従業員が退職した際には、いろいろな手続きをしなければいけませんが、そのうちの一つに、社会保険関係の手続きがあります。
入社の際には、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届というものを提出したかと思いますが、これの退職時バージョンです。
社会保険に加入していた従業員が退職する場合には、「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」というものを提出しなければいけません。
雇用保険も社会保険も手続きは非常にややこしいです。
そこで、ここでは、従業員が退職した際の、社会保険手続の、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の書き方を記入例とともにご紹介いたします。
目次
被保険者資格喪失届という名前は非常にややこしいですよね(-_-;)
雇用保険の場合は、雇用保険被保険者喪失届です。
それに対して、社会保険の資格喪失の場合は、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届という名前です。
わざとややこしくしているのかと言いたくなるような名前ですよね。
社会保険の資格喪失は、退職が主ですが、それ以外の場合もあります。
以下が、社会保険の資格を喪失する場合となります。
それぞれについてくわしく見ていきたいと思います。
会社を退職した場合は、社会保険の資格を喪失することになります。
転勤した場合も、社会保険の資格を喪失することになります。
同じ会社であっても、事業所単位での適用となりますので、一旦、資格を喪失して、取得し直すこととなります。
死亡した場合も同様に、社会保険の資格を喪失することになります。
パートやアルバイトでも条件を満たした場合には、社会保険に加入することになりますが、労働日数や労働時間など、労働条件が変更になった場合に、適用除外となることがあります。
また、正社員からパートやアルバイトになって、適用除外になる場合もあります。
こちらは、事業所が、健康保険・厚生年金保険の取消に該当するようになり、任意適用の取消をした場合です。
この場合は、対象の労働者すべてが、社会保険の資格を喪失することとなります。
70歳になると、厚生年金保険の加入資格を失うことになります。
75歳になると、代わりに、後期高齢者医療制度の被保険者資格を取得することになります。
65歳以上75歳未満で一定の障害がある場合には、認定を受けることで後期高齢者医療制度の被保険者資格を取得することができます。
社会保険の資格喪失の際の、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届は、退職などの事実発生日から5日以内に管轄の年金事務所へ提出する必要があります。
用紙は、日本年金機構のホームページからダウンロードすることができます。
その際には、退職者および退職者の扶養者の健康保険被保険者証をあわせて送付します。
万が一、退職者や扶養者の健康保険被保険者証を回収できない場合は、退職日から5日以内に「健康保険被保険者証回収不能・紛失届」というものを提出します。
社会保険の資格喪失の健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の提出は、管轄の年金事務所へ、電子申請、郵送、窓口持参にて行います。
社会保険の資格喪失日は、原則翌日となります。
上記で述べたように、社会保険の資格喪失はいくつか原因がありますが、基本的に資格喪失日は原因となった出来事が起きた翌日となります。
ただし、転勤の場合、障害認定された場合、75歳になった場合は当日が資格喪失日となります。
75歳になったときは、資格喪失と同じ日に、後期高齢者医療制度の被保険者資格を取得することになります。
社会保険の資格を喪失した場合には、社会保険料はいつまで支払うのかに注意が必要です。
万が一、控除が漏れてなた場合などに、従業員が退職してしまっていると、控除することができなくなってしまいます。
そのようなことになると、非常に困るので、社会保険料はいつまで控除すべきなのかを正しく理解しておく必要があります。
社会保険料を納付しなければいけないのは、社会保険の資格喪失日の前月分までです。
資格喪失日が属する月は、社会保険料を支払う必要はありませんので、資格喪失した月の前月分までの社会保険料を、給与から控除します。
月途中に退職した場合には、退職日の翌日に社会保険の資格を失うことになります。
そのため、月途中に退職した場合には、退職月の分の社会保険料は徴収しないことになります。
従業員が月末に退職した場合、資格喪失は退職の翌日なので、翌月1日が資格喪失日となります。
この場合、退職月も社会保険料を徴収することになるので、社会保険料を翌月徴収している会社では、最終給与から最後の2ヶ月分の社会保険料を控除することになります。
それでは、社会保険資格喪失の際の、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届の書き方を記入例とともに見ていきたいと思います。
上段の提出者記入欄のところは、一番上の部分には、事業所整理記号・事業所番号を記入します。
事業所整理記号は、「01-イロハ」のような数字とカタカナで、事業所番号は5ケタの数字です。
事業所整理記号と事業所番号は、「適用通知書」や「保険料納入告知額・領収済額通知書」などに記載されています。
その下に事業所所在地・事業者名称・事業主氏名・電話番号を記載します。
事業主自らが署名した場合は、押印は不要です。
ここからは、書類の番号に合わせて記載いたします。
被保険者整理番号は、「健康保険・厚生年金保険資格取得確認および標準報酬決定通知書」や健康保険被保険者証に記載されています。
被保険者の氏名を記入します。
カタカナでふりがなも記入します。
被保険者の生年月日について、該当する年号に○をつけ、日付を記入します。
被保険者のマイナンバーを記入します。
2018年からは、基礎年金番号ではなく、基本的には、マイナンバーを記入することになっています。
退職の場合には、資格を喪失するのは退職日の翌日になることに注意が必要です。
また、退職以外の理由での資格喪失日は以下の通りとややこしいので注意が必要です。
該当する喪失事由を〇で囲みます。
退職や死亡の場合には、年月日を横のかっこ内に記入します。
該当する項目があれば、〇で囲みます。
二以上事業所勤務者の喪失
2カ所以上の適用事業所で勤務している被保険者が資格を喪失した場合です。
退職後の継続再雇用者の喪失
60歳以上で定年などにより退職した者を継続して再雇用した場合です。
その他
転勤による資格喪失などの場合です。
「保険証回収」は、回収した保険証の枚数を「添付」の箇所に記入、回収できなかった保険証の枚数を「返不能」の箇所に記入します。
また、「返不能」の場合には、管轄の年金事務所に「健康保険被保険者証回収不能届」の提出が必要になります。
70歳以上の者で資格喪失事由が退職または死亡である場合には、70歳以上被用者不該当にチェックを入れ、不該当年月日の欄に退職または死亡年月日を記入します。
これを対象者の分だけ記入すれば完成となります!
社会保険資格喪失届である、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を提出する際の添付書類について見ていきたいと思います。
添付書類は、加入している健康保険が、健康保険組合なのか協会けんぽなのかによって異なります。
添付書類は必要ありません。
以下の添付書類が必要となります。
※「2.」については、交付されている場合のみ必要となります。
健康保険被保険者証を回収できない場合には、資格喪失届にその理由を付記するか、「健康保険被保険者証回収不能届」を添付する必要があります。
60歳以上の方が、退職後1日の間もなく再雇用された場合には、同時に同日付の社会保険の資格取得届の提出が必要となります。
必要な添付書類は以下となります。
「1.」と「2.」両方又は「3.」を添付します。
健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届は、管轄の年金事務所に、退職日から5日以内に提出しなければいけません。
少し日程がタイトなので、書類の書き方を正しく理解して、スムーズに行う必要があります。
また、退職時には、公的機関への手続きだけではなく、社内での手続きなど他にもしなければいけないこともありますので、抜けや漏れのないようにリスト化しておくなど、注意が必要です。
上記を参考に、退職の際の手続きに少しでもお役に立てれば幸いです(^^)