【事例50】税金を支払うための資金を準備していなかった

1期目の決算業務がなんとか終わろうというところです。思ったよりも利益が出て、税金を納める必要があります。80万円です。しかし、仕入れ等にお金を使ってしまって、今は手元にそれだけの資金がありません。税金を支払うために資金繰りを考えなくてはならないとは思いませんでした。

失敗のポイント
納税額分の現金を準備していませんでした。納付の期限は、事業年度の終了日翌日から2ヶ月以内です。期限までに資金を調達しなければなりません。
正しい対応
利益と手元にある現金とは一致しないことが多いため、税金を支払うためのお金がないということはあり得ます。あらかじめ納税額を計算し、予算に組み込んでおくことが大切です。目安は利益の30〜40%です。

【解説】

 法人の申告・納税は、原則としてその事業年度終了日翌日から2ヶ月以内に行わなければなりません。このとき、納付に合わせて、税金分の現金を用意しておく必要があることに注意しましょう。
 法人税は利益に応じて計算されるものですが、ほとんどの場合、利益と手元の現金は一致しません。売掛金は回収しなければ自由に使える資金にはなりませんし、減価償却資産は、現金が多く出ていっているのに対し、費用計上が少なくなっています。ですから、利益が出ているのに税金分の現金がないということは起こり得ます。資金が足りず、調達もできないとなれば、最悪の場合「黒字倒産」もあり得るのです。各種納税額はあらかじめ計算し、予算に組み込んでおくことが大切です。
 法人が所得に応じて負担すべき税金には「法人税」「法人住民税」「法人事業税」があり、それぞれ率は違いますが、これらを合わせた実質的な税率を「実効税率」と呼びます。
 実効税率は以下の式で求められます。

実効税率の計算
 実効税率={法人税率×(1+住民税率)+事業税率}÷(1+事業税率)
※2014年現在の税制では、復興特別法人税と地方法人特別税が加わりますが、ここでは除いて考えています。
事業税は、支払った年度の費用として利益から控除できることになっています。
実効税率は、本社の所在地や資本金の額によって変わってきますが、目安は利益の30〜40%です。税金の納付の頃に、それだけの現金を準備できるようにしておきましょう。
マリオ教授

陥りやすい事例ですね。皆さんも是非見落とさないようにしてください。

kuratomi