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雇用保険の計算式をわかりやすく解説!交通費・端数はどう処理する?

労働者を雇用している場合には、労働保険に加入する必要があります。

この労働保険には、労災保険と雇用保険の2つがあります。

労災保険料については、事業主の負担となるため、労働者は負担する必要がないので、給料から計算する必要はありません。

それに対して、雇用保険料は、事業主と労働者の双方の負担となるので、毎月の給料から計算して天引きする必要があります。

1年間保険料が変わらない健康保険料や厚生年金保険料とは異なり、交通費や諸手当などの増減で月の賃金総額が変わると雇用保険料も変わるため、毎月計算をする必要があります。

それでは、この雇用保険料を求める計算式とは一体どのようなものなのでしょうか?

そこで、ここでは、雇用保険料を算出する際に用いる計算式について、くわしく見ていきたいと思います。

 

 

 

 

雇用保険料率は事業の種類や負担者によって異なる?

雇用保険料は、毎月の給与総額に「雇用保険料率」をかけて算出されます。

つまり、雇用保険料を算出するために用いる割合が、雇用保険料率ということになります。

雇用保険料率は、失業給付の受給者数や積立金の残高の変動に応じて見直しが行われ、変更が必要な場合に更新される仕組みになっています。

 

雇用保険は何のため?

そもそも、雇用保険は何のためにあるのでしょうか。

雇用保険の目的は主に以下の3つとなります。

  • 失業期間の生活保障や休業時の収入保障を通して労働者の生活を安定させる
  • 職業訓練の実施や教育訓練のための給付により、労働者の再就職を促進する
  • 労働環境を改善・向上させる取組みに対して助成金の給付を行い、離職防止や雇用促進を図る

これらの目的のために、毎月の給料から天引きされています。

雇用保険料負担は労働者と事業主で異なる?

そして、雇用保険料の負担は、労働者と事業主では異なるのですが、労働者が負担している分は、失業給付の保険料率のみとなっています。

それに対して、事業主の負担は、失業給付の保険料率雇用保険二事業の保険料率を合わせたものとなっています。

この雇用保険二事業とは、雇用安定事業、能力開発事業があり、その内容は以下となります。

雇用安定事業

・事業主に対する助成金
・中高年齢者等再就職の緊要度が高い求職者に対する再就職支援
・若者や子育て女性に対する就労支援

能力開発事業

・在職者や離職者に対する訓練
・事業主が行う教育訓練への支援
・ジョブ・カード制度の構築

 

また、雇用保険料率は、労働者と事業主で異なるだけではなく、事業の種類によっても異なるのが特徴です。

具体的な雇用保険料率の違いは、以下の通りです。

 

事業ごとの雇用保険料率の違いは?

一般の事業

①   労働者負担=3/1000
②   事業主負担=6/1000
①+② 雇用保険料負担=9/1000

農林水産・清酒製造の事業

①   労働者負担=4/1000
②   事業主負担=7/1000
①+② 雇用保険料負担=11/1000

※園芸サービス、牛馬の育成、酪農、養鶏、養豚、内水面養殖及び特定の船員を雇用する事業については「一般の事業」の率が適用されます。

建設の事業

①   労働者負担=4/1000
②   事業主負担=8/1000
①+② 雇用保険料負担=12/1000

 

事業によって雇用保険料率が異なるのは?

上記を見るとわかりますが、「農林水産・清酒製造の事業」と「建設の事業」とでは、「一般の事業」に比べて、雇用保険料の割合が高くなっているのがわかりますね。

雇用保険料の割合が高くなっている理由としては、以下があげられます。

  • 農林水産・清酒製造の事業の場合は、季節によって事業規模が縮小することがあり、就業状態が不安定となる場合がある
  • 建設の事業では、建設物ごとに雇用契約を結ぶことになる場合がある

これらの理由から、失業給付を受給する場合が多いと想定されているため、雇用保険料率が高く設定されています。

 

ここまで、雇用保険料を求めるための雇用保険料率について説明しましたが、実際に計算式に当てはめてみるとどうなるのでしょうか?

では、雇用保険料を算出するための計算式について、くわしく見ていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

雇用保険料の計算式を詳しく解説!

雇用保険料は、下記の計算式を用いて算出することができます。

給与額または賞与額×雇用保険料率

給与額や賞与額というは、所得税や社会保険料などが差し引かれる前の賃金総額のことを指します。

また、交通費についても、含んだ金額で計算することになるので、忘れないように注意してください。

雇用保険料を計算してみよう!

それでは、事業ごとの雇用保険料について実際に計算式に当てはめて見ていきたいと思います。

一般の事業で働く場合

【例】交通費込みの総支給額が25万の場合

労働者負担分:250,000円×0.003%=750円

事業主負担分:250,000円×0.006%=1,500円になります。

賞与の場合にも、同様の計算式で求めることができます。

農林水産・清酒製造の事業で働く場合

【例】交通費込みの総支給額が30万の場合

労働者負担分:300,000円×0.004%=1,200円

事業主負担分:300,000円×0.007%=2,100円になります。

建設の事業で働く場合

【例】交通費込みの総支給額が28万の場合

労働者負担分:280,000円×0.004%=1,120円

事業主負担分:280,000円×0.007%=1,960円になります。

 

計算式はそこまで複雑なものではありませんが、雇用保険料率は事業の種類によって異なるため、注意が必要です。

また、雇用保険料率は失業給付の受給者数や積立金の残高の変動に応じて見直しが行われ、変更が必要な場合に更新されるため、正しく計算するためにはその確認もしっかりと行うことが重要ですね。

 

雇用保険料の端数はどうやって処理する?

上記の例では、切りの良い数字で計算式に当てはめたため、整数で雇用保険料が出てしまいましたが、実際の給料は、切りの良い金額とは限りません。

そのような場合には、雇用保険料を計算した時に出てきた端数の処理に注意が必要です。

雇用保険料の労働者負担額を算出した際に、1円未満の端数が出た場合には、原則として、「50銭以下の場合は切り捨て、50銭1厘以上の場合は切り上げ」する必要があります。

では、具体的な雇用保険料の計算における端数処理の例を挙げて見ていきましょう。

  • 雇用保険料が715.183円の場合→715円(端数が50銭以下なので切り捨て)
  • 雇用保険料が739.8円の場合→740円(端数が50銭1厘以上なので切り上げ)

ちなみに、上記に挙げた端数処理は源泉控除する場合であり、被保険者が雇用保険料を現金で支払う場合には、「50銭未満の場合は切り捨て、50銭以上の場合は切り上げ」となるので、注意が必要です。

ただし、労使間で慣習的な端数処理などの特約がある場合には、従来通りの端数計算方法で取り扱うことも認められているため、そこの確認も怠らずに行うことが重要ですね。

 

雇用保険料の支払いは?

住民税や社会保険料は、毎月、給料から天引きしたものを納めます。

では、雇用保険料についてはどうなのでしょうか。

雇用保険料については、毎月、給料から天引きしますが、その分と事業主負担分、そして、労働保険料をあわせて、毎年7月にまとめて納めることになっています。

 

 

 

 

 

 

事業主は雇用保険は加入義務があるので要注意です

雇用保険は、加入対象の従業員が一人でもいる場合には、事業所には加入の義務があります。

これは、法人・個人事業主問わず、義務となっています。

雇用保険というのは、労働者にとっては、失業の際などに、失業給付の受給があるなど、救済措置として、非常に意義のある制度となります。

毎月、雇用保険料を負担しなければいけませんが、負担額は、労使ともに、それほど大きな金額ではありません。

そのため、適用事業所では必ず、加入するように注意が必要です。

また、雇用保険料の計算についても、それほど複雑ではありませんので、間違いのないように、丁寧に行うことが必要となります。

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