現金や物品などを預かった場合には、預かったことを証明するため、預り証を発行します。
そして、現金や物品を一時的に預かっていた場合には、預かったものを返却する必要があります。
その返却時には、預り証を受取人に手渡し、引き換えに預けたものを返却してもらうという流れとなります。
つまり、現金や物品と交換する形で、受取人に預り証を返却するわけですね。
また、契約内容によっては、預り証と交換する形で領収書を手渡される場合があります。
そこで、ここでは、預り証の返却時はどうするのという流れを、現金・物品と交換する場合はどうするのかについて、詳しく見ていきたいと思います。
目次
原則として、領収書と異なり、預り証を発行する義務は受取人にはありません。
しかし、たいていの場合には、トラブルを回避するために預り証が発行されることがほとんどだと思います。
預ける側にとっても、預かった側にとっても、預かったものに対しての所有権が預ける側にあり、双方ともに合意していることを証明する書類として、預り証が発行されます。
そのため、非常に重要な証拠書類となるため、預り証が発行された場合には大切に保管しておくようにしましょう。
また、預り証を保管することが重要である理由はもう一つあります。
それは、現金や物品などを受け取る時に、預り証と交換する必要があることです。
特に、現金などの貴重品のやりとりの場合には、預かっていたことの証明として、返却する時には預り証の回収を求められます。
仮に、預り証を発行してもらっていたけれど紛失してしまった、という場合でも、たいていの場合は問題になることはありません。
しかし、預かった側にとっては、後から預り証が出てきたといって返却を二重に求められるリスクもあるため、紛失したことを証明する書類の作成を求められる場合があります。
それでは、具体的に、預り証の返却時にはどのようにするのかについて流れを見ていきたいと思います。
現金・物品を返却する場合には、預り証の持参を求められることが多いです。
もちろん、発行していない場合には必要ありませんが、現金などの貴重品を預けている場合には、預り証が発行されることがほとんどであるため、大切に保管しておく必要があります。
現金・物品と預り証を交換することで、取引は終了したことを表します。
預り証は、使用する場面によって書式・様式が異なるのが特徴ですが、預けた側には複写した預り証が手渡されることが多いです。
そのため、預り証を紛失してしまったとしても、預けた側に証拠が残っていることが多いので、たいていの場合は問題ありません。
しかし、預り証は預けていることを証明するための重要な証拠書類となるため、なくさないように大切に保管するようにしましょう。
例えば、不動産売買などの場合、契約をする時には、手付金として代金の1割程度を買い手に預けることになります。
契約後、半月から1ヶ月の間は手付金解除、融資特約解除の白紙解約期間が設けられています。
白紙解約期間が過ぎれば、不動産を引き渡すときに残金の決済が行われ、手付金も代金として確定されます。
手付金と残金の合計額が確定されれば、手付金を預かった時に発行された「預り証」と「領収書」を交換することで、取引が終了します。
例えば、不動産で賃貸を契約する場合、入居者はオーナーに敷金を支払います。
敷金は入居する前に入居者から預かるお金となるため、敷金を受け取った際にはオーナーから預り証が発行されます。
入居者が退去する時に、預り証と引き換えに敷金が返却されます。
ただし、原状回復などの費用を差し引いて残金がなければ敷金は返却されないので、その時は預り証は効力を失うので、破棄することになります。
また、担保目的の場合には、担保条件が成就すれば預かった現金や物品は返却されないので、その時は上記と同様に預り証を破棄することになります。
単純に、現金や物品を運搬または保管する場合には、現金や物品を預かった時点で預り証が発行されます。
例えば、貸し倉庫などに物品を預けた場合に、受取人が預けたことを証明するための証拠書類として、預り証が発行されます。
預けたものを引き取る時に、預り証と引き換えに物品が返却されます。
また、運搬目的の場合には、領収書の書類が預り証の機能を兼ねている場合が多いですが、本質的には異なる書類となりますので、保管しておきましょう。
預り証を発行するのは受取人の義務ではありませんが、現金などの貴重品を引き取る場合には預り証と交換する必要があります。
そのため、発行された預り証は、しっかりと保管しておくことが重要です。
仮に、管理が甘くて預り証をなくしてしまった場合にも、受取人の方でも預り証を保管していることも多く、たいして問題にならないことがほとんどです。
しかし、預り証は、現金や物品を預けたことを証明することができる証拠書類となるため、いざという時のために備えて保管しておきましょう。