私は、市の道路拡幅事業のために自宅が収用され、対価補償金を取得しました。収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例の適用を受けようと思っておりますが、なかなか気に入った物件がありません。
 この特例の適用を受けようとした場合に、代替資産の取得期限はありますでしょうか。
原則として、収用等の日から2年以内に代替資産を取得する必要があります。しかし、一定の場合には取得期限の延長を申請することができます。
 また、譲渡した年分の確定申告の提出期限までに、取得することができない場合には、代替資産の金額を見積額により申告することとなり、後日代替資産の取得をしたときに更正の請求又は修正申告を行うこととなります。

【解説】
1、代替資産の取得期限
 原則、収用等の日から2年以内に代替資産を取得する必要があります。
ただし、2年以内に収用事業が完了しないため、代替資産の取得が困難な場合等、一定の場合には、税務署長に対し、「代替資産の取得期限延長承認申請書」を提出することにより、その期限の延長を申請することができます。
2、先行取得
 事業認定があったときや、事業施行者から買取り等の申し出があった場合には、事前に代替資産を購入しようと考えることもあります。そこで、収用等のあった日の属する1月1日前1年以内に取得し、かつ事業認定又は買取り等の申出があった日以後に取得したものについては、代替資産として認められることとなります。

3、実際の取得価額が見積額と異なっている場合
 代替資産を、申告期限までに取得することができない場合や、申告期限を延長した場合、譲渡があった年の確定申告では、代替資産の金額を見積額により申告することとなります。
 この場合、その後代替資産の取得をして実際の取得価額と見積額に差額が生じたときは修正申告又は更正の請求を、その取得をした日から4 ヶ月以内に行うこととなります。
 代替資産を取得した日から4 ヶ月以内に修正申告書を提出した場合には、「期限内申告書」とみなされ、過少申告加算税や延滞税は課税されません。
<1>代替資産の「実際の取得価額」がその「取得価額の見積額」より多い場合
→「更正の請求書」を提出して所得税の減額を受けることができます。
(たとえば、実際の取得価額100、見積額80として申告をしていた場合、差額20に対応する所得税の減額を受けることとなります。)
<2> 代替資産の「実際の取得価額」がその「取得価額の見積額」より少ない場合
→「修正申告書」を提出して、所得税の差額を納付しなければいけません。
(たとえば、実際の取得価額80、見積額100として申告をしていた場合、差額20に対応する所得税の納税をすることとなります。

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