解雇予告手当が支払われるのは、会社員のみではありません。
会社員と同様、退職日から30日を過ぎてから解雇予告が言い渡された場合には、パート・アルバイトであっても解雇予告手当を支払う必要があります。
しかし、パート・アルバイトの場合の解雇予告手当の計算方法は、正社員の場合と同様で良いのか迷ってしまうと思います(^^;
また、解雇予告手当を請求された場合には、解雇予告手当の支給要件を満たしているかどうか、その後の対応方法をしっかりと把握しておく必要があります。
ここでは、パート・アルバイトの場合の解雇予告手当の計算方法や、請求された場合の対応方法などについて、詳しく見ていきたいと思います。
目次
パート・アルバイトの場合は、正社員と比べて、勤務時間や休日、仕事内容、責任などが緩く定められていることが多いです。
しかし、労働基準法、雇用保険法などの労働関係法令は、パート・アルバイトの場合にも適用されるため、労働者としての地位は正社員と同じ扱いになります。
2020年4月からパートタイム・有期雇用労働法の施行が決定されたこともあり、正社員との待遇差を埋めるための取り組みは進んでいます。
そのため、パート・アルバイトを解雇する場合にも、原則として、正社員と同じルールが適用されます。
それでは、解雇予告手当の支給のためのルールを再度確認してみましょう。
解雇予告は、退職日の30日前までに行う必要があります。
解雇予告手当は、退職日の30日前までに行うことができなかった日数分の金銭を労働者に支払うことが労働基準法で義務付けられています。
つまり、退職日の30日前までに解雇予告を行うことができなかった場合には、パート・アルバイトの場合にも30日に満たない日数分の金銭を支払う必要があります。
しかし、パート・アルバイトである場合など、一定の要件を満たしていない場合には解雇予告手当を支払う必要がないため、しっかりと把握しておくことが重要です。
パートの場合の解雇予告手当は、正社員と同じ計算方法で算出することができます。
この時、平均賃金がいくらになるのかが重要になるのですが、以下の計算式に当てはめることで求めることができます。
ただし、パート・アルバイトのように、給与が日給制や時給制の場合には、上記の計算式に当てはめて求めると平均賃金が低く算出されてしまう場合があります。
この金額が最低保障額を満たしていない場合には、下記の計算式によって算出した最低保障額を平均賃金とします。
そのため、通常の計算方法で算出した金額が最低保障額を下回っている場合には、例外の計算方法で算出した最低保障額が解雇予告手当の金額となります。
解雇予告手当を支払う必要がない場合には、いくつかの要件があります。
労働基準法第20条には、以下のように規定されています。
それでは、それぞれの場合について詳しく見ていきましょう。
会社の事由の継続が不可能になった場合には、解雇予告手当を支払うことが困難であるため、解雇予告手当を支払うこと以前に、解雇予告を行うことも不要とされています。
解雇理由が会社の事業の悪化が原因である場合には、そもそも解雇予告手当を請求することができないため、覚えておきましょう。
労働者側に明らかな責任があり、会社側から雇用契約を解消してもやむを得ないと判断できるような事情による解雇のことを指します。
具体的な内容は、以下のようなものになります。
このように、解雇予告手当による労働者の保護を否定されてもやむを得ないと認められるほど、労働者側の行為が重大・悪質だと判断される場合には、解雇予告手当を支払う必要はありません。
上記以外にも、労働者の雇用形態等に応じて、以下の要件を満たしていない場合にも、解雇予告や解雇予告手当は不要となります。
※の場合には、当初の期間内を超えて雇われている場合を除くとされています。
つまり、労働における継続性が認められない場合には、解雇予告手当を支払う必要がないということになります。
解雇予告手当を請求される方法には、以下のようなものがあります。
会社に解雇予告手当を請求したという事実を残すことができるため、内容証明郵便による書面での請求が多いと思います。
どちらの場合にも、上記の要件に該当する場合には、会社には労働者に解雇予告手当を支払う義務があります。
解雇予告手当を支払わなかった場合には労働基準法違反となり、最悪の場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科せられる可能性があります。
そのため、労働者から解雇予告手当を請求された場合には、一刻も早く解雇予告手当を支払うようにすることが重要です。
解雇予告手当の時効は、原則として、「2年間」とされています。
あらゆる説はあるものの、労働基準法の第15条の適用を受けていることが最も有力な説であるとされています。
そのため、原則として、解雇されてから2年間が経過すると請求されても支払う必要がないことを頭に入れておくと良いでしょう。
しかし、労働者側が、時効の進行を中断させるための「裁判上の請求」や「支払督促」などの一定の法的手続きを行っている場合があります。
その場合には、解雇予告手当を支払う必要があるので、しっかりと対応することが重要です。
パート・アルバイトの場合にも、正社員と同様、解雇予告手当を支払う必要があります。
また、解雇予告手当の計算方法についても、原則では、正社員の場合と同じ計算方法を用いて求めることができます。
解雇予告手当を支払っていない場合には、労働基準法違反となり、最悪の場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科せられる可能性があります。
労働者とのトラブルを回避するためにも、解雇予告手当を支払う義務がある場合には、しっかりと支払うようにしましょう。
また、解雇予告手当を支払っていなかった場合には、罰則が科せられる前に支払うよう、迅速に対応することが重要です。