会社などで働いている場合には、基本的には、雇用保険の加入対象者である、被保険者となります。
パートやアルバイトの場合でも、1週間の所定労働時間が20時間以上であるなど、一定の条件を満たした場合には、雇用保険の加入対象となります。
雇用する側、つまり、会社側から考えると、従業員を一人でも雇用した場合には、雇用保険の適用事業所となります。
このように基本的には、事業所は1人でも従業員を雇用すると、雇用保険の適用事業所となり、そこで働く人は、雇用保険の加入対象者となります。
それでは、事業所が適用が除外されたり、働く人が加入の対象外となることはあるのでしょうか。
そこで、ここでは、雇用保険の対象外となるのはどのような場合なのかということについて、くわしく見ていきたいと思います。
目次
まずは、事業所が雇用保険の適用事業所となる条件や、雇用保険の加入対象者とはどのような場合なのかについて、見ていきたいと思います。
業種や規模に関わらず、労働者を一人でも雇用する事業所は、必ず雇用保険の適用事業所になります。
そのため、事業所は雇用保険の適用を受け、適用事業所に雇用される労働者は雇用保険の被保険者となります。
つまり、事業主は、労働保険料の納付や雇用保険法の規定による各種の届出等の義務を負うこととなります。
それでは、雇用保険が適用となる労働者とはどのような場合なのでしょうか。
雇用保険が適用されるのは、雇用関係によって収入を得て生活する者となります。
正社員であれば、基本的に雇用保険の対象となりますが、パートやアルバイトであっても、雇用保険の対象となる場合があります。
パートやアルバイトの場合には、以下の条件に該当する場合には、雇用保険が適用されます。
上記のような場合には、基本的に、雇用保険に加入することになります。
それでは、上記の場合以外で、雇用保険の適用除外になる事業所や、雇用保険の加入対象外となる労働者というのは、どのような場合か見ていきたいと思います。
雇用保険の適用事業とならない場合は、ごく一部の例外のみとなります。
個人経営の農林水産業で、雇用している労働者が常時5人未満の場合のみ、雇用保険の適用は任意となります。
ただし、この場合においても、雇用されている労働者の1/2以上が雇用保険への加入を希望する場合には、労働者全員の加入が必要となります。
それでは、労働者のうち、どのような場合には、雇用保険の加入対象外となるのか見ていきたいと思います。
まずは、先ほどの加入対象の労働者の逆を考えてみたいと思います。
この3つの場合には、雇用保険の対象外となります。
ただし、学生であったとしても、卒業見込み証明書があり、卒業後も同一事業所に勤務予定の場合は雇用保険の対象となります。
また、休学中の場合、卒業見込証明書がある場合、夜間(定時制課程)の学生の場合であれば、雇用保険に加入することができます。
それ以外にも適用外となる場合があります。
公務員の人は、雇用保険法にて、雇用保険に加入できないということが定められています。
よくある疑問・質問として、公務員の人が転職する際に、雇用保険被保険者証が見当たらないというものがあります。
しかし、公務員の場合には、雇用保険に加入していないので、雇用保険被保険者証はもらっていなくて当然です。
そうすると、公務員の場合には、失業手当がもらえないのかという思うかもしれませんが、代わりに退職手当というものをもらえることになっています。
会社役員の場合にも、雇用保険の対象外となります。
ただし、役員のうち、使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時、労働者としての職務に従事する者を兼務役員といいます。
兼務役員であるかどうかというのは、他の労働者と同様の労働性が認められるかどうか、というのが判断基準となります。
役員の家族であり、経営者などの役員と同居している場合には、雇用保険の対象外となります。
ただし、同居している場合でも、他の労働者と業務内容や賃金についても変化がなく、労働性が強く認められる場合には、雇用保険に加入することが可能です。
雇用保険は、ダブルワークなど複数の会社で働いている場合でも、二重加入することはできません。
そのため、他の適用事業所で働いていて、そちらで雇用保険に加入している場合には、さらに加入することはできません。
船員保険の被保険者の場合も、雇用保険の対象外となります。
上記以外にも、雇用保険の対象として注意が必要な場合があります。
在日外国人の場合でも、日本国に在住し、就労する外国人は、国籍を問わず雇用保険の被保険者として対象となります。
外国人技能実習生として技能などを習得する場合でも、事業主と雇用関係にある場合には被保険者となります。
2016年12月31日までは、65歳以前から雇用保険に加入しており、65歳以降も継続して雇用保険に加入し続ける場合のみ、65歳以上の労働者は雇用保険の対象でした。
しかし、雇用保険法の改正により、高年齢被保険者の雇用保険の扱いが変更されました。
2017年1月1日からは、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用の見込みがある場合には、65歳以上であっても雇用保険の加入対象となりました。
雇用保険の加入対象となっている労働者がいるにも関わらず、雇用保険に加入しないことは違法となります。
会社側が雇用保険に加入させる義務を怠った場合には、雇用保険法第83条1号より、「6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金」が科せられます。
そのため、雇用保険の加入対象か対象外なのかは、正しく理解しておく必要があります。