産休中・育休中は、会社を休業することになり、その間は給料が支払われません。
その代り、産休中には出産手当、育休中には育休手当が支給されます。
また、この期間には、社会保険料の支払いが免除されます。
それでは、この間には、住民税の支払いはどうなるのでしょうか。
そこで、ここでは、産休・育休中には、住民税を支払う必要があるのか、また、納付が困難な場合には、免除や減免はできるかということについて、くわしく見ていきたいと思います。
目次
毎月の給料は、所得税、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)、雇用保険料、住民税が天引きされたうえで、支給されています。
それでは、産休・育休中は、これらはどうなるのでしょうか。
それぞれについて、見ていきたいと思います。
産休・育休中は、給料を受け取っていないため、所得がありません。
そのため、産休・育休中は、所得税は課税されません。
産休中には健康保険から産休手当、出産時に出産育児一時金、育休中には雇用保険から育休手当が支給されます。
これらの3つの手当は、所得に含まれないため、所得税は課税されません。
健康保険料と厚生年金保険料をあわせた社会保険料ですが、産休中は支払いが免除されます。
産休・育休中は、社会保険料を免除されますが、将来受け取れる年金の減額や被保険者資格の変更・喪失はされません。
また、社会保険料には、日割りの概念がありませんので、産休終了予定日により、社会保険料の免除期間は大きく異なります。
雇用保険に関しても、給料に対してかかるものなので、産休・育休中は支払いの義務はありません。
それでは、産休・育休中の住民税はどうなるのでしょうか。
住民税は、産休・育休中であっても、支払わなければいけません。
なぜ、給与を受け取っていないのに、住民税のみ支払わなければいけないのでしょうか。
それは、住民税の課税対象が、前年の1月~12月であるためです。
前年の1月~12月の分を、翌年の6月から5月に分割して会社から天引きされて支払っていることになります。
それでは、給与の支給のない、産休・育休中には、住民税をどのようにして支払うのでしょうか。
産休・育休中に給与の支給がなかったとしても、住民税は支払わなければいけません。
しかし、給与から天引きできなくなってしまうと、その間の住民税は、どのようにして納付するのでしょうか。
産休・育休中の住民税の納付に関しては、以下の2パターンが考えられます。
それぞれについて、くわしく見ていきたいと思います。
産休に入るのが1月~5月の場合には、産休に入る前の最後の給与から、5月までの住民税を一括で天引き徴収してもらいます。
これによって、5月分までの住民税の納付は終了となります。
産休に入るのが6月~12月の場合には、自分で直接市区町村に納めるという普通徴収に切り替えてもらいます。
切り替えの手続きは、会社によって行います。
そうすると、市区町村から納付書が送られてくるので、6月、8月、10月、翌年1月の4回に分けて、納付書を用いて、コンビニエンスストアや金融機関で支払ことになります。
ただし、この場合でも、希望すれば、1~5月に産休に入る人と同じように、一括徴収で、産休前の最後の給与からまとめて天引きしてもらうことも可能です。
産休に入ってから、住民税の支払いを普通徴収に切り替えた場合、住民税を自分で納付することになります。
普通徴収に切り替えた場合には、住民税は年間4回に分けて、それぞれ3ヶ月分ずつ納付することになるので、1回あたりが結構大きな金額となります。
産休・育休中は、給与がもらえないため、この支払が困難な場合というのも考えられます。
その場合には、お住まいの市区町村に相談し、育児のために住民税の納税が困難だと認められれば、育休の1年以内に限り、住民税の支払いを猶予してもらえる場合もあります。
ただし、これは、免除ではなく、猶予となります。
そのため、育休後、職場に復帰した後には、その分を支払わなければなりません。
その際には、延滞金がかかる場合もあります。
ただ市区町村によっては、延滞金を免除している場合もあります。
くわしくは、お住まいの市区町村にお問合せするのが良いでしょう。
出産・育児となると、想定外の出費がかさんでしまうものです。
しかし、産休・育休中というのは、給与の代わりに、産休手当、出産育児一時金、育休手当などの手当を受け取ることができます。
それ以外にも、所得税、社会保険料、雇用保険料が免除されます。
しかし、意外に知られていなかったり、忘れてしまいがちなのは、住民税の支払いです。
何かと出費がかさむときに、想定していない出費が必要となると、非常に苦しいですよね。
そのようなことのないように、産休・育休中のお金のことは、早めに正しく理解しておきましょう。