会社などで働く人は、毎月の給料から、社会保険料としていくらかの金額が控除されていますよね。
総支給額から考えると、「本当はもっともらえたのになぁ…」などと思ってしまうほど、結構な金額が引かれていますよね。
しかし、この社会保険料とは、一体何のためのものなのでしょうか?
給与明細を見ると、健康保険料と厚生年金保険料として、天引きされていますが、保険料率はどのように計算されているのでしょうか。
普通の人にはわかりやすくはない制度ですよね(^^;
そこで、ここでは、社会保険料とは一体何のためのものなのか、健康保険・厚生年金・計算方法などについてわかりやすく見ていきたいと思います。
目次
そもそも、社会保険とは何でしょうか?
社会保険という言葉には、広い意味での社会保険と狭い意味での社会保険を表す2つのものが存在します。
広い意味において、社会保険というのは、上記の5つを指します。
日本の社会保障制度の一つであり、病気やケガ、事故、失業、老後など働けなくなってしまったときに備えて、我々国民の生活を保障するために設けられた公的な制度です。
国民が相互に助け合うという「相互扶助」の理念の下で作られた制度であり、必要に応じた給付が受けられるものとなります。
これに対し、狭い意味での社会保険とは以下となります。
日常生活で用いられる社会保険という言葉は、給与明細を見たときに、社会保険料として控除される、健康保険料と厚生年金保険料、40歳以上の場合には介護保険料の3つとなります。
実際には、狭い意味での社会保険とは、上記の広い意味での社会保険のうち、医療保険、年金保険、介護保険の3つを指します。
そして、この3つの社会保険に対して、公務員や会社に勤めている人は、「健康保険」と「厚生年金」、40歳以上の場合には、「介護保険」に加入することになります。
また、自営業者、パート・アルバイト、無職の人などの場合は、「国民健康保険」と「国民年金」に加入することになります。
そして、このように、公務員・会社員かそれ以外の人なのかによって、社会保険(社保)か国民健康保険(国保)かいずれに加入するのかが異なってくるのです。
国民の生活が何らかの事情で不安定になった際に、国が一定の保障をするのが、社会保障制度となります。
社会保障制度の財源を確保しておかなければいけないので、国民は、そのために、社会保険料として毎月納めているのです。
日本国憲法には、社会保障について定められていますが、具体的に社会保障制度とはどのようなものなのでしょうか。
社会保障制度とは、以下の4つの制度の総称となります。
それぞれについては以下にまとめております。
社会保険 | 社会保険とは、病気やけが、出産、死亡、老齢、障害、失業など生活が困難になってしまうような事故や出来事が起こった際に一定の給付を行い、人々の生活の安定を図ることを目的としています。 国民それぞれが、保険料を出し合い、実際に給付が必要となった人に対して、資金から保険料を給付するという仕組みになっています。 |
社会福祉 | 社会福祉とは、社会的な支援が必要な人に対して、公的な支援を行う制度のことです。 社会的な支援が必要な人とは、児童、母子、心身障害者、高齢者など、社会生活を送る上でハンディキャップを負った人々に対して、一般的な社会生活が営めるようにする措置や援助を行います。 |
公的扶助 | 公的扶助とは、生活に困窮する人に対して、その状況に応じて必要な保護を行い、最低限の生活を保障し、自立を助けるための制度です。 |
保健医療・公衆衛生 | 保健医療・公衆衛生とは、私たちの社会生活に大きな影響を及ぼす疾病の予防を図ることなどを目的としています。 人々が健康に生活できるよう様々な事項についての予防や衛生のための制度となります。 |
この4つうちの、社会福祉、公的扶助、保健医療・公衆衛生の財源は、税金となっています。
しかし、社会保険については、国民が納めた社会保険料から、必要な場合に、保険料が支払われるという仕組みになっています。
そのため、我々は、社会保険料を納めなければいけないということになります。
公務員や会社に勤めている人が加入するのは、社会保険(社保)です。
そして、それ以外の自営業者、パート・アルバイト、無職の人は、国民健康保険(国保)に加入します。
それぞれはどのように異なるのでしょうか。
社会保険(社保)の場合は、勤めている会社と折半して保険料を支払う仕組みになっています。
また、加入している人の扶養に入っている人数が増えても保険料は変わりません。
それに対して、国民健康保険(国保)の場合は、扶養する人が増えた場合、人数に応じて保険料が高くなる仕組みになっており、保険料が高くなります。
月々の保険料については国保よりも、社保の方が得するということです。
毎月支払う保険料には大きな差があるにも関わらず、社保も国保も、病院を受診したときの医療費はどちらも3割負担なのです。
では、具体的な保障内容の違いについては、どう違うのでしょうか?
国保でも社保でも、出産の際には、一律で42万円が支給される「出産育児一時金」という制度が利用できます。
保障内容が違うものとしては、会社を病気や出産などで休んだときに、社保の場合には、その分の給料を補助してくれる制度や保険料を免除ができる制度があります。
このような保障については、会社に勤めている本人だけでなく、扶養となっている配偶者・子どもなども対象となります。
このような制度は社保にしかありません。
これに対して、国保では、前年度の年収に対して、翌年の保険料が決定されますが、国保は保険料が割高になり、この決定額を支払うことができない場合には、保険料の軽減を申請できる制度があります。
社会保険料は月額給与に基づいて決定されます。
これを決定するのが、毎年7月10日までに提出する「算定基礎届」というものになります。
算定基礎届をもとに、「標準報酬月額」を決定し、それに基づいて「等級」を決定し、等級ごとに保険料が決まります。
厚生年金保険料率は、毎年変動していたのですが、平成29年9月分以降は18.3%で固定されています。
健康保険料率は、保険者が全国健康保険協会の場合は都道府県ごとに決まっています。
介護保険料率も年度ごとに定められています。
毎月の給料から天引きされている社会保険料ですが、我々の生活を保障してくれているものとなります。
働き方や各自の事情によって、社会保険なのか国民健康保険なのかが異なる場合があります。
保険料と保障の面では、社会保険にメリットが大きいかと思われますが、その他の面でのメリットやデメリットもありますので、一概にどちらが得とは言えないところもあるでしょう。