働く女性が、妊娠・出産することになると、産休を取得します。
産休中には、給料が支給されない代わりに、出産手当金というものが支給されます。
また、産休中の働いていない期間には、社会保険料が免除されることとなっています。
育休中には、給料の代わりに育休手当(育児休業給付金)が支給されます。
産休よりも、育休のほうが、長い期間の休みとなりますが、この間の社会保険料については、どうなるのでしょうか。
そこで、ここでは、育休中の社会保険料は免除されるのか、その期間はいつからいつまでなのかということについて、くわしく見ていきたいと思います。
目次
育休中は、基本的には、給料の支給はありません。
その代わり、原則、1年間は育休手当(育児休業給付金)が支給されます。
この育休手当は、育休開始から半年間は、給料の67%、その後半年間は給料の50%の支給になります。
働いていない期間の支給なので、非常にありがたい制度となります。
しかし、そうはいっても、もし、ここから社会保険料を支払うとなると、手取り額は少なくなってしまいますよね。
この期間の社会保険料はどうなるのでしょうか。
先述したように、産休中には、社会保険料は免除されます。
産休期間中と同様に、育休期間中も、社会保険料は全額免除されます。
社会保険料の免除は、被保険者だけでなく、事業主負担分も免除されます。
また、育休期間中に、賞与が支払われる場合は、賞与に対する社会保険料も免除になります。
ただし、免除されるのは、健康保険料と厚生年金保険料であり、雇用保険料は免除されません。
そのため、育休期間中に賞与が払われた場合は、雇用保険料は徴収されるので注意が必要です。
とはいえ、雇用保険料率は、0.3%(事業の種類によっては0.4%)なので、大した金額ではありません。
また、住民税に関しても、免除の対象ではありませんので注意が必要です。
産休の場合には、事業主を通じて、産前産後休業取得者申出書というものを、日本年金機構に提出して申請を行います。
出産前に申請していた場合に、出産予定日と異なる日に出産した場合は、出産後に、産前産後休業取得者変更(終了)届というものを提出する必要があります。
育休中の手続きも、基本的には産前産後休業の手続きと同様です。
事業主を通じて、育児休業等取得者申出書というものを日本年金機構に提出することになります。
もし、育児休業を終了予定日より前に終了する場合には、育児休業等取得者終了届という書類を提出する必要があります。
育休を取得した際に、社会保険料が免除されるのは、経済的な負担が軽減されるので、非常にありがたい制度となります。
しかし、社会保険料を払っていないので、「健康保険証が使えるのか」「将来の年金受給額が減ってしまうのではないか」などと不安になる人もいるかもしれません。
この点に関しては、心配いりません。
社会保険料が免除されている期間も、健康保険証は通常通り使用できます。
また、年金保険料に関しても、年金額の計算においても、保険料を納めた期間として扱われます。
産休中の社会保険料の免除期間は、産前産後休業保険料免除制度というもので、産前産後休業開始月から終了予定日の翌日の月の前月までが対象期間となります。
それでは、育休中の社会保険料の免除については、どのように定められているのでしょうか。
育休中の社会保険料の免除に関しては、育児休業保険料免除制度というものが定められています。
ア.1歳に満たない子を養育するための育児休業
イ.保育所待機等特別な事情がある場合の1歳6カ月に達する日までの育児休業
ウ.保育所待機等特別な事情がある場合の2歳に達する日までの育児休業
エ.1歳(上記イの場合は1歳6カ月、上記ウの場合は2歳)から3歳に達するまでの子を養育するための育児休業の制度に準ずる措置による休業
「日本年金機構HPより」
このように、育休中の社会保険料の免除期間は、最大で子どもが3歳になるまでとなっています。
ただし、育休手当が支給される期間は、1歳の誕生日まで(延長した場合には最大2歳まで)となります。
2歳から3歳までの間は、社会保険料は免除されますが、育休手当の支給はありません。
そのため、3歳になるまで社会保険料が免除されるとはいえ、育休手当が受給できる期間だけ休業する人が多いようです。
免除の申出は、1歳の誕生日前までの期間について行い、延長する場合はその都度、育児休業等取得者申出書を提出することになります。
それぞれの期間は以下となります。
アの1歳に満たない子を養育するための育児休業期間に関しては、パパママ育休プラス制度を利用した場合には、1歳2ヶ月まで延長されます。
なお、この申出は、申出に係る育児休業をしている間に行う必要があります。
社会保険料というのは、基本的に、日割りではなく、月単位で計算されます。
そして、この判断基準というのは、月末に保険料がかかる状態かどうかとなります。
そのため、月途中から産休を取得する場合は、その月から社会保険料は免除されます。
これに対して、月途中に育休から復帰した場合には、その月の1ヶ月分の社会保険料を負担することになります。
給料から天引きされる社会保険料に関しては、会社によって、当月徴収なのか翌月徴収なのかが異なります。
このように、育休中の社会保険料の免除期間は、最大で3年間となります。
毎月、高いと思いつつ支払っている社会保険料が、3年間免除されるというのは、経済的には、非常に大きなメリットとなりますよね。
社会保険料の免除は、被保険者だけでなく、事業主負担分も免除となります。
そのため、3年の休業期間は、会社に対して、金銭的な負担をかけることになるわけではありません。
ですので、利用できるのであれば、権利として、制度を最大限に利用しても良いのではないでしょうか。
もちろん、復帰後の業務や体制、働き方など、問題がないように、会社としっかりと話し合う必要があります。
3年休業を取得した後、復帰後、やはり無理があって、「結局すぐに退職…」などとなってしまうことは、できれば避けたいですよね(^^;
また、近年では、男性の育休取得への理解も高まってきています。
そのため、産休中、育休中の家事や育児の分担、会社への復帰や育休取得期間などを、夫婦でしっかりと話し合っておくことが重要ですね。
利用できる制度は、最大限利用することで、経済的なメリットを受けられるようにしましょう!