おかねを分ける
起業を成功させるにはここからが本番です。自己資金と借入金をもとに自分の事業をスタートさせたら、借入金を返済しながら、手元の資金を増やしつつ企業理念を実現していく、これが企業のビジネスの醍醐味です。
まずは、借りたお金をきちんと返して行かなくてはなりません。なぜなら事業成功への階段は、この方法が自己資金に乏しく、信用力も乏しく、人材もない小さな起業家にとって最も現実的でリスクが少ない方法なのです。
ビジネスを成功に導くには、恒常的に利益の出る黒字体質の会社を作り上げることが必要になります。
黒字企業と赤字企業の違いとは?
黒字会社の社長は、売上以上の経費を使わないので利益が出るのです。
黒字会社の発想 売上 ― 経費 = 利益
赤字会社の発想 利益 + 経費 = 売上
上記の計算式は一見同じように見えますが、赤字会社の発想は会社目線で考えているのです。例えば、広告費を○○円かけた、営業マンを何人雇った、立地条件のいい場所に店舗を借りた。だから、○○円の売上となるはずだと考えてしまうのです。費用をかけたからといって、期待通りの売上高が確保できる保証はありません。売上の決定権、いくらお金がかかってようがなかろうが、商品・サービスを購入するかしないかはお客様次第ということを頭においておきましょう。これが企業の難しさです。
サラリーマン時代は、働いた労働時間に対する報酬として、給料と言う収入を得ていました。業績が収益に結びついていないからといって、収入がゼロになったりマイナスになることはありませんでした。会社に雇われている身分ですので、毎月必ず収入はあったはずです。しかし、自分で起業すればそういうわけにはいきません。黒字企業の社長が行なっている「お・か・き」の原則があります。
おかきの原則
- おかねを分ける…プライベート用と事業のお金の区別を徹底する
- かせげる…社長自ら稼ぐ会社を作る
- きろくをつける
おかねを分ける
起業を成功に導くにはお金を「事業用」と「プライベート用」に分けて管理しなければなりません。個人事業主として起業した場合、完全にお金を区別するのは難しいですが、預金に余裕がありちょうどお買い得価格だからと言って、うっかり新しい洗濯機を買ったあとで、仕入先からの多額の請求書が回ってきて大慌てする事態が起きてしまいます。来月の支払いがいくらになるのか把握していないような状態をどんぶり勘定といいます。毎月支払日前になって、慌てて資金調達に走っているようでは儲けるための経営戦略を練ることはできないでしょう。事業用のお金とプライベート用のお金に管理するには以下の方法を取ることを提案します。
①銀行口座を3つ持つ ②お財布を2つ持つ ③カードを2枚持つ
①銀行口座を3つもつ理由
・口座A…プライベート用
自分の生活用口座として利用する。
・口座B…入金用
口座に入金する際に、通帳の余白に売上先の名前や売り上げた日にちを書いておけば、預金通帳が売上帳になります。
・口座C…支払用
家賃、駐車場代、リース代、サーバー使用量、電気代、ガス代、水道代、各種税金など口座引き落としの手続きを行ないます。通帳を記帳するだけで、会社の経費の合計がわかれば帳簿も簡単に付けられます。
プライベート用の口座と事業用の口座を分けるのはもちろん、事業用の口座を口座Bと口座Cに分けることで、通帳を帳簿代わりに利用するのです。
自宅兼事務所で仕事をしていて、家賃や水道光熱費は個人と会社が共有で使っているという場合もあるでしょう。その場合は、それぞれの契約を会社名義に変更し、会社の支払い用口座からいったん落ちるように手続きをします。会社の経費として処理したあとで、支払額のうち5~6割等個人の利用分を役員報酬から天引きして返金すればいいでしょう。会社の固定費の一元管理ができることと、将来の税務調査で否認されにくいというメリットがあります。
さらに毎月日にちを決めて、入金口座から支払口座に必要資金を送金することで、資金繰りのお金の動きも口座に残ります。入金額よりも支払額が多ければ、当たり前ですが資金は不足してしまいます。売上と支出の現実を知ることでコスト意識を高めることも出来ます。
②お財布を2つ持つ理由
「個人の財布」と「会社の財布」の2つを持つのです。銀行口座を別々に持つように財布も分けて管理します。現金は証拠が残らないので公私混同をしやすいので、領収書を保管し、端数の細かい金額まで正確に管理しましょう。
現金支払いの際のルール
・ 会社用の財布から支払いを行い、領収書も必ずもらい会社の財布に保管
する。
・領収書がたまったら、エクセル等で詳細を入力しておく。
・合計金額を会社の預金通帳から引き出す。
③カードを2枚持つ理由
クレジットカードについても「プライベート用」と「会社用」の2つを持ちます。法人カードを使うとカード会社が明細票を毎月発行してくれるので、明細票の余白に何を購入したのかメモしておけば、カード明細表が経費帳として利用できます。