マイホームを売った場合の一般的な取り扱いについて教えてください。
マイホーム、即ち居住用財産である建物、土地を売却して、利益が出た場合も、他の資産を売却した時と同様に、所得税がかかることになります。
 しかし、マイホームという財産の性格を考慮して次の2つの特例適用があります。
<1> 譲渡所得を計算する上で、「3,000万円の特別控除」を受けることができます。
<2> その所有期間の長短に応じて、所得税額を計算する上で、軽減税率が適用されます。(Q36参照)
 本問では、<1>の「3,000万円控除」について説明します。

【解説】
1、マイホームを売った場合の所得金額の計算方法

マイホームを売った場合の譲渡所得の金額の算定式は、
譲渡所得金額=譲渡価額- ( 取得費+譲渡費用) - 3,000 万円の特別控除
となりますので、上記事例の譲渡所得金額は、
5,000万円-(5,000万円×5%+20万円)-3,000万円
  =1,730万円
となります。
2、税務上「3 ,000 万円の特別控除」を受けられるかどうかの検討
 マイホームではなく、他の不動産、例えば賃貸用のマンションを売った場合は「3 ,000万円控除」は認められません。従って税務上では「マイホームを売った場合」の詳細が定義づけられています。
 従って、下記(1)〜(5)の要件を満たしているか、確認する必要があります。
(1)「マイホームを売った場合」とは
 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ることを言います。原則として所有期間の長短は関係ありません。
 また、以下のような家屋を売っても、この場合の「マイホーム」に該当しません。
<1>この特例を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋
<2>居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
<3>別荘などのように主として趣味、娯楽又は保養のために所有する家屋
(2)住まなくなったマイホームは除外されるのか
<1>単身赴任等の特殊な事情により、一時的に住んでいないマイホーム
 単身赴任、転地療養等により他の場所に住んでいる場合でも、配偶者等が引き続きその家屋に住んでおり、その人の単身赴任等の事情が解消したときは配偶者等とともに再びその家屋に住
むことが予定されている場合は、その人にとっても居住用家屋として取り扱われ、「マイホーム」に該当します。
<2>単身赴任等の特殊な事情がない場合
 以前に住んでいた家屋や家屋とともにその敷地等を売る場合には、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売らなければなりません。
 住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊し、その敷地を売る場合は、次の二つの要件すべてを満たさなければなりません。
イ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。
ロ 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと
<3>災害によって家屋が滅失している場合
 災害によって家屋が滅失している場合には、その敷地を住まなくなった日から3年目の年の12月31日まで(注)に売ること。
 (注)東日本大震災により滅失した家屋の場合は、災害があった日から7年を経過する日の属する年の12月31日までとなります。
(3)誰に売るのか
 親から子、夫から妻、社長から社長の会社へ売るなど、売手と買手の関係が、親子や夫婦など特別な間柄でないことが必要です。
(4)近年に、マイホームに関する特例を受けていないか
 売った年の前年及び前々年にこの特例又はマイホームの買換えやマイホームの交換の特例若しくは、マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないことが必要です。
(5)他の特例の適用を受けていないか
 売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないことが必要です。
3、適用を受けるための手続き
 この特例を受けるためには、一定の書類を添えて確定申告をすることが必要です。

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