です。

任意継続の手続き方法は?

退職した日の翌日から20日以内に申し込む必要があります。

その際には、以下の書類が必要となります。

  • 任意継続被保険者資格取得申出書
  • 扶養事実を確認できる書類(扶養する家族や親族がいる場合)

また、扶養家族がいる場合には以下の書類も必要となります。

  • 非課税証明書
  • 所得税に関する源泉徴収票のコピー
  • 雇用保険受給資格者証のコピー

上記の書類を、退職した次の日から20日以内に加入していた健康保険組合に郵送します。

メリット・デメリットを考慮して選択を!

会社を退職して、健康保険に自分で入る必要がある場合には、これまで述べてきたように3パターンの方法があります。

任意継続にはメリットもありますが、デメリットもあります。

国民健康保険に加入するのか、扶養に入るのか、健康保険を任意継続するのか、それぞれのメリットやデメリットを正しく理解し、自分自身にとって、最も良い方法を選択しましょう!