老後の生活を支えるための資金を支給する年金制度には、国民年金と厚生年金がありますよね。
これらの年金保険料は、いつからいつまで払う義務があるのでしょうか?
国民年金は20歳を迎えてから、すべての日本国民に保険料の納付義務が発生します。
一方、厚生年金の場合は、公務員や会社員として勤務している時に加入する年金制度であるため、国民年金とは保険料の支払期間が異なります。
60歳以降も厚生年金に加入して保険料を納付し続けた場合には、就労期間中の年金の支給が一部もしくは全部が停止されることがあるため、注意が必要です。
ここでは、厚生年金の保険料はいつからいつまで払う必要があるのか、国民年金との支払期間の違いはあるのかなどについて、詳しく見ていきたいと思います。
目次
厚生年金は、国民年金とは異なり、一定の年齢になったからといって加入するものではありません。
厚生年金の加入条件は、公務員や会社員などのように、就業規則や労働契約に定められた所定労働時間と所定労働日数の4分の3以上を満たす70歳未満の従業員であることとされています。
また、上記の条件を満たしていなくても、下記の条件を満たしているのであれば、厚生年金の被保険者とすることが可能です。
5つの条件を満たしている労働者であれば、未成年であっても厚生年金の被保険者となります。
明確に下限年齢が定まっているわけではありませんが、中卒で働きだす年齢を下限だと捉えるならば、16歳が最年少ということになります。
つまり、厚生年金の被保険者が保険料を支払う年齢は、原則として、16歳から70歳までの間となります。
しかし、年金の受給が始まるのは65歳ですから、65歳を超えても企業に勤めている場合には、厚生年金に加入し、70歳までは保険料を納める義務が発生します。
この場合、年金の受給と厚生年金の保険料納付が重なるため、厚生年金に加入し続けた場合には、支給される年金の一部または全部が停止になる可能性があります。
そのため、国民年金と厚生年金の支払期間の違いや、注意点等について、しっかりと把握しておく必要があります。
では、国民年金と厚生年金の支払期間の違いについて、もう少し詳しく見ていきましょう。
国民年金の支払期間は、原則として、20歳から60歳までとなります。
厚生年金の支払期間は、原則として、16歳から70歳までとなります。
こうやって見比べてみると、厚生年金の方が支払期間が長いように見えますね。
20歳を超えたらすべての国民に支払い義務が発生する国民年金とは異なり、厚生年金は公務員や会社員として雇用されている場合に保険料の支払い義務が発生するため、自営業や個人事業主などの場合は厚生年金には支払う義務は発生しないのが特徴です。
そのため、厚生年金の場合は、雇用された年齢が若ければ若いほど、保険料の支払期間も長くなるということになります。
国民年金の場合は、任意加入制度を利用すると、60歳から65歳まで保険料を払い続けることができます。
厚生年金の場合は、任意加入制度を利用すると、70歳を超えても、受給資格期間(10年間)を満たすまでは保険料を払い続けることができます。
また、任意加入制度を利用する場合には、年金事務所に申請書の届け出をして、手続きを行う必要があります。
そのまま自動的に加入することができる制度ではないため、利用したい場合には申請手続きを忘れないようにしましょう。
65歳以降も企業に勤めている場合には、厚生年金に加入し、保険料を納める必要があります。
このように、65歳以降も厚生年金の保険料を納める場合には、「在職老齢年金」という制度が適用されます。
この制度は、年金を受給しながら保険料を支払っている人を対象に、給料と厚生年金の受給額をもとに、就労期間中に支給される年金の一部または全部停止を決める制度となっています。
つまり、受給額が減額される、もしくは、受給額の全額が支給停止になるということですね。
また、在職老齢年金という制度は60歳から65歳までにも適用されます。
60歳から65歳までの場合と、65歳から70歳までの場合とでは、受給額の一部または全部停止の基準が異なるものの、基準を満たしていないとその期間の受給額が減ってしまうことになります。
減額されるリスクを理解した上で、年収を抑えて年金を満額受給しながら働き続けるのか、繰り下げ制度を利用して受給時期を遅らせて働き続けるのかを考えて、選択することが重要です。
厚生年金の保険料の支払期間と、年金の受給期間が被ってしまうと、年金の受給額が減ってしまったり、場合によっては、支給停止になってしまうこともあります。
そのリスクを考えると、受給額を減らさないように年収を抑えて働くか、制度を利用して受給時期を遅らせて働き続けるのか、良い方を選んで損をしないようにしたいですよね(^^♪
また、60歳以降であれば、厚生年金に加入しないという働き方も選択肢にはあります。
自営業や個人事業主はもちろんですが、非常勤役員や、厚生年金の加入義務が発生しない範囲の労働時間・日数で働くことで、高額の収入を得たとしても、それまでに納めてきた受給額を減らすことなく受け取ることができます。
自分に合った働き方に応じて、年金の受給額に損がないような選択をしましょう。