やむをえない事情から、国民年金の保険料の納付ができなくなることってありますよね(^^;
失業や退職はもちろん、病気や怪我などで障害者認定を受けた場合、母子家庭の場合、学生の場合など、さまざまな理由から、経済的に困窮することもあります。
上記のように、経済的に困窮した場合には、国民年金の免除または猶予制度を利用することができます。
しかし、国民年金の免除または猶予制度を利用するためには、免除条件に該当していること、免除申請後の所得確認で承認されることが必要となります。
ここでは、国民年金の免除制度を利用する際に行われる所得確認や、失業や障害者、母子家庭、学生などの事例別の免除条件について、詳しく見ていきたいと思います。
目次
やむをえない事情から国民年金の保険料を支払うことが厳しい場合には、免除または猶予制度を利用することができます。
国民年金の保険料の免除または猶予制度を利用するためには、免除条件に該当している必要があります。
また、免除条件に該当していたとしても、免除申請を行った後に所得確認が行われるため、所得確認の段階で承認されない場合があります。
どのような事由であっても、結果として、経済的な理由で厳しいのは事実なので、たいていの場合は審査に通る人の方が多いといえるでしょう。
しかし、国民年金の免除申請後に行われる所得確認は、本人の所得だけではなく、配偶者や世帯主などの所得も審査の対象となります。
そのため、配偶者や世帯主などの所得も含めた場合に、基準を満たしていないと判断された場合には、免除または猶予制度を利用することはできません。
免除制度の審査の中には、本人の所得のみで済むものもありますが、配偶者や世帯主などの所得も含めて審査が行われるものが多いので、注意しましょう。
また、国民年金の保険料を納めることは法律で定められている義務なので、免除または猶予制度を利用する際のデメリットも把握した上で申請することが重要です。
ここでは、国民年金の免除条件について、詳しく見ていきたいと思います。
国民年金の免除条件を詳しく解説する前に、免除制度を利用できる場合の事例をご紹介します。
上記の免除制度は、基本的には一部免除もしくは全額免除になるものばかりです。
免除の場合には、減額はされるものの、受給できる年金額に反映できるのが特徴です。
しかし、学生納付特例制度に至っては、在学中の国民年金の保険料を猶予していることになるため、猶予期間中の保険料を納めない場合には、その期間中の年金額はゼロになります。
免除制度と猶予制度の違いについても、しっかりと把握した上で利用することが重要です。
それでは、上記でご紹介した国民年金の免除制度について、免除条件を事例別に詳しく解説していきたいと思います。
失業・退職による免除制度には、所得確認に特例があるのが特徴です。
免除もしくは猶予制度を利用するための所得の目安は、以下の通りです(カッコ内は収入額)。
全額免除/ 納付猶予 |
3/4免除 | 半額免除 | 1/4免除 | |
一人暮らし | 57万円 | 93万円 | 141万円 | 189万円 |
(122万円) | (158万円) | (227万円) | (296万円) | |
夫婦のみ | 92万円 | 142万円 | 195万円 | 247万円 |
(157万円) | (229万円) | (304万円) | (376万円) | |
夫婦と子2人 | 162万円 | 230万円 | 282万円 | 335万円 |
(257万円) | (354万円) | (420万円) | (486万円) |
原則としては、失業・退職後は本人に所得がないものと判断されますが、配偶者の所得によっては免除申請が通らない場合もあるため、注意しましょう。
また、夫婦で国民年金に加入している場合には、配偶者側の免除申請手続きも忘れずに行うことが重要です。
廃業または休業による免除制度も、失業・退職による場合と同様、所得確認に特例があります。
免除条件は失業・退職による場合と変わらないので、免除制度を利用する場合には、上記の条件に該当するかどうかを参考にしてください。
障害者および生活保護受給者の場合、国民年金保険料の免除が受けられる制度のことを法定免除といいます。
上記の条件に該当する場合には、法定免除を利用することができます。
ただし、法定免除を利用する場合にも申請手続きが必要になるので、利用したい場合には忘れずに行うようにしましょう。
それでは、それぞれの条件について、もう少し詳しく見ていきましょう。
下記のような理由から、障害年金(障害基礎年金や障害厚生年金)に加入し、障害等級1級、2級に該当する場合には、障害年金を受給する権利が発生した月の前月分以降の各月の国民年金保険料の全額が免除されることになります。
治療や訓練を経て、障害等級1級、2級だった人の障害が軽くなって3級になった場合でも、国民年金の法定免除を受けることは可能です。
しかし、3級にも該当しなくなってから3年が経過すると、法定免除を受けることはできなくなりますので、注意が必要です。
生活保護受給者の場合も、生活保護の受給が始まった月の前月分以降の各月の国民年金保険料の全額が免除されることになります。
ハンセン病療養所などで療養している場合も、療養が始まった月の前月分以降の各月の国民年金保険料の全額が免除されることになります。
母子家庭(ひとり親家庭)である場合に、年金が免除される制度はありません。
しかし、生活保護を受給している場合には、国民年金の保険料が全額免除になります。
働きながら子育てをしている場合には、基準は異なるものの、所得によって、一部免除になるか全額免除になるかが判断されます。
母子家庭の場合は世帯収入が少ない場合が多いので、免除制度が受けられる可能性は非常に高いものの、所得が少ないからといって必ずしも審査に通るわけではないことを理解しておくことが重要です。
また、母子家庭の場合において、全額免除が認められる場合の所得額は125万円以下であることが条件となっていますので、あくまでも目安として参考にしてください。
学生納付特例制度を利用する場合には、20歳~60歳までの間に、大学や大学院、短大などの学校に学生として在学中であることが条件となります。
なお、学生として対象になる学校については、以下の通りです。
上記のように、対象範囲が広いので、ほとんどの学校の学生が対象になります。
また、所得確認が行われるのは本人のみですが、アルバイトなどで所得(収入)額が118万円(194万円)を超えている場合には、免除申請が通らないので注意しましょう。
学生として在学中であること、所得(収入)額が基準額を超えていない場合に利用できる制度であることをあらかじめ理解しておくと、困らずに済みます。
平成31年度から新たに導入された特例免除制度が、「産前産後の免除」です。
免除対象は、平成31年2月1日以降に出産された方であることが条件です。
上記の条件を満たしている場合には、出産予定日または出産日が属する月の前月から4ヶ月間(産前産後期間)の国民年金の保険料が免除されます。
多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3ヶ月前から6ヶ月間の国民年金の保険料が免除されます。
ただし、上記の免除期間は平成31年4月以降の期間に限りますので、注意してください。
また、こちらの免除申請を行って承認された場合、産前産後期間として認められた期間は保険料を全額納付した期間だとみなされるため、将来の年金受給額にそのまま反映されるのが最大の特徴の制度といえます。
配偶者から暴力を受けている場合には、配偶者の所得に関わらず、免除申請を行うことができるのが特徴です。
所得確認が行われるのは本人のみのため、本人の前年所得が一定額以下である場合には、保険料の全額または一部が免除されます。
ただし、父母等の第三者が世帯主である場合には、その世帯主が所得確認の審査の対象となる場合もあるため、注意が必要です。
また、この特例免除制度を利用する場合には、配偶者からの暴力によって、自己防衛のために別居していることが前提となります。
そのため、申請手続きを行う際には、配偶者からの暴力によって別居している事実を確認できるものを必要書類とともに提出する必要があるので、注意しましょう。
国民年金の保険料の免除または猶予制度を利用するためには、免除条件に該当するかどうかを確認する必要があります。
国民年金の保険料の免除申請を行うことを検討している場合には、上記を参考に、免除条件に該当するかどうかを確認してみましょう。
また、免除条件に該当していたとしても、申請後に行われる所得確認によっては承認されないこともあるため、注意が必要です。
免除または猶予制度を利用する場合には、メリット・デメリットだけではなく、免除条件などについても把握した上で、申請を行うようにしましょう(^^♪