会社の従業員が妊娠・出産となると、産休を取得し、出産後、育休を取得することになります。
育休は、基本的には1年間、延長した場合には、1年半から2年間となります。
そうすると、その従業員の育休の間、会社の負担はどうなるのでしょうか。
1年~2年の長い期間となると、会社の負担が心配になりますよね。
そこで、ここでは、育休に関して、会社負担はどの程度、発生するのかということについて、くわしく見ていきたいと思います。
目次
それでは、従業員が育休を取得する場合、その期間がどれくらいなのか、手当については、いくらもらえるのかについて、見ていきたいと思います。
育休は、産休と違い、男性も取得することができます。
そして、この期間は、子どもが1歳になるまでとなります。
男性の場合は、子どもの出生直後から育休を取得することが可能となりますので、1年間育休手当が支給されることになります。
女性の場合は、産後8週間の産後休業が終わってからの取得になるため、育休が開始した時点で、お子さんは生後約2ヶ月ということになります。
そのため、育休手当の支給期間は、10ヶ月程度となります。
ただし、パパママ育休プラス制度を利用した場合には、子どもが1歳2ヶ月になるまで延長できます。
また、子どもを保育園に入れることができないなど、特別な事情がある場合には、最大で2年まで延長することが可能です。
育休手当の支給金額の計算方法としては、まず、賃金日額を算出します。
賃金日額は、休業前の6ヶ月の給料から算出されます。
育休手当の支給額は、育休開始後半年までと、6ヶ月を経過したのちとで計算方法が異なります。
また、この期間には、社会保険料の支払いは免除されますが、将来もらえる年金受給は減額されません。
労働者が育休期間に育休手当を受給するためには、雇用保険に加入していることが条件となります。
雇用保険に加入していれば、育休を取得した期間に、上記の手当が支給されることになります。
それでは、この間の会社側の負担はどうなるのでしょうか。
育休中には、会社は、給与を支給する必要はありません。
給与が出ない代わりに、雇用保険から、育休手当が支給されることになっています。
給与を支払う必要はありませんが、会社独自の制度として、給与を支払うことは可能です。
ただし、その場合には、育休開始前の8割以上の給料が支払われる場合には、育休手当が受給できなくなってしまいます。
育休中には、産休中同様に、社会保険料を免除してもらうことが可能です。
これにより、労働者負担分だけでなく、会社負担分の社会保険料も免除されます。
事業主を通じて、育児休業等取得者申出書というものを日本年金機構に提出することになります。
このように、育休中には、給与や社会保険料の支払いなど、金銭的な会社の負担はないということになります。
会社側の金銭的な負担はありませんが、育休期間の従業員の欠員補充や業務の穴埋めという負担が発生します。
この点が一番、頭を悩ませるところではないでしょうか。
他の従業員が業務の穴埋めをしたり、パートや業務委託でカバーするなどの方法が考えられますが、その分のコストが気になるところです。
しかし、この点に関しては、助成金を活用することで、負担を軽減することが可能なのです。
助成金を活用すれば、会社の負担はないどころか、プラスになる場合もあります。
中小企業両立支援助成金(育休復帰支援プランコース) とは、従業員が育休を3ヶ月以上取得すると30万円支給され、職場復帰した場合にはさらに30万円が支給されるというものです。
従業員に、育休を取得させ、職場復帰させるという法律通りのことをきちんと行うだけで、60万円の助成金が受けられるのです。
会社にとっては、負担というよりは、メリットなのではないでしょうか。
また、欠員を補うために、代替要員を確保した場合には、中小企業両立支援助成金(代替要員確保コース)という助成金を利用することができます。
この場合には、会社は50万円の助成金を受け取ることができます。
そうすると、十分に欠員補充に関しての人件費に充てることができるのではないでしょうか。
授業員の立場からすると、産休や育休というのは、会社に迷惑がかかり、イヤな顔をされるというイメージがあるのではないでしょうか。
しかし、会社には、産休手当・育休手当など金銭的な負担は、全くありません。
それどころか、育休を取得させることで、助成金をもらうことができるのです。
そうすると、欠員のための人件費は補えるどころか、プラスになるはずなのです。
制度を知らなかったり、情報が古かったり、また、めんどくさいだけで、産休や育休に良い顔をしない会社は、これから先は長くないと言えるのではないでしょうか。