退職勧告とは、会社側が従業員を一方的に、辞めさせることを決定する解雇とは異なり、あくまでも会社から退職を促す行為のこととなります。
そのため、退職を決定する権限はあくまでも従業員にあることが特徴です。
もし、従業員側が退職勧告に納得ができない場合には、退職を拒否することも可能です。
また、退職勧告を経験したことがない人にとっては、退職勧告されたらどうするのが良いのか、対処法がわからないものですよね(^^;
実は、退職勧告が悪質であると認められる場合には、違法となり、法的措置として損害賠償を請求できる場合があります。
そこで、ここでは、退職勧告をされたらどうするのが良いのか、拒否の仕方や法的措置として損害賠償を請求する際の対処法について、 詳しく見ていきたいと思います。
目次
退職勧告をされる場合に考えられる理由は、大きく以下の2つに分類されます。
会社に適した人材ではないことを理由として退職勧告を行う場合には、合理的な理由がなければ解雇できないことが労働基準法で定められているため、会社側が遠回しに退職を勧めてくることになります。
それに対して、業績が悪化したことによる人員整理を理由として退職勧告を行う場合には、「整理解雇」となるため、解雇予告手当を支給しなければならないなど、会社としては痛手になる可能性もあります。
どちらの場合においても、会社側としては従業員が自主的に退職すると申し出てくれた方が都合が良いので、退職勧告をしてくるわけですね。
しかし、退職勧告の場合は、退職の決定権は従業員にあるため、退職勧告の理由に納得ができない場合には拒否する権利があります。
そのため、退職勧告に納得ができない場合には、はっきりと「辞めたくありません」と意思表示をすることが重要です。
ここで、本心では「辞めたくない」と思っているのに、その気持ちを飲み込んで「はい」と受け入れてしまうと、会社側は退職の意思を撤回させないためにすぐに合意する傾向にあります。
一度、退職の意思を伝えてしまうと撤回できないということを念頭に置いて、自分の意思をしっかりと伝えましょう。
悪質でしつこい退職勧告などの例と、そのような場合の対処法について、見ていきたいと思います。
悪質な退職勧告の例としては、以下のようなものが考えられます。
退職を承諾するまで執拗に退職勧告を行う場合というのは、悪質なものになります。
また、上記は退職勧告を直接的に行っている場合の悪質なケースですが、退職勧告を機に、間接的に退職を促すような行為も悪質なものになります。
例としては以下のようなものです。
上記のような行為を行うことは、「退職強要」となり、違法行為となります。
また、妊娠・出産・育休などを理由に退職を言い渡されたり、性別を理由に退職を言い渡されるなどの不当な理由から退職勧告を行うことも違法行為となります。
悪質な行為を止めるためには、弁護士に相談することが重要となります。
弁護士に相談して真っ先に行われるのは、会社宛に内容証明郵便を送付し、退職勧告をやめるように通告することです。
それでも会社側が退職勧告を辞めない場合には、最終的な手段として、差止めの仮処分を行います。
差止めの仮処分とは、退職勧告をストップさせましょうという裁判所からの命令になります。
差止めの仮処分を経て、双方の主張を聞き取った場合に、悪質だと判断された場合には、裁判所から会社へ仮処分を出してくれます。
上記の過程を経ることで、退職勧告を辞めさせることができるわけですね。
また、弁護士に相談する際には、退職勧告をしつこく行われたことを証明するために、下記のような方法で証拠を準備しておくことが重要です。
また、上記の証拠の内容によっては、損害賠償を請求できる場合があります。
証拠になるものをしっかりと集めて、余すところなく弁護士に提出するようにしましょう。
退職勧告を受けた場合、退職するかどうかの決定権は従業員にあります。
そのため、退職勧告を受けても、それを拒否する権利があるのは従業員です。
退職したくない場合には、堂々とはっきり「辞めたくないです」と伝えましょう。
それでもなお、しつこく退職勧告を続けてくる場合には、違法行為となる可能性が高いです。
また、退職勧告が悪質であると認められた場合には、退職勧告を辞めさせるだけではなく、損害賠償を請求できるほか、退職後の給与も少しばかりですが補償してもらえるかもしれません。
悪質な退職勧告に悩まされた場合は、泣き寝入りせず、必要な証拠を集めて弁護士に相談するようにしましょう。
しかし、あまり悪質な退職勧告を繰り返されると、徐々に会社にいたくなくなるかもしれませんね。
そのような場合には、会社都合退職として、メリットのある失業給付を受けるほうが良いかもしれませんね。