人事担当者などから会社を辞めるようにお願いされることを退職勧告といいますが、退職勧告を受けた場合には、離職票に記載される退職理由がどうなるのかが気になりますよね(^^;
原則として、会社から退職するように勧告を受けた場合には、退職理由は会社都合退職として処理されます。
退職理由が会社都合退職と認められた場合には、自己都合退職の場合とは異なり、失業給付の受給開始期間が早くなるという点が最大のメリットとなります。
しかし、退職勧告後に自分から改めて退職を申し出た場合には、自己都合退職として処理される可能性があるので、注意が必要です。
ここでは、退職勧告が会社都合になる場合について、詳しく見ていきたいと思います。
また、失業給付における自己都合の場合との違いや、会社都合でのメリットについても、一緒に見ていきましょう。
目次
会社が退職勧告を行う理由には、以下のようなものが挙げられます。
このように、会社の業績悪化による人員削減・整理が目的である場合と、会社に適していない人員整理が目的である場合の、大きく2つに分類されます。
特に、会社に適していない人員整理が目的である場合には、労働基準法により、安易に従業員を解雇することができないと定められているため、退職勧告を行うわけですね。
どちらの場合においても、会社の方から退職するように勧告を受けることに変わりはありませんが、下記のような場合には、原則としては「会社都合扱い」となります。
退職勧告を拒否したにも関わらず、不当な解雇や、転勤・パワハラ・減給などの扱いを受けた場合には、適切に対処することで、会社都合として処理することができます。
しかし、退職勧告とは従業員の方から辞めてもらうために行われるものであるため、退職勧告を受けて、自分から退職を申し出た場合には、自己都合退職として処理されてしまいます。
下記に詳しく記載しますが、自己都合退職として処理されてしまった場合には、失業給付のメリットを受けることができなくなるので、注意しましょう。
それでは、会社都合になった場合に受けられる失業給付のメリットについて、解説していきたいと思います。
また、失業給付の自己都合との違いについても、詳しく見ていきましょう。
退職理由には、自己都合と会社都合がありますよね。
離職票に記載される退職理由が自己都合か会社都合であるかによって、失業給付の受給開始時期が大きく異なります。
退職理由が自己都合として処理される場合には、受給開始決定日から7日間の待期期間を経て、3ヶ月の給付制限が明けてからの給付になるのが特徴です。
つまり、離職票の提出と求職の申し込みを行った日から、最短でも、給付金の受給開始までは3ヶ月7日間の期間がかかってしまうわけですね。
そのため、会社から退職勧告を受けて、自分から退職を申し出てしまった場合には、失業給付を受けられるまでに空白の期間ができてしまうことになります。
このことを踏まえると、退職勧告を受けて、会社に都合の良いように自分から退職を申し出てしまった挙句、失業給付を受ける期間も長くなってしまうと考えると、デメリットばかりな気がしますよね。
それでは、失業給付が会社都合である場合について、詳しく見ていきましょう。
退職理由が会社都合として処理される場合には、「特定受給資格者」に該当するため、受給開始決定日から7日間の待期期間を経過した翌日からの給付になるのが特徴です。
つまり、離職票の提出と求職の申し込みを行った日から、給付金の受給開始まで7日間の待機期間を待つだけで済むのが最大のメリットになります。
退職勧告を受けた場合においても、上述した通り、たいていの場合が会社都合として処理されるため、失業給付のメリットが受けられる可能性は十分にあります。
失業給付のメリットを考えると、会社からの退職勧告を承諾して、退職理由を会社都合としてもらえるように処理してもらう方が良いかもしれないですね。
また、退職勧告を受けて、自己都合として退職してしまった後でも、ハローワークで会社都合に変更できる可能性もあるため、変更したい場合には一度相談してみると良いでしょう。
実は、退職勧告を受けた場合には、失業給付のメリットだけではなく、解雇予告手当を受け取れるメリットがある場合があります。
そもそもとして、会社側が従業員を解雇するためには、退職日の30日前までに解雇予告通知をする必要があります。
退職日の30日前までに解雇予告通知ができなかった場合には、解雇を通知したタイミングによって、30日に満たない日数分の解雇予告手当を支給しなければいけません。
日数に応じた解雇予告手当の支給額は、以下になります。
解雇通知をするタイミング | 解雇予告手当の支給額 |
30日後に退職してほしいと予告する | 支給なし |
今日退職してほしいと伝える | 給与30日分 |
10日後に退職してほしいと伝える | 給与20日分 |
25日後に退職してほしいと伝える | 給与5日分 |
そのため、退職勧告を断った後に、退職勧告を受け入れなかったことに対して、30日に満たないタイミングで解雇を通知された場合には、解雇予告手当を受け取れるわけですね。
また、その解雇が不当であると判断された場合には、失業給付のメリットを受けることもできるので、会社都合にするメリットは大きいといえるかもしれません。
自己都合として処理されてしまった場合には、ハローワークで異議申し立てを行えば、会社都合に変更することができる可能性もあるため、相談することも忘れないようにしましょう。
会社から退職するように勧告された場合には、たいていが会社都合として処理されます。
しかし、退職勧告を受けて、自分から退職を申し出てしまった場合には、自己都合として処理されてしまいます。
退職理由が自己都合になってしまうと、失業給付のメリットが受けられなくなるほか、解雇予告手当を受け取ることもできなくなってしまいます。
退職勧告をされた場合には、従業員には拒否する権利もありますが、退職勧告を承諾して、会社都合で退職して、前向きに再就職活動を行うのも一つの選択肢ではないでしょうか。
上記を参考にして、退職勧告を受けるメリットも考えた上で、自分にとって一番良い選択ができるようにしましょう(^^♪