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預かり証とは領収書とどう違うのか?どのような場合に使用するのか

預かり証とは、経理担当者であればよく利用する書類ですよね。

経理担当者であれば、預かり証と領収書の違いは把握しているものですが、詳しいところまではわからない人も多いのではないでしょうか。

しかし、預かり証がどのようなものであるのかを理解しておかないと、後々で思わぬトラブルに巻き込まれてしまうこともあります。

実際の現場でのトラブルを回避するためにも、預かり証と領収書はそれぞれ、どのような場合に使用するものであるのかについてもしっかりと把握しておくことが重要です。

ここでは、預かり証とは何なのか、領収証との違いは何か、どのような場合に使用するのかなど、預かり証について詳しく解説していきたいと思います。

預かり証とは?どのような場合に使用するのか?

預かり証とは、他人が所有する資産を一時的に占有・保管する際に、預かる側が発行する書類のことをいいます。

預かり証を発行することで、自身の資産が一時的に預けられていることを、第三者に対して証明することができる書類となるため、事実確認を行う際には非常に役立つ書類といえます。

では、この預かり証とは、どのような場合に使用するのでしょうか?

発行することができる預かり証には、以下のような種類があります。

  1. 対象資産を運搬することを目的とした預かり証
  2. 資産を担保として差し入れることを目的とした預かり証
  3. 金銭の積立することを目的とした預かり証
  4. 単純に資産の保管を目的とした預かり証

それでは、順に詳しく見ていきましょう。

対象資産を運搬することを目的とした預かり証

運搬業者などが対象資産を一時的に預かったことを証明するための書類として、預かり証を発行することができます。

運搬業者が発行する書類は、領収書が預かり証を兼ねている場合が多いのが特徴です。

資産を担保として差し入れることを目的とした預かり証

質屋などで資産を担保として差し入れることにより融資を受ける際に、担保のための資産を一時的に預かることを証明する書類として、預かり証を発行することができます。

質屋では物品の買取をしているように見えますが、あくまでも担保のための資産を一時的に預かっている状態になるのが特徴です。

金銭の積立することを目的とした預かり証

信託契約などの契約の中で、金銭を積み立てることを目的として、資産を預託していることを証明するための書類として、預かり証を発行することができます。

単純に資産の保管を目的とした預かり証

貸し倉庫などに単純に資産を預けていることを証明するための書類として、預かり証を発行することができます。

上記はほんの一例ですが、預かり証は領収書と同様、資産を預かった側には発行する義務はなく、顧客側が預かり証を求めた場合に発行するケースがほとんどです。

しかし、お金でも物でも資産を預かった場合には、事後の争いを回避するためにも、預かったという事実を証明する書面を残しておく方が無難といえるでしょう。

また、預かり証は発行する必要があるシーンに応じて、発行するべき書式も異なるため、その内容もしっかりと把握しておくことが重要です。

預かり証と領収書との違いは何か?

それでは、預かり証と領収書との違いは何であるのかについて、詳しく見ていきましょう。

預かり証とは?

預かり証とはどのような書類?

預かり証とは、主に資産の取引に用いられ、取引相手が受取人に資産を預けた場合に、取引相手の要望により受取人が発行する書類のことをいいます。

預かり証を発行することで、取引相手が資産を預けたことを証明することが可能になります。

そのため、取引相手と受取人の間で、資産を預けた、預けていないといった揉め事になった場合などにも、預かり証さえ発行していれば、資産を預けたことを証明することができるので、トラブルを回避することにもつながります。

領収書との違いは何?

預かり証と領収書との大きな違いは、取引の対象となる代金や資産の所有権が違うことです。

領収書の場合は、代金の所有権は取引相手から受取人に移るのが特徴です。

一方、預かり証の場合は、資産の所有権は取引相手のままであることが特徴です。

そのため、預かり証を発行した場合には、資産の所有権が取引相手のまま移転していないことに合意していることを証明していることになります。

お金にしろ物にしろ、資産を預けた側にとっては、資産の所有権が自分にあることを証明できるものになるため、法的には非常に重要な書類といえます。

領収書とは?

領収書は、商品やサービスを購入してその対価である金銭を支払った場合に、商品やサービスを販売する側が発行する書類のことをいいます。

もう少しわかりやすくいうと、購入者が商品やサービスの対価として代金を支払い、販売側がその代金を受け取ったことを証明するための書類ということですね。

つまり、対価を支払ったことによって、資産の所有権が販売側から購入者へ移転していることを証明するために発行されるのが領収書になります。

領収書は預かり証に比べて、ビジネスの場面でも私生活の場面でも取り扱う機会が多く、企業内の経費処理や、税務署への税務処理の際にも必要になります。

このように、預かり証とは本質的に証明できる内容が異なるため、注意しましょう。

預かり証と領収書で共通している点とは?

ここまで、預かり証と領収書のそれぞれについて、違いを踏まえてご紹介しましたが、最後に共通している点についてもご紹介しておきます。

預かり証と領収書で共通している点とは、以下の通りです。

  • 商品・サービスや資産の取引にあたって、受取人が相手に対して発行する書類であること
  • どちらにも発行する義務はなく、受取人の要望によって発行するものであること

それでは、それぞれについてもう少し詳しく見ていきましょう。

預かり証と領収書では資産の所有権に大きな違いがあることは上述しましたが、どちらの書類も受取人が相手に対して発行する書類といえます。

この規定は、民法486条で定められている受取証書の交付請求に基づいています。

弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる(民法486条)

民法486条をもとにわかりやすく説明すると、商品・サービスや資産の取引において、対価を支払うことと引き換えに、受取人への預かり証や領収書などの証明書類を請求することができる、ということです。

また、預かり証や領収書などの証明書類の交付は受取人側の義務ではないものの、相手から交付請求があった場合には発行する義務が発生します。

もし、交付請求をしたにも関わらず、預かり証や領収証が発行されない場合には、相手には対価の支払いを拒否する権利も発生するので、注意しましょう。

預かり証と領収書の違いを正しく理解しておこう

預かり証と領収書は、どちらも取引上で代金や資産を受け取ったことを証明するために受取人が発行する書類になります。

基本的には、預かり証も領収書も受取人から発行を求められた場合に発行するものとなりますが、それぞれの書類はどのような場面で使用するのかを押さえておくことが重要です。

また、預かり証と領収書の大きな違いは、代金や資産の所有権にあります。

預かり証は、代金や資産を預けたとしても所有権は預けた側にありますが、領収書は、代金や資産の所有権は受け取り側に移転されていることを覚えておきましょう。

預かり証は、預かり証を兼ねて領収書として発行されることも多いですが、本質的には内容が異なるものになるので、上記を参考に預かり証と領収書の違いを正しく理解して、トラブルを回避しましょう(^^♪