会社などで働いていて、条件を満たした場合には、雇用保険に入る必要があります。
また、事業主側も、適用事業所であれば、雇用保険に加入させる義務があります。
しかし、このような雇用保険法のきまりがあっても、事業主によっては、届け出を出していない場合があるようです。
そうすると、働く労働者も雇用保険に入らないことになってしまいます。
このように、雇用保険に入らない場合には、事業主、労働者のそれぞれは、どうなるのでしょうか。
そこで、ここでは、雇用保険に入らないとどうなるのかということについて、くわしく見ていきたいと思います。
目次
事業所は、雇用保険の加入対象の労働者を1人でも雇用した場合には、雇用保険に加入する義務があります。
それでは、どのような労働者が、雇用保険の加入対象となるのでしょうか。
正社員であれば、基本的に雇用保険の対象となりますが、パートやアルバイトであっても、雇用保険の対象となる場合があります。
パートやアルバイトの場合には、以下の条件に該当する場合には、雇用保険が適用されます。
上記のような場合には、雇用保険への加入対象となります。
誤解されている人が多いようですが、扶養内でパートやアルバイトで働くことと、雇用保険の加入条件は関係ありません。
それでは、もし、雇用保険に入らない場合には、事業所と労働者のそれぞれがどうなるのかについて、見ていきたいと思います。
雇用保険の適用事業所であるにも関わらず、雇用保険に加入しない場合には、違法となります。
事業主は、雇用保険に加入させる義務のある労働者がいるにもかかわらず、加入を怠った場合には、雇用保険法第83条1号より、「6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金」が科せられます。
このようなリスクがあるにも関わらず、事業主が、労働者を雇用保険に加入させないのはなぜでしょうか。
それは、雇用保険の事業主負担分の支払いを避けるためだというのが理由かと思われます。
雇用保険料の事業主負担割合は、業種によって異なります。
それぞれ労働者の給料の割合が上記となります。
一般の事業を例にすると、総支給額が30万円の労働者に対する事業主負担分は、1ヶ月で1,800円となります。
それほど大きな金額ではないように思えるかもしれませんが、これが従業員の人数分となりますので、負担に思われるかもしれませんね。
労働者を入らせない場合には、事業主に罰則があります。
それでは、雇用保険に入らなかった場合、労働者はどうなるのでしょうか。
失業手当、育休手当(育児休業給付)など、雇用保険の加入者が受けることのできるものが受けられないということになります。
労働者にとってのデメリットは、労働者側も、雇用保険料を負担するということです。
労働者の雇用保険料の負担割合は、事業の種類によって異なりますが、以下となります。
一般事業の場合…3/1,000
農林水産・清酒製造の事業の場合…4/1,000
建設事業の場合…4/1,000
一般事業の場合ですと、給料の総支給額が30万円の場合、労働者の雇用保険料の負担額は、1ヶ月で900円となります。
デメリットとはいえ、少額ですし、この積み重ねが、失業手当などの受給となると考えれば、メリットのほうが大きいといえますよね。
このように、労働者にとっては、メリットの大きい雇用保険の加入ですが、万が一、自分の勤める事業所において、加入されていなかったとなると、非常に恐ろしいですよね。
自分自身が、雇用保険に加入しているのかどうかを確認するもっとも簡単な方法は、給与明細を確認し、給与から雇用保険料が徴収されているかを見ることです。
天引き徴収されていれば、基本的には、雇用保険に加入していると判断しても良いでしょう。
しかし、中には、天引きだけしていて、実は、加入していないなど非常にブラックな事業所もあるようです。
給与明細を確認しても、雇用保険の項目が存在しなかった場合や天引きされているが、疑わしい場合というのもあるかもしれません。
会社に確認すれば良いのですが、それがしづらいという場合もあるでしょう。
そのような場合には、会社の所在地の管轄のハローワークに行き、雇用保険被保険者資格を確認することができます。
ハローワークで、「雇用保険に加入しているかどうかが知りたい」という旨を伝えると良いでしょう。
雇用保険に加入している場合には、労働者一人ひとりに雇用保険番号というものが与えられているため、自身の専用番号が存在しないと判明した場合には、雇用保険に加入していないことになります。
では、万が一、確認したところ、勤務先の事業所が雇用保険に未加入であることが判明した場合には、どのようするのが良いでしょうか。
雇用保険が未加入であることが発覚した場合には、まずは、事業主に対して、雇用保険に加入させることを求める必要があります。
雇用保険に加入させるように労働者から申告があったにも関わらず、加入することを拒否したという事実がある場合には、その事実をハローワークに通報することができます。
同一の事業所において、雇用保険に加入させる義務を怠っているという申告が何度かあり、指導や勧告を繰り返しても従わない場合には、罰則が適用されることになります。
もし、雇用保険に未加入であったが、退職した場合には、雇用保険料を2年間分さかのぼって支払うことで、加入したことが認められるという救済措置があります。
この場合には、以下の条件を満たしている必要があります。
給与から雇用保険料が天引きされていた事実が明らかである場合には、2年以上遡って加入手続きを行うことが可能です。
個人経営の農林水産業で、雇用している労働者が常時5人未満の場合は、事業所の雇用保険の適用は任意となります。
また、それ以外にも、公務員、会社役員、船員保険の被保険者の場合にも、雇用保険の対象外となります。
複数の事業所で仕事を掛け持ちしている場合には、雇用保険の加入は、もっとも給与の多い会社のみとなります。
労働者にとって、毎月の雇用保険料の支払いは、少額ですが、その分、何かあったときに、非常にメリットのある制度となります。
そのため、適用事業所では、必ず、労働者を加入させる必要があります。
もし、不安な場合には、上記で紹介した方法で確認するのが良いでしょう。